ALS患者・武藤将胤と妻・木綿子のドキュメンタリー公開、石原さとみがナレーション

ALS（筋萎縮性側索硬化症）を患った武藤将胤（むとうまさたね）と、彼の発症を知ったうえで結婚した妻・木綿子（ゆうこ）のドキュメンタリー「NO LIMIT, YOUR LIFE ノー リミット, ユア ライフ」が、6月23日より東京のT・ジョイ PRINCE 品川、大阪のT・ジョイ梅田ほか全国で順次公開される。

2021年8月、東京パラリンピック開会式。車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」の物語で派手な衣装をまとい、布袋寅泰らを乗せたデコトラの運転席に座りパフォーマンスを繰り広げた将胤は、すべての人が自分らしさを表現し生き続けられる「BORDERLESSな生き方」を世界へ発信した。

学生時代はイベントに明け暮れ、社会を明るくするアイデアを形にするため大手広告会社に就職した将胤。広告プランナーとなり順風満帆の人生が続くと思っていたが、木綿子と初めて会った日、手の震えは始まっていた。そして27歳のとき、ALSと診断される。絶望しかけたそのとき脳裏に浮かんだのは、患者たちの未来を明るくするアイデアを形にすること。こうして将胤は、病気の啓発と、最新テクノロジーを使った活動を開始する。

ALSは手足やのど、舌などの筋肉が痩せて徐々に弱くなっていき、意識や感覚は保たれたまま全身が動かせなくなる進行性の難病。脳や脊髄にある運動神経細胞（運動ニューロン）が障害を受けることで発症し、平均3年から5年で呼吸困難に陥って死に至ることが多いと言われている。日本での患者数は約1万人で、発症のメカニズムは依然十分に解明されておらず、進行を遅らせる薬はあるが根本的な治療法は見つかっていない。

本作の監督を務めたのは毛利哲也。ナレーションを担当した石原さとみは「使命を自覚するとこんなにも強くなれるんだ…。マサくんとユウコちゃんとは、ライブ行ったり一緒に食事にも行く友人関係でしたが、映画で見る私の知らない2人の姿に胸が熱くなりました。ナレーションの収録では感情を抑えられなくなるシーンもありましたが、気持ちを込めて読ませていただきました。ただのがむしゃらではなく、ひとつひとつコツコツと奇跡を自らの手で掴もうとする姿から何かを感じ取ってもらえたらうれしいです」とコメントしている。