原作は2021年の本屋大賞を受賞した、町田そのこによる小説「52ヘルツのクジラたち」。“52ヘルツのクジラ”とは、ほかのクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で1頭だけ実在しているという個体だ。仲間がいても気付いてもらえず、“世界で一番孤独な存在”だと言われている。
杉咲が演じた主人公は、自分の人生を家族に搾取されてきた三島貴瑚(みしま・きこ)。ある痛みを抱えて東京から海辺の街に移り住んできた貴瑚は、母親から虐待され「ムシ」と呼ばれている少年と出会う。声を発することのできない彼を見た貴瑚は、自身の“声なきSOS”を聴き救い出してくれた、今はもう会えない安吾との日々を思い出すことになる。
ティザービジュアルには、海に向かってせり出したテラスで、目を閉じて空を仰ぎ、耳を澄ます貴瑚の姿が捉えられた。海中を思わせる幻想的な青を基調としたビジュアルとなっている。撮影したのは気鋭の写真家・八木咲。貴瑚が住む一軒家の象徴的な六角形のテラスで撮影された。監督の成島をはじめ制作チームが運命的に出会ったという、大分の海辺の高台にある日本家屋が撮影場所に選ばれた。
杉咲からのクランクアップコメントは以下の通り。全身全霊で臨んだ撮影を終えた心境がつづられている。
「52ヘルツのクジラたち」は、2024年3月に東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で公開。
杉咲花 コメント
2ヶ月間の暗闇を走り続け、最後のシーンを撮り終えた時、私たちはあまりにも美しい夕陽に遭遇しました。
演じ手である私がやり切ったと感じることに意味はあるのだろうかと自問しますが、やっぱり完成する映画には、この世界の何かに結びついてほしいという淡い期待を覚えます。
そしてこの物語に気づかされた感覚を、時代とともに更新し続けていくことが、私たちに託された大きな課題なのだと思います。
陽が沈んでしまっても、その夜を越えようとするたったひとりの誰かへ、朝の光とともに届く作品となることを願って。
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杉咲花が祈りを込めた主演作「52ヘルツのクジラたち」クランクアップコメント到着
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原作:町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』中公文庫