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本作は
自ら志の輔に映画化の直談判をしたという中井は「時代劇を残さないといけないと思っているんです。ただ観ていただけないものはダメ。どういうものがよいのか試行錯誤する中で、志の輔師匠の落語に出会って、これを映像化したら楽しく観ていただけるんじゃないかなと思ったんです」と述べ、「そこからスタートして、まさかその間にコロナ禍が来るとは思わなかった。脚本だけで4年ぐらい掛かって、撮影も1年延びました。だから胸が熱くなる思いです」と客席を見渡す。
現代と江戸時代で1人2役を演じた松山は「現代劇のパートでは、貴一さんにごはんに連れて行ってもらうときの雰囲気そのまま。こんなに笑わせてくれる人はいないんです。作品にもそれがいい影響になりました。仕事した感じがしないですね」と笑みをこぼす。北川が「本当に楽しそうに2人とも笑っていて。子供同士がじゃれ合っているようでした」と報告すると、中井は「芝居をやるときは、子役と動物とは仲良くなるんです。松山くんともそんな感じです」と茶目っ気たっぷりに語った。
イベント中盤には55歳で日本地図を作り始めた伊能忠敬にちなみ、55歳から始めたいことをキャストが問われる場面も。北川は「肉体改造したいです!」、岸井は「器械体操をやっていたので、もう1回始めたらどうなるか気になります」、和田は「俳優になってなかったら駅伝の監督になりたかったんです。だから若い人たちが汗かいているのを眺めたいですね」と回答する。続く溝口は「55歳までに日本全国巡ることはないんじゃないかなって思っているので、行ったことがないところには行ってみたいですね。最初は世界一周って思ったんですけど、55歳からだと長い時間飛行機乗るのも大変だし……」とコメント。中井がすかさず「大変じゃないよ! 飛行機ぐらい乗りますよ。ねえ橋爪さん!」と声を上げ、会場に笑いを起こした。
また本作の物語に関連し、鳥肌が立った経験を尋ねられた中井は「中国で映画を撮影しているときに、なかなかないことなんですが諸問題が起きて日本に帰ろうとしたんです。そのときにホテルの電話が鳴りまして。スタッフだろうと思って出たら『もしもし、貴一ちゃんどうしてる? 高倉ですけど』って。高倉健さんからの電話だったんです」と振り返り、「そこでいろいろお話ししたら、高倉さんが『こらえろ』と言ってくださって。どっかで見ているんじゃないかと思うタイミングで電話がかかってくるって、すごいですよね。そのときに鳥肌が立ちました」と約20年前のエピソードを披露する。
最後に中井は「ここ数年、コロナというものにエンタメの世界は苦しめられました。演劇も映画も不要不急と言われ、この世界にいる人間には堪えたと思います。でもそんな中、僕自身を救ってくれたのはエンタメだった気がしてます」と吐露し、「こういう時代が続くかもしれないですが、前を向いて映画も演劇も続けていきたいと思っています。支えてくださるのはお客様しかいない。笑ったり、泣いたりしてくださることが映画、演劇が続いていく力になると思っています」と真摯に伝えた。
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