「ドライブ・マイ・カー」カンヌで上映、濱口竜介は観客と「一緒に旅をしたような」心地

第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された「ドライブ・マイ・カー」の公式上映が、フランス現地時間7月11日に行われた。

濱口竜介が村上春樹の短編小説を映画化した本作。妻を亡くした舞台俳優・演出家の家福が寡黙な専属ドライバーのみさきと出会い、それまで目を背けてきたことに気付いていくさまが描かれる。家福を西島秀俊、みさきを三浦透子が演じ、霧島れいかが家福の妻・音、岡田将生が俳優の高槻に扮した。映画祭には濱口、三浦、霧島に加え、共演のソニア・ユアンが出席した。

当日は晴天に恵まれた同映画祭。レッドカーペットにAcne Studiosのパンツスーツに身を包んだ三浦、VALENTINOのロングドレスをまとった霧島らが登場するとマスコミ陣から歓声が上がる。「寝ても覚めても」が上映された第71回ぶりの参加となる濱口は報道陣に手を振り、映画祭を楽しんでいる様子。そして彼らが会場に入ると、満席の客席からは大きな拍手が起こった。

上映終了後、スタンディングオベーションとなった会場から喝采が上がる。照明が点くと、多くの観客が監督・キャストへ称賛の言葉を投げ掛けた。濱口は「こんなに大きな拍手をいただけて感動しています。ありがとうございます」と目を潤ませ、「初めて劇場で皆さんと観て、3時間近く一緒に旅をしているような気持ちで観ました。幸せな時間でした」とコメント。続けて「この感激を日本に帰ったら、一緒に仕事させていただいた主演の西島さんや岡田さんたちキャスト、そして支えてもらったスタッフの皆さんと分かち合いたいと思います。皆さんに集中して観ていただけたという感覚があったので、すごく感激しました」と述べている。

三浦は「素晴らしい劇場で、たくさんの人たちと大きな画面でこの映画を観ることができました。この映画を、この先の人生でもたくさん観るだろうけれど、この経験を超えるものは二度とないだろうなという、特別な空間で、特別な経験をすることができました。本当に幸せです、ありがとうございます」と初めてのカンヌ国際映画祭で味わった深い感動を語った。

三浦と同じくカンヌ初参加となる霧島も「非常に感動しました。一生の思い出になりました」と率直な思いを伝える。そして「今日ここにいるべきキャストの方たちがいないのが残念ですが、いっぱい報告すべきこともできました。いい経験をさせていただき、ありがとうございました」と述懐した。

「ドライブ・マイ・カー」は8月20日に東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。第74回カンヌ国際映画祭はフランス現地時間7月17日まで開催中。