女性専用の会員制コールクラブ・パッションで働くことになった森中領が、“娼夫”のリョウとしてさまざまな女性と体を重ねていく中で成長する姿を描く本作。数多くの女性客が集まった試写会のあとに登壇した石田は開口一番、「しっとりしていただけるとうれしい。下ネタですけどね」と挨拶して笑いを誘い、「日本には大人の女性向けの恋愛映画が本当になかったんで、ずっと待ってましたね」と述べる。
司会を務めた著述家の湯山玲子が、松坂演じるリョウを大絶賛し「(リョウのために)財形解約する勢い!」と興奮気味に話すと、石田は「『池袋ウエストゲートパーク』のタカシとリョウは僕の書いた小説の中でもモテキャラ。結婚したいとか1時間1万円ならすぐ買うっていう人いますよ」と明かす。小説「娼年」は三浦と松坂のタッグで2016年に舞台化もされたが、三浦が舞台を「本当に大変でしたよね。ベッドシーンをちゃんとやりきらなきゃなという義務感があった」と述懐すると、石田は「小説もベッドシーンは一切腰を引いていないんですよ。とにかく書くのが楽しかった。こんなことできたらいいなあとか、子供の頃からの妄想が初めて役に立った小説ですね」と笑顔で語った。
一方、三浦は映画版の撮影について「役者も口をそろえて言ってるけど楽しくはないです(笑)。いいものができるんだろうなというモチベーションはずっと保ってましたね」と吐露。石田は「普通の映画だとセリフのやりとりとか感情的な山場で心境の変化や成長を描くじゃないですか。それをセックスシーンだけで描いていかなきゃいけないのは大変ですよねえ」と三浦に同調し、「セックスシーンはボリショイ・バレエみたいな細かい振り付けを入れてるんです」と観客に説明する。
石田はリョウのキャラクターを「この20年で変わったのは、とにかくみんなが性で苦しんでいる。結婚したらレスになっちゃう、でも不倫したら死ぬほど叩かれるってもう行き場がないじゃないですか。誰にも癒やしを求められなくて生きている人へのリョウくんだと思うんですよね。彼の優秀さに時代が追いついてきたと思います」と考察する。三浦が松坂のキャスティングは当初不安があったと回想し、「だけど舞台を経て今は松坂くん以外考えられないですね」と信頼を示すと、石田は「この役は散々セックスをするんで、もとから透明感のある子じゃないとどんどん汚れていっちゃうんですよ。松坂くんの無色透明感はぴったりですよね」と称賛した。
最後に三浦は「この映画はR18+指定ですけど幅広い人に観てもらわないと意味がないんです。映画館に行かない人にも届いたら映画界も盛り上がるんじゃないかなと思います」、石田は「ぜひカップルで来て本当はこんなことしたかったとかこんなこと思ってたとか、映画をネタに話し合って2人でラブホに行ってほしいです」とそれぞれアピールし、イベントは観客の大きな拍手に包まれたまま終了した。
「娼年」は、4月6日より東京・TOHOシネマズ 新宿ほか全国でロードショー。
※「娼年」はR18+指定作品
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- 「娼年」公式サイト
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ようこ @kyuuri555tomato
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