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本作は、環境汚染やウイルス感染により滅亡へ向かう世界を舞台に、主人公パートンが地下世界に潜入し冒険を繰り広げるさまを描くストップモーションアニメ。堀が監督、原案、キャラクターデザイン、撮影、照明、音楽を兼任し、7年掛けて独学で制作した。
まずは、制作のきっかけを尋ねられた堀。「彫刻や絵画や人形などいろんなジャンルに手を出しながら芸術家を目指していたのですが、どれも長続きせず中途半端で。ずっと映画自体は好きだったんですが、まさか1人で作れるわけないと思っていた頃に、新海誠さんがほぼ1人で映画を作ったという話題が出たんです。それを聞いてコマ撮りなら作れそうな気がして、思い立って始めたという感じです」と経緯を説明する。
また、近年のストップモーションアニメと本作の違いについても言及。「今のコマ撮りは味のあるアートっぽい作品になっているものが基本ですが、昔は実写映画の中の一部として撮る特撮的な作品がたくさんあったんです」と述べた堀は、「自分が目指しているのはそっちのほう。コマ撮りなんだけどコマ撮りに見えないように撮るという、今どきのコマ撮りとは攻め方が違うのかなと思います」と続けた。
影響を受けた作品として堀が挙げたのは、1986年にゲオルギー・ダネリヤが発表したSF「不思議惑星キン・ザ・ザ」。「10代の頃に観て『ああ、これだ』と。それ以降は『キン・ザ・ザ』が一番だと決めちゃって、初恋の人のような存在です(笑)」とはにかむ。また、不思議な言語を使うキャラクターの声も堀が担当。「考えるのも大変なので、後半はディズニーキャラクターの名前を連呼したりとか。『おはようございます』という意味のセリフで『シャケナツミソス』と言っているんですが、それは朝食の鮭、納豆、みそ汁を掛けているんです」と裏話を披露すると、会場から驚きの声が上がった。
本作のセットは、内装業を本職に持つ堀が千葉の倉庫を改装して設営したという。「映画の制作自体が初めてでやり方も勉強しながら進めていったので、全部が大変でした」と苦労を語り、「倉庫の壁にはすき間があって草が生えてきたり、なぜかゴキブリホイホイにカニが引っかかっていたり(笑)。録音するときにも音がもろに入っちゃうので、『今は鳥が鳴いてるからストップ』みたいなことがありました」と自然と戦いながらの制作を振り返った。
「JUNK HEAD」というタイトルに関して、堀は「JUNKは“ガラクタ”という意味ですが、自分も今まではガラクタだったなと。でも、この映画を作れたのはあきらめずにやってこれたから。自分に才能があるとしたら、ただあきらめなかったことだけだと思います。こんなガラクタでも何かを成し遂げることができるかもしれないという、そんな思いを込めました」とコメント。さらに、最後には「この作品は3部作になってまして。続編の絵コンテまで上がっていて、いつでもスタートを切れる状態です」と発表すると、続編制作への期待を込めて、観客に応援を呼びかけた。
「JUNK HEAD」は全国で順次公開。
シナリオ公募ナビ @scenarionavi
『JUNK HEAD』続編も準備中、監督の堀貴秀が独学で7年費やした制作秘話語る(映画ナタリー) https://t.co/kqT1DJlKwP