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カザフスタンの女性監督が語るこだわり「どのシーンもポスターになるように」

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「わたしの坊や」監督のジャンナ・イサバエヴァ。

「わたしの坊や」監督のジャンナ・イサバエヴァ。

本日11月23日、第16回東京フィルメックスのコンペティションに出品された「わたしの坊や」の上映が東京・有楽町朝日ホールで行われ、監督のジャンナ・イサバエヴァらがティーチインに参加した。

「わたしの坊や」は、カザフスタンの監督であるイサバエヴァによる第5作。わずか5歳で最愛の母を亡くし、14歳にして余命宣告された少年が、絶望から恨みを抱く人々へ復讐に走る姿が描かれる。まずイサバエヴァは、本作のタイトルに込めた意味について言及。原題となった「Bopem」はカザフスタンのポピュラーな子守唄の歌詞であり、子供が生まれ、あやすことの象徴的な言葉であるため選んだと話す。

また本作では、かつて世界でも指折りの大きさを誇っていたカザフスタンに位置する湖・アラル海の干上がった光景が捉えられる。漁師たちが集まり水産業が盛んだった場所には、残骸となった船が。環境問題もバックグラウンドに描きながら、渇いた風景や廃船によって、遺棄された子供の孤独をよりいっそう浮き彫りにしているという。

自らもシネマトグラファーであるという観客からは、素晴らしい構図の画があったと絶賛の声が上がった。イサバエヴァは「構図まで観てもらえてうれしい」と喜び、低予算ということもあって失敗のないよう各シーンのコンテを練りに練っていたことを説明。「1つひとつのシーンが映画のポスターになるつもりで作りました」と満足げに語った。

さらに、イサバエヴァのこだわりは画面の色合いにも及ぶ。劇中ではカザフスタンの荒涼とした風景と、鮮やかな花が彩る母との思い出が対比的に描かれた。イサバエヴァは「母親とはすべての生命の源であり、喜びである。プラスのイメージがいなくなった世界は無味乾燥。そういうコントラストにも注目していただき、ありがとう」と、観客の細やかな観察眼に感激した様子を見せた。

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