是枝裕和が首藤凜・田中さくら・古川葵にエール、シャネルとの若手育成に今後も意気込み

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次世代の映画監督の輩出を支援するため、シャネルが始動させたメンターシッププログラム「CHANEL AND CINEMA - TOKYO LIGHTS」。マスタークラス受講者を対象にしたショートフィルムコンペティションで選出・制作された3作品の上映会および受賞セレモニーが、4月23日に東京のCHANEL NEXUS HALLで行われた。監督の首藤凜、田中さくら、古川葵に加え、シャネルとともにサポートを担った是枝裕和、第1回マスタークラスで講師を務めた西川美和安藤サクラらが参加した。

CHANEL & CINEMA - TOKYO LIGHTS AWARD CEREMONYの様子。左から古川葵、是枝裕和、首藤凜、田中さくら。古川・首藤・田中はショートフィルムコンペティションを経て短編を制作した

CHANEL & CINEMA - TOKYO LIGHTS AWARD CEREMONYの様子。左から古川葵、是枝裕和、首藤凜、田中さくら。古川・首藤・田中はショートフィルムコンペティションを経て短編を制作した

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首藤の「親切がやって来る」、田中の「夜明け」、古川の「夕べの訪問客」は5月24日までCHANEL NEXUS HALLで一般公開中。シャネルの公式LINEミニアプリで無料の鑑賞予約を受け付けている。なお、2024年11月に開催された第1回マスタークラスでは、是枝、安藤、西川のほかティルダ・スウィントン役所広司が講師として参加した。

選出理由の1つは「この人の長編を観たいと思うかどうか」

是枝は「国際的な映画祭に参加するようになって、日本以外で映画を作っている人がどういうパートナーシップを大事にしているのか目の当たりにしました。そのときに、シャネルが映画の歴史にどのように深く関与しているのか、身に沁みてわかってきたんです。3、4年前に『日本で若手の人材育成に参加しないか』と声を掛けられて、今日、おめでたいお披露目の日を迎えることができました」と述べる。第1回の試みを終えた感想を聞かれると「長く続けることがとても大切。最初にお話いただいたときに『5年はやりましょう』と言われました。この先、どのように取り組みを発展させていくのが課題です。短編とはいえ、この取り組みに関わることは監督3人にとって大変だったと思います。ただ1歩目の後押しはできたのではないかと。これは僕ら映画人だけではなく、シャネルの後押しがあってこそ。1歩目に(皆さんに)立ち会っていただけてありがたいです」と会場に語りかけた。

CHANEL & CINEMA - TOKYO LIGHTS AWARD CEREMONYの様子

CHANEL & CINEMA - TOKYO LIGHTS AWARD CEREMONYの様子 [高画質で見る]

また是枝は「たくさんの応募がある中、脚本審査と面接をしました。どういう演出意図を持っているのかも含め、きちんと対面でお話を伺ったうえでこの3人にしたんです」と振り返り「3本の企画はそれぞれタイプが異なっていて、できあがったものを観ても違う輝きがあった。また短編という短い時間の中で、作品として成立させている。この人の長編を観たいと思うかどうか、それも選出の大きな理由の1つでした」と説明する。

この関係に支えられながらがんばっていただきたい

西川は「こういう企画で、お三方が同じタイミングで短編を完成させられたのはとてもいいことだと感じます。(以前の関連イベントで)ティルダさんは『映画に関わっている人すべてが同僚』と話していました。まだキャリアの若いときに同じことに共感できるディレクター同士でつながりができることがうらやましいです。これから10年、20年、30年とやっていく中で、ずっとこの関係に支えられながら、皆さんにはタフにがんばっていただきたいなと思います」とエールを送った。

CHANEL & CINEMA - TOKYO LIGHTS AWARD CEREMONYの様子。第1回マスタークラスで講師を務めた安藤サクラ(左)、西川美和(右)

CHANEL & CINEMA - TOKYO LIGHTS AWARD CEREMONYの様子。第1回マスタークラスで講師を務めた安藤サクラ(左)、西川美和(右) [高画質で見る]

続く安藤は「(2024年に行われたマスタークラスでの)あの時間は私にとっても、すごく大きいものでした。映画に対して漠然と志していたものに、何か輪郭のようなものがはっきり見えたんです」「(映画作りにおいて)不安や重いものが自分の中にあって、でも現場に行けば、みんなで輪になって1つの作品を作る幸せを感じられる。でも撮っていないときは1人になっちゃうんですよね。マスタークラスの時間で、それを含めて皆さんと共有できたと思うし、ティルダさんがおっしゃっていたように、仲間という大きな輪が見えたような気がしています」と思いを伝える。「3人の作品はタイプは違えど、どれもよく人を見つめた作品でした。その誕生をともに見ることができて本当にうれしいです、おめでとうございます」とコメントした。

焦燥感の中、手にした映画制作の機会に安堵

「親切がやって来る」チーム。左から俳優の佐藤寛太、監督の首藤凜、俳優の出口夏希、俳優の筒井真理子

「親切がやって来る」チーム。左から俳優の佐藤寛太、監督の首藤凜、俳優の出口夏希、俳優の筒井真理子 [高画質で見る]

「ひらいて」で知られる首藤は「2021年に商業長編デビューという形で監督・脚本を担当した作品が公開されました。ただ、撮影で言うと、そこから5年間、映画が作れませんでした。映画を撮っていないと、これからも作っていくという勇気がなかなか湧いてきません。『映画が撮れないかもしれない』という焦燥感があった中で受賞させていただき、撮れると決まったことにホッとしました」と受賞当時の心境を語る。またマスタークラスの時間を振り返り「ワークショップでは安藤さんと同じチームで、演出を付ける監督として登壇しました。舞台に上がるまでは『こういうふうに言おう、こういうことを試してみよう』といろいろ考えていたんですが、安藤さんからは、役者がその役として地面に立つということがどれだけ困難な感情を伴うことであるのか、それを全身で伝えていただいた。そして(俳優と)1対1でお話しするということを学ばせていただきました」と述べた。

首藤凜監督作「親切がやって来る」

首藤凜の監督作「親切がやって来る」より、左から出口夏希演じる美央子、筒井真理子演じる朝子、佐藤寛太演じる青年

首藤凜の監督作「親切がやって来る」より、左から出口夏希演じる美央子、筒井真理子演じる朝子、佐藤寛太演じる青年 [高画質で見る]

首藤が監督を務めた「親切がやって来る」では、夜の国道沿いですれ違った酩酊状態の女性・朝子を美央子が介抱したことから物語が展開する。その光景を見ていた青年も救援に加わり、免許証に書かれた住所まで3人で向かうことに。夜の散歩は愛おしい時間でもあったが、次第に酔いが覚めてきた朝子は、なぜ自分がこんなに親切にされているのかわからなくなってくる。出演は出口夏希佐藤寛太筒井真理子

思い描いていた物語の世界が、今ここにある

「夜明け」チーム。左から俳優の深川麻衣、監督の田中さくら

「夜明け」チーム。左から俳優の深川麻衣、監督の田中さくら [高画質で見る]

同志社大学在学中に自主映画サークルで映画を撮り始めた田中は「今回受賞の連絡をいただいたときに、まず映画が撮れるということにものすごく喜びを感じました。海外でも上映されるので、世界がぐっと広がった感覚で、ものすごくわくわくしたのを覚えています」と話す。イベントMCを務めた橋本愛から映画作りの魅力や楽しさを尋ねられると「頭の中のイメージを現実にするところに魅力があるなと。今回の『夜明け』はタイトルの通り、夜明けの現場で撮影をしました。夜の青い時間から白んでいく時間帯に、みんなが青い光に染められていて。その時間の中に閉じ込められている魔法のような感覚がずっとあって、思い描いていた物語の世界が、今ここにあると。その瞬間に『映画作りって楽しいな』と思ったんです」とうれしそうに言葉を紡いだ。

CHANEL & CINEMA - TOKYO LIGHTS AWARD CEREMONYでMCを務めた橋本愛

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田中さくら監督作「夜明け」

田中さくら監督作「夜明け」場面写真。深川麻衣、羽瀬川なぎが姉妹を演じた

田中さくら監督作「夜明け」場面写真。深川麻衣、羽瀬川なぎが姉妹を演じた [高画質で見る]

「夢見るペトロ」の田中が手がけた「夜明け」には、深川麻衣羽瀬川なぎがキャストとして参加した。舞台は、ともに人生の節目を迎えた姉妹のリツコとトウコが過ごす、2人暮らし最後の朝。静かな部屋でぽつりぽつりと言葉が交わされ、夜明けとともに別れの時間が近付く中、ふいに、まだ幼かった2人の“1つの出来事”をめぐる記憶の食い違いが浮かび上がる。

このメンバーだからできることをキャッチする感覚を持っていたい

マスタークラスでは古川の脚本を使い、別の監督2人が演出を付ける形でワークショップが行われた。同じシチュエーションを使った脚本で短編を制作した古川は「ワークショップでの学びを作品にする機会をいただけてうれしかったです」と感謝を述べる。橋本から「ワークショップを通して新しい発見はありましたか?」と聞かれると、古川は「同じ脚本でも参加するメンバーや演出家によって、印象がこんなに変わるんだとびっくりしました。講師のティルダさんがすべてのパターンに反応しながら、全員の力を引き出して面白くしていったことも印象的で。私もこれから制作をするときは、この場所で起こったこと、このメンバーだからできることをキャッチできるような感覚を持っていたいと思いました」と話す。

「夕べの訪問客」チーム。左から俳優の佐津川愛美、監督の古川葵、俳優の仁科貴

「夕べの訪問客」チーム。左から俳優の佐津川愛美、監督の古川葵、俳優の仁科貴 [高画質で見る]

古川葵監督作「夕べの訪問客」

古川葵の監督作「夕べの訪問客」場面写真。左から佐津川愛美演じる洋子、仁科貴演じる田代

古川葵の監督作「夕べの訪問客」場面写真。左から佐津川愛美演じる洋子、仁科貴演じる田代 [高画質で見る]

「MY HOMETOWN」の古川が監督し、佐津川愛美仁科貴が共演した「夕べの訪問客」は、孤独な男女が繰り広げる密室劇。残業中の弁護士・洋子の前に、かつて離婚裁判で救うことのできなかった依頼者・田代が3年ぶりに現れる。訪問の理由を明かさないまま居座る田代。彼の真意を探るうち、洋子の抱いていた罪悪感は、次第に恐怖へと変わっていく。

いずれ3人が次の若い才能の背中を押すような循環ができたら

最後に是枝は「これから3人が長編を撮っていただくことも大事なのですが、このプロジェクトがずっと続いていったときに、今度は3人が講師やメンバーとしてプロジェクトに戻って来て、次の若い才能の背中を押すような循環ができたら美しいなと思っています。10年後、20年後を視野に入れながら、映画に関わっていっていただければ」と言葉を送った。

左から是枝裕和、安藤サクラ

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映画「親切がやって来る」予告

映画「夜明け」予告

映画「夕べの訪問客」予告

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アオキモトアキ/映画宣伝プロデューサー @aoaoblue

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