2017年4月期に読売テレビ・日本テレビを中心に放送された「架空OL日記」は、第55回ギャラクシー賞テレビ部門で奨励賞を獲得した話題作。脚本を担当したバカリズムも同アワードの特別賞に輝き、さらにこの作品で向田邦子賞を受賞した。原作は、バカリズムがOLになりすまして書きつづったブログ本。銀行に勤める主人公の「私」とその同僚たちの他愛ない日々が2020年、今度はスクリーンにかけられる。
「何も起こらないOLの日常」にフォーカスする淡々とした会話劇であることは映画版でも変わらない。これは、ドラマから引き続きバカリズムとタッグを組む監督の
また、バカリズムは「OLの世界で、自分がこんな場面に遭遇したらこう思うだろうなっていうことをやっているだけ。もちろんつじつまは合うようにOLさんに取材したりはしていますが、“OLあるある”だとは思っていません」と作品について説明。「だから(主人公を)僕がやるしかなかった。それ以外は成立しないので。でも、実は男と女でしゃべり方ってそんなに変わらないから、ほかのOL役の皆さんは女性でしたけど違和感はなかったですね」とリアルな会話が成立している理由を紐解く。
主なキャストもドラマから変わらず、「みさと銀行」で働くOLの“私”をバカリズム、同期・藤川真紀(マキちゃん)を
ありもしない話は次第に膨らんでいき、行き先の打ち合わせへと発展。フランスやオーストラリアといった国名が挙がる中、酒木さんは唐突にタヒチを推薦する。カットがかかったあとも雑談を続けている5人の醸し出す雰囲気は劇中そのまま。バカリズムは「控室も一緒で、空き時間もしゃべってるから同じ空気感、同じ関係性で本番もやれている」と撮影の感触を明かしている。小道具の雑誌をめくる、マッサージ器具で肩のツボを押すなど、常にリラックスした様子で撮影に臨む彼ら。カメラが回りだすと、台本の余白を補うように即興の掛け合いが繰り広げられ、山田が言い放った言葉にバカリズムたちが思わず吹き出す瞬間もあった。そんなやり取りに誰よりも笑っているのが住田で、「皆さんのよさが出る」とセリフを言い終えてもあえてカットをかけないこともしばしばだという。
この日は夏帆の28歳の誕生日。予定されていたシーンの撮影が終わるとバカリズムがケーキを運んでくる。スタッフ、キャスト全員が「ハッピーバースデー」を歌い、夏帆がロウソクの火を吹き消した。写真撮影などを済ませ、ひと通り盛り上がったあと、夏帆は「……はいっ」と事務的な言い回しでひと段落つけてみせる。そんな夏帆に続いてバカリズムたちも「はいっ」と口々に言いながら撮影へと戻っていき、スタジオにはほのぼのとした笑い声があふれていた。
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