サカナクション、お台場で「kikUUiki」の世界を完全再現

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サカナクションの全国ツアー「SAKANAQUARIUM 2010 kikUUiki」が、5月28日に東京・Zepp Tokyoでファイナルを迎えた。

ライブで披露された新曲「アイデンティティ」は、8月4日にシングルとしてリリース。初回限定盤には日本武道館公演の先行予約情報が封入される(写真:石阪大輔(Hatos))。

ライブで披露された新曲「アイデンティティ」は、8月4日にシングルとしてリリース。初回限定盤には日本武道館公演の先行予約情報が封入される(写真:石阪大輔(Hatos))。

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アンコール後「Twitter用に写真撮っていい?」と客席にカメラを向けた山口(写真)は、壮観な光景を目の前に「わぁ、すげぇ!」と思わず口にした(写真:石阪大輔(Hatos))。

アンコール後「Twitter用に写真撮っていい?」と客席にカメラを向けた山口(写真)は、壮観な光景を目の前に「わぁ、すげぇ!」と思わず口にした(写真:石阪大輔(Hatos))。

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岩寺基晴(写真:石阪大輔(Hatos))

岩寺基晴(写真:石阪大輔(Hatos))

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4月2日の大阪公演を皮切りにスタートした今回のツアーは、現在の彼らの勢いを反映するように全公演が即日完売。最終公演にあたるこの日は、2700人が会場に足を運び、ステージ上で再現された最新アルバム「kikUUiki」の世界を体感した。

開演前の会場には、水音とSEが混ざり合うように流れ、深海の底を思わせる幻想的な空間が観客を出迎える。機材トラブルの関係で数十分ほど開演が遅れたが、無事セッティングが終わったことがアナウンスされると大きな拍手が沸き起こり、いよいよライブがスタートした。

ゆっくりと客電が落ち、ステージを覆っていた幕にメンバーのシルエットが映し出される。そして始まったのは、「kikUUiki」に収録されているインストゥルメンタルナンバー「21.1」。江島啓一(Dr)のドラムに合わせて、岩寺基晴(G)と草刈愛美(B)が打楽器を叩き、太いグルーヴを作り出す。曲のクライマックスでは山口一郎(Vo)のシルエットが浮かび上がり、間髪入れずに幕が振り落とされステージが全貌を現す。観客は劇的な演出を歓迎するように地鳴りのような歓声をあげ、サウンドと呼応するようにフロアを揺らし始めた。

山口は「みんなお待たせ! 用意はいいかい?」と煽ると、そのまま「明日から」へなだれ込む。緻密に構成された楽曲を完璧に再現するパフォーマンスと、それにあわせて展開される照明のシンクロ率は抜群。続けざまに、草刈と岡崎英美(Key)のコーラスが彩りを添える「表参道26時」、強烈なビートの応酬と刺激的なフラッシュライトが印象的な「セントレイ」が披露されると、フロアは真夜中のクラブさながらの熱気を帯びていった。

シンプルなライティングが楽曲のディスコティックな色合いを際立たせた「Klee」の演奏終了後、山口が「どうもサカナクションです」と挨拶。続けて「今日はアレをアレするんで、楽しみにしててください」「『SAKANAQUARIUM 2010 kikUUiki』本当に最後です。みんなも最後まで楽しんで、踊って帰ってください」と含みのある言葉を交えながら観客に語りかけた。

中盤で演奏されたのは「kikUUiki」の中核を成す楽曲群。民族音楽的なドラムとシンセの音色が響いた「YES NO」、扇状に広がるレーザーと5人の奏でるダイナミックな音塊が融合した「アンダー」、ドラマチックな展開が聴き手を高揚させた「シーラカンスと僕」などバンドのディープな世界観を提示した楽曲を、オーディエンスは細かな演出とともに味わった。

後半に差し掛かると、ライブの定番曲が次々と披露され、会場の盛り上がりが何度もピークに達する。中でもビートに合わせて無数のレーザーが躍動的に会場を舞った「ネイティブダンサー」と、シングルとしてもリリースされたスピード感ある「アルクアラウンド」では、オーディエンスが踊りまくる様子が見られた。

本編を締めくくったのは「kikUUiki」の世界を凝縮した「目が明く藍色」。5人は時折顔を見合わせ、息を合わせるようにしながら、叙情的で壮大なロックシンフォニーを全身全霊で奏でる。最後の音が響き終わると、さざなみのような拍手が沸き起こり、山口はピースサインを高らかに掲げ観客に感謝を伝えた。

もちろんこれでライブが終わるはずがなく、アンコールを求める熱烈な拍手が発生。その拍手をかき消すように「Ame(B)」が爆音で鳴り始めると、会場の熱気が再び上昇した。「Ame(B)」でしっかり観客の心をつかむと、続いてサカナクション版「勝手にシンドバッド」というキャッチーな新曲「アイデンティティ」を初披露。たたみ掛けるような山口のボーカルと、起伏の激しい展開が印象的なアッパーチューンを、オーディエンスは全身で受け止めた。

アンコールのMCで山口は「みんなに報告があって……武道館やります!」と10月8日に初の日本武道館単独公演を開催することを宣言。「(ライブはバンドの)ターニングポイントになると思います。でもライブハウスでやるつもりでやりますんで」と意気込みつつ、「武道館のときは柔道着を着ていこうかな」と茶目っ気たっぷりに語り観客を笑わせる。最後に「またシングル出して、夏フェス出て、必ず良い曲書きますんで、これからもよろしくお願いします」とファンに再会を約束すると、ラストナンバー「ナイトフィッシングイズグッド」を歌い始めた。ツアーによって厚みを増した5人の演奏とコーラスはフロアを飲み込み、「SAKANAQUARIUM 2010 kikUUiki」はこれ以上ないほど荘厳な空気が漂う中で大団円を迎えた。

なおサカナクションはこの夏、「JOIN ALIVE」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2010」「SUMMER SONIC 2010」など各地の夏フェスに出演。そして8月4日にはライブ中に披露した「アイデンティティ」のリリースも控えており、彼らの快進撃は今後もとどまることはなさそうだ。

「SAKANAQUARIUM 2010 kikUUiki」Zepp Tokyo公演セットリスト

01. 21.1
02. 明日から
03. 表参道26時
04. セントレイ
05. アドベンチャー
06. Klee
07. YES NO
08. アンダー
09. シーラカンスと僕
10. Paradise of Sunny
11. ライトダンス
12. インナーワールド
13. サンプル
14. ネイティブダンサー
15. アルクアラウンド
16. 壁
17. 目が明く藍色
<アンコール>
18. Ame(B)
19. アイデンティティ
20. 潮
21. 三日月サンセット
22. ナイトフィッシングイズグッド

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音楽ナタリー @natalie_mu

サカナクション、お台場で「kikUUiki」の世界を完全再現 http://natalie.mu/music/news/32581

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