押井守が新潟国際アニメ映画祭の審査委員長に、エンタメに特化したコンペを実施

13

171

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 48 74
  • 49 シェア

第1回新潟国際アニメーション映画祭の記者会見が本日5月23日に東京・有楽町朝日ホールで開催され、審査委員長の押井守、フェスティバル・ディレクターの井上伸一郎らが出席した。

左から映画祭事務局長の真木太郎、フェスティバル・ディレクターの井上伸一郎、審査委員長の押井守。

左から映画祭事務局長の真木太郎、フェスティバル・ディレクターの井上伸一郎、審査委員長の押井守。

大きなサイズで見る(全8件)

第1回新潟国際アニメーション映画祭のビジュアル。

第1回新潟国際アニメーション映画祭のビジュアル。[拡大]

長編商業アニメーションにスポットを当て、長編アニメーション映画のコンペティション部門を持つアジア最大の祭典を目指す新潟国際アニメーション映画祭。第1回は2023年3月17日から22日にかけて新潟県新潟市で開催されることが決まっている。

井上伸一郎

井上伸一郎[拡大]

アニメ情報誌Newtypeの元編集長にして現在はKADOKAWA上級顧問を務める井上は「アニメ映画を上映するだけでなく、アニメやコミックの研究論文を発表する場を作っていく」と映画祭の方針を明かす。黒澤明や小津安二郎がいまだ世界で支持される理由の1つに海外の日本映画研究家の力があることを挙げ、「日本人の研究を海外で発信するのは難しい状態。日本のアニメ・マンガの研究を本映画祭から発信し、アニメーションの地位向上の一助となりたい」と語った。

押井守

押井守[拡大]

押井は「映画祭にとってコンペティションは求心力があるコンテンツ」と前置き、「基本的にこれまでのコンペのメインはアート系作品だったと思います。でも新潟国際アニメーション映画祭のコンペの特徴はエンタテインメント作品に特化しているということ」と違いをアピール。また、同様のコンテストがなかった理由について「アニメ業界は人の作品を評価したり、悪口を言ったりすることは基本的にしない特殊な世界なんです」と述べ、「『人の仕事に口を出すな、ケチをつけるな』というのが、僕らの世界の悪しき伝統。そういったものを打ち破る契機になればいいかなと思います」と目標を掲げた。その一方「作品を出す側はプロであり企業であるわけなので、彼らにどういうメリットを作ってあげられるか。それがないと作品が集まらないということも考えられる」と現実的な意見も口にする。

審査委員長という大役を担うことになった押井は「引き受けたからには自分のポリシーで作品を選びたい。作品の規模や興行成績、作った会社の規模、監督の評判といったことは全部無視して、クリエイティブで情熱を感じるものを選びたい」と意気込む。さらに、コンペ以外でこの映画祭に期待することとして「アニメという文化では、作品の周辺にさまざまな人が集まっているものです。声優さん、コスプレ、フィギュア、ゲームなどそういったもの全体で盛り上がって楽しい祭りになればいいと思います」「また業界の人間にとっては、普段なかなか観ることができない作品をまとめて観るチャンスです。普段会うこともない監督同士が会うこともできるので、交流の場になれば最高」と展望を語った。

会見には、第71回カンヌ国際映画祭の会場からプログラミング・ディレクターの数土直志、新潟から映画祭実行委員会代表の堀越謙三もリモートで参加。数土は、長編アニメーションを重視した理由を「長編がアニメーション文化の多様性の最先端であること」「その中でヨーロッパの巨匠が作り出す作品、巨大な予算をかけたハリウッド制作のCG、日本の2Dスタイルなど独自の文化・歴史を背負った作品が登場しているものの、同じ視座からの批評が存在していないこと」と説明し、「映画という共通の視点を与え、新しい価値を付けたい」とコメントした。また堀越は「新潟では、約30年の間に約3000人のアニメ、マンガのクリエイターたちが育成されています。なおかつ昨年、大学の中にアニメ、マンガを専門とする学部もできました」と新潟とアニメ・マンガのつながりを解説した。

この記事の画像(全8件)

読者の反応

荒川直人 @nao_arakawa

【イベントレポート】押井守が新潟国際アニメ映画祭の審査委員長に、エンタメに特化したコンペを実施 https://t.co/BM7dOkKPFI

コメントを読む(13件)

関連商品

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 押井守 の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。