アイナ・ジ・エンドが観客をチラリ「ここにキリエがいるよ！」、松村北斗は好きなキャラ語る

映画「キリエのうた」の公開記念舞台挨拶が本日10月14日に東京・新宿バルト9で開催。キャストのアイナ・ジ・エンド、松村北斗（SixTONES）、広瀬すず、監督の岩井俊二が参加した。

本作では歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン・キリエを主軸に、男女4人の姿が描かれる。アイナがキリエ、松村がいなくなった恋人を想う夏彦、黒木華が小学校の教員・フミ、広瀬が名前も過去も捨てたイッコを演じた。

今回のイベントは、劇中でストリートミュージシャン・松坂珈琲を演じた笠原秀幸がMCを担った。アイナは「昨日吉祥寺の劇場に行ったんです。パンフレットを見ていたお兄さんが『このシーンよかったな』と独り言を言っていて、私は『ここにキリエがいるよ！』と思いました」といたずらっぽく笑い、「インタビューなどでいろいろと発信してきましたが、観てくださった方の感想をやっといただけることが本当にうれしいです」と公開を迎えた心境を述べる。松村は「好きなキャラ、刺さったキャラ、共感したキャラは人それぞれ違うと思います」「僕はイッコが好きです。ぶっ飛んでいるようなキャラクターだからこそ、彼女のある一言でぐっと感動しました」と話した。

広瀬がクランクインの日を思い返し「自分だけが真横で聞いていたキリエの声が、世界中に届き始めている。お腹の底にドンと落ちてくるような、魂の叫びのような表現はいろんな人に届くと思います」と言うと、岩井は「歌声も現場で撮ったものです」と笑顔で補足する。笠原は「僕もイッコが好きで、“再会シーン”の表情が忘れられない。どういうつもりの表情なのかわからないのですが、昨日寝る前に思い出して、深い表情だなと感じました」と述懐。たくさんの感想をXで見たという岩井は「僕の企てとは違う解釈もあったんですが、そこが映画の醍醐味。観てくださった方の数の分、それぞれの映画になる」としみじみ口にした。

「釜山国際映画祭での上映はどうだった？」と聞かれたアイナは「岩井さんがすごくモテていてびっくりしました。レッドカーペットを歩いたときも、写真を撮ってくださいと誘われていました」と話し、岩井とファン・ビンビンが一緒に写真を撮っていたことを明かした。松村は「歌声の説得力がすごかったようで、キリエの歌が刺さっていると強く感じました」「歌がこの映画のど真ん中にあると確認できた場所でした」、広瀬は「映画愛にあふれた方が多くて、鋭い質問が多かったのが印象的です。『小学生のときから岩井監督を追ってました』という記者さんもいて、忘れられない景色になりました」と振り返る。

完成した映画を観たアイナは「劇場がみんなの逃げ場になったらいいと思いました。仕事をがんばって、終わったら『キリエのうた』に走るみたいな、“お疲れ様”という場所になったら」とコメント。広瀬はイッコとしてキリエを振り回したことを申し訳なく思ったそうで「罪悪感が生まれて、長文の謝罪メールを送りました（笑）」と裏話を披露し、アイナと顔を見合わせて笑う。また笠原が夏彦の“靴紐シーン”に言及すると、広瀬は「私も言おうと思ってた！」と大きく反応し、2人で共感し合いながらトークを展開していた。アイナも「あのシーンは何回もやりましたよね？ 松村さんが放心状態になってました」と言うと、松村は「真っ昼間から陽が落ちるまでやりました。夕暮れになると（演技と背景が）マッチして」と回想する。

イベントの最後には岩井がアイナ、松村、広瀬に青いバラを贈呈。広瀬には「イッコを独創的なインスピレーションで作り上げてくれた」、松村には「初めてお会いしたときになんて美しい人なんだろうと思って。服を脱いだらまた美しすぎて動揺してしまいました（笑）」とメッセージを送る。アイナに対しては「歌っている姿を初めて見たときに、この子しかいないと思いました。その頃はまだ名前も存じ上げていなかったんですが、Wikipediaで検索しました。現代の才気あふれるアーティストと一緒に仕事ができるという一点で、心の中は大はしゃぎでしたよ」と声を掛けた。

最後にアイナは「1人ひとりがトゲを抱えて生きていると思うし、私も同じです」「でも映画を観て、みんな一生懸命生きているんだな、明日も同じかもしれないけど、また生きてみようかなと思ってもらえたらうれしいです。よかったら映画館に何度も来てください」と挨拶して、イベントは終了した。

「キリエのうた」は全国で公開中。