テイチク90周年×怒髪天40周年を山本譲二、川中美幸、根本要、佐々木亮介、中田裕二、村上信五ら祝福

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テイチクエンタテインメントの創立90周年と所属アーティストである怒髪天の結成40周年を記念した共同企画ライブ「テイチクよ今夜も有難う」が、2月2日に東京・Spotify O-EASTで開催された。

「テイチクよ今夜も有難う」のエンディング。(撮影:新保勇樹)

「テイチクよ今夜も有難う」のエンディング。(撮影:新保勇樹)

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増子直純&佐々木亮介の“親子”コラボで幕開け

テイチクは1934年に「帝国蓄音器株式会社」として設立された老舗レコード会社。1984年に札幌で結成された怒髪天は2004年にテイチク内のインペリアルレコードから2度目のメジャーデビューを果たし、今やテイチク所属ロックバンドの代表格とも言えるポジションを築いている。2者のアニバーサリーを記念した今回の企画には山本譲二川中美幸、根本要(スターダスト☆レビュー)、JILL(PERSONZ)、渡瀬マキ(LINDBERG)、はなわ、佐々木亮介(a flood of circle)、中田裕二、そして“SUPERなシークレットゲスト”としてアナウンスされていた村上信五(SUPER EIGHT)と、テイチク90年史を彩ってきたさまざまなジャンルのアーティストが集結。怒髪天と一夜限りの貴重なコラボレーションを繰り広げた。

怒髪天(撮影:新保勇樹)

怒髪天(撮影:新保勇樹)[拡大]

ライブの開演時刻直前には山本の師匠にあたる北島三郎の「まつり」が場内BGMとして流れ、フロアからは自然発生的に手拍子が起こりお祭りムードを盛り上げる。そしてステージに現れたこの日のホストアーティスト・怒髪天は、増子直純(Vo)の「テイチク90周年、いらっしゃい!」という挨拶から「ザ・リローデッド」「GREAT NUMBER」でライブの幕開けを飾った。続いては早くも最初のゲストである、同じインペリアルレコード所属の佐々木亮介を迎えて怒髪天の「HONKAI」を披露。ロックバンドの存在意義を熱く歌い上げる2人のバンドマンを、オーディエンスは拳を上げて称えた。

左から佐々木亮介(a flood of circle)、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)

左から佐々木亮介(a flood of circle)、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)[拡大]

現在58歳の増子が佐々木に「今38歳? 俺がヤンキーだったら息子じゃん(笑)」と問いかけると、佐々木は「お父さん……(笑)」と応えてみせる。そんな増子から革ジャンにデニムという出で立ちを「ロックスターっぽいよな」と褒められた佐々木は「ガワから入るんで」と謙遜。怒髪天のロゴをあしらったアロハシャツ姿の増子は「俺たちは忘れかけてるものがあるよな(笑)」と自虐して観客の笑いを誘った。その後2組はa flood of circleのバラードナンバー「屋根の上のハレルヤ」をパフォーマンス。情感あふれる2人の歌声でフロアを圧倒した。

中田裕二は「テイチクの大切な1ページ」、はなわは異色の競演に感動

左から中田裕二、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)

左から中田裕二、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)[拡大]

2組目のゲスト、中田裕二は怒髪天のファンクチューン「己DANCE」でコラボレーションし、グルーヴィなリズムで観客を踊らせる。「40周年おめでとうございます。でも僕テイチク辞めてるんですよ?(笑)」と中田に問いかけられた増子は「辞めチクだね(笑)。でもテイチクの大切な1ページなんだから呼ばないと」と笑顔を見せた。ゲストたちの多彩な楽曲を演奏する怒髪天に、中田は「いろんなジャンルの曲があって。怒髪天しかできないですよ」と感嘆するが、増子は「だってほかは引き受けないもん(笑)」と苦笑い。そして2人は、増子が「すごく練習した」という中田の妖艶なナンバー「誘惑」を歌い、会場の空気をガラリと変えた。

左から、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)

左から、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)[拡大]

続くゲスト、はなわをステージに呼び込んだ増子は「お茶の間の人気者をこの距離ではなかなか見れないよ」とオーディエンスに呼びかける。そんなはなわは「お笑いライブの楽屋で声をかけられた」というテイチクからのCDデビュー時のエピソードを明かして観客を喜ばせた。ここではなわが披露したのはもちろん代表曲の「佐賀県」。そんなはなわは亜無亜危異のファンとのことで、怒髪天のサポートメンバーとして参加している寺岡信芳(B)とのツインベースでの共演に「中学生のときから曲を聴いてて……」と感激した表情を浮かべていた。

渡瀬マキにフロア熱狂、川中美幸はあの名曲デュエット

渡瀬マキ(LINDBERG)(撮影:新保勇樹)

渡瀬マキ(LINDBERG)(撮影:新保勇樹)[拡大]

増子と入れ替わる形でステージには渡瀬マキが登場し、怒髪天の演奏をバックにLINDBERGのヒット曲「今すぐKiss Me」を軽やかに歌う。渡瀬のハイトーンボイスに乗せて、フロアからも楽しそうな掛け声が起こった。さらに増子から「テイチクの長女」と紹介されて登場したのは、かつて怒髪天のトリビュート音源「オトナノススメ~35th 愛されSP~」にも参加した川中美幸。ピンクの衣装を身にまとった川中は「ふたり酒」で圧巻のこぶしを聴かせつつ、フロアを埋め尽くした観客に「みんなノッてる?」「サンキュー!」と呼びかけて盛り上げた。

左から、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)

左から、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)[拡大]

川中は以前にもライブハウスのステージに立ったことがあるとのことで、当時の経緯を振り返りつつ「広瀬香美ちゃんが曲を作ってくれたので。今から24、5年前だから私が15、6歳のときかな?」ととぼけてみせ、増子から「いい加減にしてください(笑)」とツッコまれる。抜群のコンビネーションを見せる2人は、続いてカラオケ音源に乗せて石原裕次郎と牧村旬子のヒット曲「銀座の恋の物語」をデュエット。「艶っぽい声で、やっぱり歌がうまい!」と驚く増子に対し、川中は「まあ、持って生まれたもんだから(笑)」と涼しい顔を見せた。そしてハッピ姿の上原子友康(G)と坂詰克彦(Dr)を従え、2人はかつて川中もカバーした怒髪天の楽曲「ニッポン・ワッショイ」を歌い、会場の一体感を高めた。

75歳・山本譲二のバイタリティに増子も感嘆

山本譲二(撮影:新保勇樹)

山本譲二(撮影:新保勇樹)[拡大]

次の曲を観客が固唾をのんで待ち受ける中、怒髪天が奏でたのは矢沢永吉「止まらないHa~Ha」のイントロ。ここでステージにはド派手なシルバーのロングジャケットにサングラス姿の山本譲二が登場し、オーディエンスをどよめかせた。山本と増子のアグレッシブな熱唱に合わせて、フロアではタオルが投げ上げられるひと幕も。今回、増子のリクエストでこの曲を歌ったという山本は「怒髪天がいて山本譲二がいる、という……」と40周年を迎えた彼らを持ち上げ「そんなわけないじゃないですか!(笑)」と増子を恐縮させた。

「私が命の次に大事なのは孫、その次が家族。その次に大事な曲を歌います」という山本の流れるような曲紹介に続いては大ヒット曲「みちのくひとり旅」を増子とともに歌う。大先輩をステージから送り出した増子は、山本がライブ前日に75歳の誕生日を迎えたことに触れ「今朝まで誕生日で飲んでて、そのあとリハーサルやって『打ち上げ楽しみだね』って(笑)。異常に元気ですよ」とそのタフさに驚いていた。

同じく40周年JILLの熱唱、根本要は弾丸トーク炸裂

JILL(PERSONZ)(撮影:新保勇樹)

JILL(PERSONZ)(撮影:新保勇樹)[拡大]

ここで増子の次のボーカリストとしてJILLが現れ、PERSONZの代表曲「DEAR FRIENDS」を熱唱。彼女が繰り出すパワフルなボーカリゼーションにオーディエンスは熱狂し、合唱しながら拳を振り上げる。JILLはテイチク90周年、怒髪天の40周年を祝しつつ「PERSONZも40周年です!」と笑顔を見せた。JILLに続いてステージに登場した根本要は「テイチクを7~8年前に優秀な成績で卒業した、スターダスト☆レビューの根本要です!」と自己紹介。増子とともに「夢伝説」のハイトーンボイスを響かせた。

左から根本要、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)

左から根本要、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)[拡大]

根本は「長いことやっているといろいろな人とコラボするけど、僕は声が高いからみんなにイヤな顔をされるんですよ(笑)。でも増子は楽しそうにやってくれる」と、以前のコラボライブをきっかけに意気投合したという増子とのステージを喜ぶ。増子は「2人でしゃべり出すと誰も止める人がいない(笑)」と言いつつ指定席の観客をわざわざ座らせて軽快なトークを繰り広げたのち、怒髪天の楽曲「歩きつづけるかぎり」でもコラボ。息の合ったボーカルを響かせた。

SUPERなシークレットゲスト村上信五、怒髪天と初の生コラボ

村上信五(SUPER EIGHT)(撮影:新保勇樹)

村上信五(SUPER EIGHT)(撮影:新保勇樹)[拡大]

増子が「ここで“SUPERなシークレットゲスト”をお呼びします。もうみんな『キャー!』ですよ」と煽り、ステージに呼び込んだのは村上信五。黄色い歓声に迎えられた村上は「危なかったですよ、キャーって言われなかったらどうしようかと(笑)」と笑顔を浮かべ、直前まで繰り広げられてきた大スターたちのステージに「よう楽しそうに音楽やってますね! 我々のグループもこうありたいです」と刺激を受けた様子を見せた。2004年のCDデビューから2014年までテイチクに所属していたSUPER EIGHT。増子は「テイチクにとってすごく大きな骨だったのが、ご勇退されて……(笑)」と彼らがレーベルを離れた当時を振り返る。一方、村上はデビュー曲となった演歌「浪花いろは節」について「“節”って!と当時は思いましたけど(笑)20年経ってみるとあの曲でよかったな、と」と懐かしそうに語った。

左から村上信五(SUPER EIGHT)、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)

左から村上信五(SUPER EIGHT)、増子直純(怒髪天)。(撮影:新保勇樹)[拡大]

怒髪天はSUPER EIGHTに複数の楽曲を提供しているが、増子は「ドームで観たとき感動したよ、俺たちの曲を5万人が聴いてるんだもん。あのとき思ったね、『曲は間違ってなかったんだ、演者の問題だったんだ』って(笑)」と彼らのライブを観たときの率直な心境を語って笑いを誘う。和やかなやり取りのあと、村上は2012年に怒髪天が提供したシングル「あおっぱな」を彼らの演奏に乗せて熱唱。増子と村上は肩を組み、リリースから約12年を経て実現したという初の生コラボを心から楽しんでいた。

「テイチクよ今夜も有難う」のエンディング。(撮影:新保勇樹)

「テイチクよ今夜も有難う」のエンディング。(撮影:新保勇樹)[拡大]

増子は「ほかのレコードメーカーではあり得ないごった煮のイベント」と今回のライブを振り返りつつ「テイチクっていい会社だなと思うのが、(出演者のうち)辞めチクが半分くらいいるっていうね(笑)。すごくないですか」と異色のラインナップに対する感想をストレートに述べる。最後に出演者がステージにそろい、披露したのはテイチクを代表する昭和の大スター・石原裕次郎のヒット曲で、今回の公演タイトルにもなった「夜霧よ今夜も有難う」。ライブハウスが重厚かつしっとりとした空気に包まれる中、イベントはテイチクエンタテインメントの代表取締役社長・栗田秀樹氏による一本締めで終了した。

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セットリスト

「テイチクエンタテインメント90周年×怒髪天40周年共同企画『テイチクよ今夜も有難う』」2025年2月2日 Spotify O-EAST

01. ザ・リローデッド
02. GREAT NUMBER
03. HONKAI with 佐々木亮介(a flood of circle
04. 屋根の上のハレルヤ with 佐々木亮介(a flood of circle)
05. 己 DANCE with 中田裕二
06. 誘惑 with 中田裕二
07. 佐賀県 with はなわ
08. 今すぐKiss Me vocal 渡瀬マキ(LINDBERG
09. ふたり酒 vocal 川中美幸
10. 銀座の恋の物語 with 川中美幸
11. ニッポン・ワッショイ with 川中美幸
12. 止まらないHa~Ha with 山本譲二
13. みちのくひとり旅 with 山本譲二
14. DEAR FRIENDS vocal JILL
15. 夢伝説 with 根本要(STARDUST REVUE)
16. 歩きつづけるかぎり with 根本要(STARDUST REVUE)
17. あおっぱな with 村上信五(SUPER EIGHT
18. オトナノススメ
19. 夜霧よ今夜も有難う

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テイチクエンタテインメントJ-POP💿 @teichikujpop

【#テイチク90周年 × #怒髪天40周年 合同企画】
LIVE REPORT📝

@natalie_mu に登場💡2/2(日)に東京・Spotify O-EASTで行った『#テイチクよ今夜も有難う』の模様をお届け🎶テイチクの歴史に名を刻んだアーティストたちと #怒髪天 による一夜限りの共演を振り返ってみては❓
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