本作は岩手県大槌町に設置された“風の電話”をモチーフに、少女ハルが広島から故郷・岩手にたどり着くまでの道のりと心の救済を描く物語。出品されたジェネレーション部門は、「Generation 14plus」と「Generation Kplus」の2つのコンペティションで構成され、発掘作品や若者が出演する作品が対象となる。
審査員は本作について「我々は穏やかでありながらも壮大なロードムービーに大変心を打たれました。そして、つらいけれど希望のある、忘れることのできないラストシーン。この困難な時代に、喪失の空虚さと人と人との繋がりの温かさの両方を共存させることが、これまで以上に重要になってきています。この映画は優雅さと力の両方をもって、見事にそれを成し遂げています」と講評した。
授賞式には本作の脚本を諏訪と共同で手がけた狗飼恭子が登壇し、出席が叶わなかった諏訪とモトーラのメッセージを代読。諏訪は「このベルリンの地での初めての上映後、鳴り止まぬ拍手と励ましの声で、まるで家族のようにこの映画があたたかく迎えられた瞬間を私は忘れることができません」とコメントし、モトーラは「諏訪監督、ありがとうございます。そして、おめでとうございます。ベルリン映画祭のプレミア上映で、観客の皆さんが、風の電話に流れている風を、しっかりと感じてくれたんだと実感してとても感動しました」と述べた。メッセージの全文は下記に掲載している。
「風の電話」は全国で公開中。
諏訪敦彦 コメント
東京で受賞の知らせを聞き、とても感動しています。この日本のささやかな祈りを受け止めてくださった審査員の皆さんに感謝します。
「風の電話」は現実に存在しています。きっと今日も、傷ついた誰かが訪れ、亡くなった大切な人に話しかけていることでしょう。
我々を信頼し、この映画の制作を支援していただいた「風の電話」の設置者である佐々木格(ささきいたる)さんに感謝を送りたいと思います。
そして、何よりも、このベルリンの地での初めての上映後、鳴り止まぬ拍手と励ましの声で、まるで家族のようにこの映画があたたかく迎えられた瞬間を私は忘れることができません。映画は観客のものです。ハルと共に旅をしてくれたベルリンの人たち、世界中の傷ついた若者たちに、感謝とともにこの賞をお送りしたいと思います。
モトーラ世理奈 コメント
嬉しいです。
すごく嬉しいです。
諏訪監督に出逢えて、私にとって素敵なことがたくさんです。諏訪監督、ありがとうございます。そして、おめでとうございます。
ベルリン映画祭のプレミア上映で、観客の皆さんが、風の電話に流れている風を、しっかりと感じてくれたんだと実感してとても感動しました。
私が演じた、ハルにこれからも世界中の人々の、心の中で旅をし続けてほしいと願っています。
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