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東日本大震災の体験伝える男性を追う記録映画「息の跡」公開、濱口竜介のコメントも

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「息の跡」

「息の跡」

山形国際ドキュメンタリー映画祭2015に出品された「息の跡」が、2月18日より東京・ポレポレ東中野ほか全国にて順次公開される。

蓮實重彦や三浦哲哉といった評論家が高く評価する映像作家・小森はるかが監督を務めた本作は、東日本大震災により甚大な被害を受けた岩手・陸前高田市で撮影されたドキュメンタリー。種苗店を営みつつ自らの被災体験を英語でつづり、自費出版している佐藤貞一氏の姿を、同地に移り住んだ小森が捉える。

現在YouTubeで公開中の予告編には佐藤が自費出版した英語の本を朗々と読み上げるシーン、壁やタンクに顔が描かれた種苗店の様子などを収録。ほかに小森と佐藤が楽しげに会話を交わす姿、佐藤が「実際被災した人じゃないとわかんないだろ?」と小森に問いかける場面なども切り取られている。

またこのたび、映画監督の濱口竜介、マンガ家のいがらしみきお、批評家の佐々木敦のコメントも到着。濱口は「どうしたらこんな映画ができるのか、こんな人が写るのか、わからない。ただ、『息の跡』は『わからなさ』と徹底的に付き合う覚悟のある人だけが作ることのできる映画だとはわかる」と述懐している。

濱口竜介 コメント

どうしたらこんな映画ができるのか、こんな人が写るのか、わからない。
ただ、「息の跡」は「わからなさ」と徹底的に付き合う覚悟のある人だけが作ることのできる映画だとはわかる。
だから私も同じ覚悟で何度でも、スクリーンの前に座りたい。

いがらしみきお コメント

「震災体験を伝えたいけど、なぜそれをわざわざ外国語で書いたのか」、その事実に胸を打たれます。そして、とても元気な声で英文を読む佐藤さんに微笑まされました。トーホクにはたくさんの「佐藤さん」がいて今日も日常を生き続けているのだと思います。

佐々木敦 コメント

画面の向こうから、やたらと話し掛けてくる佐藤貞一さんと、それにタメ口で応える小森監督のやりとりがなんとも微笑ましい。
だがその屈託のない会話は、或る途方もない「失語」によって支えられている。
そのことがはっきりと示されたとき、観客もまた言葉を失うことだろう、私がそうだったように。
だが「失語」が「無言」でも「忘却」でもないということも、ふたりは教えてくれる。
この映画は、こうして撮られ完成されたこと自体に、大きな、とても大きな意味がある。
その「意味」を、多くの観客に開かれることによって育てていかなくてはならない。

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