自身最大キャパ、初アリーナワンマンの幕開け
本日2月3日に結成7周年を迎えたKroi。「Kroi Live Tour 2024-2025 "Unspoil" at PIA ARENA MM」は昨年8月にスタートした全国ツアーのラストを飾るステージで、彼らにとって初のアリーナ単独公演として開催された。
定刻となりメンバー5人が姿を見せると、この日を心待ちにしていたオーディエンスの歓声と拍手がぴあアリーナMMに響き渡る。薄暗い照明の下、Kroiは息の合ったセッションで場内の空気を一気に支配すると、シームレスに「HORN」の演奏へと突入。そのまま「Psychokinesis」「Network」といった人気曲を、常に変化を繰り返すバンドの姿勢を示すかのようなライブアレンジで畳みかけ、序盤から観客のボルテージを引き上げていく。続く「Balmy Life」の演奏が始まるとステージを照らす照明が一気に明るくなり、ステージの両サイドに設置された巨大モニターには、大舞台でも気負いするなく音楽を楽しむメンバー5人の姿が映し出された。
“ギタリスト益田英知”「俺は本当に幸せだ」
7曲目の「Monster Play」は、メンバー全員による野性味あふれる声の重なりからスタート。曲中に内田怜央(Vo)が「今日はKroiちゃんの初アリーナワンマンという特別な日なので、ひさびさに益田さんにギターソロを弾いてもらおうと思います!」と宣言して持ち場を交代すると、益田英知(Dr)は気持ちよさそうに体を揺らしながらギターをかき鳴らす。その迫真のギターソロに歓声が送られる中、益田は千葉大樹(Key)が弾く美しいピアノをバックに「俺は学生の頃からブルースが好きで……けど周りにブルースを聴く友達なんていなかった。憧れのギタリスト、ジョニー・ウィンターに惚れてからは、ジョニーの愛機『Firebird』を弾く日々。このアリーナでギタリストとしてソロを弾くことができて俺は本当に幸せだ」と朴訥とした表情で語り客席の笑いを誘った。
この日のハイライトの1つとなったのが、ライブ中盤に披露された初期曲「Shincha」。Kroiはインディーズ時代から大小問わずさまざまなステージを彩ってきたこの曲を、The Isley Brothers「Footsteps in the Dark, Pts. 1 & 2」のイントロを組み込んだアレンジでじっくりと届け、オーディエンスをメロウで美しい音の世界へと引き込んでいった。5人はその後、場内に漂う余韻を断ち切るように、内田が「ぴあアリ! ぴあアリ! ぴあアリ!」と連呼する短尺のセッションナンバー「ぴあアリJAM」で抜群のコンビネーションを見せつけた。
「加担してくれている皆さん、最高にオモロいです」
ライブ終盤、内田は「ラジオでワンマンへの意気込みを聞かれたときに『面白すぎません?』って話をしてたんだけど、この感覚はあまり共有されてないのかな(笑)。昔は月の半分、みんな仕事終わりに小さいライブハウスに出てたような人たちがアリーナに立てるっていう。すげえ面白いことが起きてるんですよ。それに加担してくれている皆さん、最高にオモロいです」と超満員の観客へ感謝を伝えた。Kroiはその後、ボサノバアレンジの効いた「侵攻」で演奏を再開。次曲「Selva」では、関将典(B)と長谷部悠生(G)がスリリングなソロのかけ合いを繰り広げ、会場の温度を上昇させた。
会場を混沌としたダンスフロアへと変貌させた18曲目「Hyper」を経て、ライブはいよいよ終盤へ。Kroiは益田のタイトなドラミングでオーディエンスの注目をぐっと惹きつけると、ステージ全体が真っ青なライトの光に包まれる中、キラーチューン「Fire Brain」の演奏へとなだれ込む。突然演奏が止まると、内田が「毎度言っておりますが、Kroiは行けるところまで行きます! アリーナっていうのはいい機会なので、メンバー、支えてくれているスタッフ、こうやってKroiの音楽を聴いてくれているみんな本当にありがとうございます」と感慨深そうに語る。そして彼は「小さい頃、死ぬのが怖くて『この世に物を残して、自分の分身を作ろう』と思った。今こうして曲を作って、たくさんの人に聴いてもらえる機会があるのは幸福なこと。本当に曲を作ってよかったなと思いますし、本当にみんなありがとう」と改めてメンバーへの感謝を伝えて演奏を再開。5人のこの日一番のエモーショナルなプレイに呼応するかのように照明が鮮烈な赤へと切り替わていき、その鬼気迫るパフォーマンスにあてられた観客は体を激しく揺らして音楽を楽しんでいた。
その後のアンコールでKroiは、長谷部の預金残高が4000円しかないというアリーナ規模のアーティストとは思えないトークで観客を楽しませたのち、演歌調のフロウを取り入れた新曲「トレンド」をはじめ、「Jewel」「Juden」を披露してステージをあとにした。ライブ終演後には、ステージ中央のスクリーンに映し出された映像で2026年1月11日に大阪・大阪城ホール、23日に東京・国立代々木競技場第一体育館で初のアリーナツアーが行われることがアナウンスされた。
U-NEXTでは2月9日23:59まで、「Kroi Live Tour 2024-2025 "Unspoil" at PIA ARENA MM」の見逃し配信を実施中。Apple Music、Spotify、Amazon Music、LINE MUSIC、AWA、dヒッツでは、本公演のセットリストで構成されたプレイリストが公開されている。
セットリスト
「Kroi Live Tour 2024-2025 "Unspoil" at PIA ARENA MM」2025年2月1日 ぴあアリーナMM
01. HORN
02. Psychokinesis
03. Network
04. Balmy Life
05. dart
06. Green Flash
07. Monster Play
08. 明滅
09. sanso
10. Pass Out
11. Shincha
12. ぴあアリJAM
13. 帰路
14. 侵攻
15. selva
16. Sesame
17. Amber
18. Hyper
19. Fire Brain
<アンコール>
20. トレンド
21. Jewel
22. Juden
公演情報
Kroi Arena Tour 2026
2026年1月11日(日)大阪府 大阪城ホール
2026年1月23日(金)東京都 国立代々木競技場第一体育館
※記事初出時、見逃し配信の内容に一部誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
リンク
まはる @maharu1224
いいレポだ、、、
【ライブレポート】Kroiが小さなライブハウスからアリーナのステージへ、“加担”するファンに「最高にオモロいです」(写真11枚) https://t.co/aIjbzt4ngl