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フェイクニュースやそれらを拡散するSNS、若年層の自殺、リベンジポルノといった現代社会のゆがみを題材にした本作。クリスマスの時期を舞台に、性的動画に映っているというデマを流され自殺した生徒・杉本瞳の虚像が、加熱する報道によって社会に植え付けられていくさまを描く。松林が瞳、水石が瞳の恋人・藤川ヒロキ、筒井が瞳の母・裕子を演じている。舞台挨拶にはそのほかキャストの
松林は「夜遅く、貴重な土曜日にお時間をいただきありがとうございます。今日を迎えられたことが本当にうれしい」と緊張気味ながら清々しい表情で挨拶。キャスト陣が挨拶を続けていく中で、日高は「すごい暗いというかズシンッとくる映画です(笑)。(観に来る)皆さんすごいなと尊敬します」と冗談めかし、品田は「わかりやすいものがどんどん増えている世の中で、皆さんがこの映画にどんな感想を持たれるか楽しみです」と呼びかける。また小木戸は「この映画で描かれることを自分の外にある社会の現象の1つと捉えるのではなく、出来事や登場人物の中にご自身の心理を見つけてほしい。当事者としてこの映画を感じていただけたら」と伝えた。
日高の「暗い映画」という発言を受け、緒方は「僕の作品をこれまで観てきている人には、かなり観やすいものになってるかと。当初はクリスマスに恋人と一緒に観る映画として企画したので」と意外な事実を明かす。さらに自身の過去作と比較し「これまでの作品は主人公を一人称で追い込んでいくものだった。だからこんなにキャストがそろった映画は初めて。この作品では主人公の周りにいる人、社会を作る人たち、集団心理に興味を向けました」と言及した。
続いて映画の撮影を通してもっとも苦しかったことを問われた松林。「もう全部」と笑いながら、「(瞳が)追い詰められるところは本当に苦しくて。幸せなシーンとの感情の浮き沈みを作るのがとても難しかったです」と述懐する。しかしつらいことだけではなかったようで、「映画に対する熱意がある方々とご一緒できたのは本当に幸せでした」と付け加えた。同じ質問に水石は、ネタバレを気にしつつ「終盤のほうなんですが、ヒロキくんが瞳さんを待ってるシーンがあるんです。その後の展開がわかっているので、ヒロキの気持ちを考えたら心が痛くてずっと現場でズビズビしてました」と答えた。
大阪で起きた2児放置死事件を題材にした緒方の前作「子宮に沈める」を鑑賞していたという筒井。「(緒方は)日本の監督の中ではとても珍しい社会派。こんな監督がいるんだと印象に残っていました。それから『飢えたライオン』のオファーをいただき二つ返事で」と出演の経緯に触れながら「映画ってもちろんエンタテインメントも大切ですが、じっくり観てじっくり考えるのもとても大切。そういう映画がこれからの日本にも増えてほしい」と期待を寄せる。本作が2017年の第30回東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品された際には、「ローサは密告された」などで知られるブリランテ・メンドーサのTIFF マスタークラスに緒方とともに出席したそう。そして「(メンドーサと緒方は)とてもタッチが似ている。これからどんどん大きくなっていく監督なのでぜひ皆さんの応援よろしくお願いします」と語りかけた。
「飢えたライオン」はテアトル新宿にてレイトショー上映中。全国でも順次公開される。
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おおとも ひさし @tekuriha
「飢えたライオン」監督が当初のコンセプト語る「クリスマスに恋人と観る映画」(写真12枚) - 映画ナタリー https://t.co/IvbCzeKTNg