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富士の樹海を舞台にしたガス・ヴァン・サント最新作、カンヌで賛否両論

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「The Sea of Trees(原題)」場面写真

「The Sea of Trees(原題)」場面写真

ガス・ヴァン・サントの最新作「The Sea of Trees(原題)」が、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で現地時間5月16日に上映された。記者会見には、キャストのマシュー・マコノヒーナオミ・ワッツ、監督のガス・ヴァン・サントが出席した。

「The Sea of Trees」は、青木ヶ原の樹海を舞台に、自死するために森へ入った男たちが出会い生きる目的を取り戻す物語。撮影は主にアメリカのマサチューセッツ州で行なわれたが、東京のシーンを撮る際に来日し青木ヶ原を訪れたヴァン・サントは、「富士山の麓にあって、普通の森林と変わらない場所だ。ちょっと違うのは、樹海の周りは観光地化されていて、アイスクリームの店がある隣に『あなたの命は価値のあるものです』といった、自殺を思い止まらせるための看板があること。その看板によって生死が分かたれているような不思議な場所だった」と印象を語る。

マコノヒーも「脚本を読むまで樹海の存在は知らなかったが、インターネットで調べて興味を持った。1カ月間にどれだけの遺体が発見されるかという話や、どうして人々は樹海に入っていくのか、など。とても不気味な感じがしたね。撮影に入る前に、日本における自殺の意味や理由なんかを共演したケン(渡辺謙)から聞いたよ」と樹海についての感想を述べた。

劇中でマコノヒーと夫婦役を演じるワッツは、事前にキャラクターになりきってメールを交換していたと明かす。「『帰りに牛乳を買ってきてね』というメールを送り合ったり、過去に起きたつらいことに関する長いメールを書いたりしたわ。マシューから詩を書いて送ってもらったこともある。いざ現場で初めて顔をあわせたとき、『初めまして、ナオミです』というあいさつの必要もなく、すぐ役に入れたわ」とワッツ。ヴァン・サントは2人のやりとりをまったく知らなかったそうだ。

作品には賛否両論の声が上がっている。ヴァン・サントは「『エレファント』のときも支持派とアンチの間で殴り合いの喧嘩が起きたと聞いた。とてもカンヌらしい受け止められ方だと思う」と、カンヌの常連らしい余裕を見せた。なお、「エレファント」ではパルムドールと監督賞をダブル受賞している。

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