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これは、
会見には、錦之助、隼人らが出席。なお、親子がそろって巡業公演に出演するのは、約10年ぶりのこと。錦之助は「隼人が小学生のときにした巡業のことも、よく覚えています。そのときはホテルの部屋が同じだったので、時間があれば『遊びに行こう』と、北海道公演ではグライダーにも乗りました。隼人が大きくなったら部屋が別になりましたので、そうなると『朝、隼人はちゃんと起きてくるかな、大丈夫かな』と心配になったり(笑)」と親子ならではのエピソードを明かす。錦之助の言葉に、隼人は少し照れくさそうな表情を浮かべつつ、「僕自身、巡業への出演は10年ぶりになります。幼少の頃は、やはり毎日劇場が変わることに驚いていましたね。複雑な作りの会場もあったりして、劇場に入るとまず父と導線確認をしていた記憶があります」と話す。また「親子でガッツリお芝居をすることは、近年なかなかありませんでしたので、楽しみ。父との責任興行になりますので、周りの方々の体調にも気をつけて勤めたいですね」と真摯に述べた。
「引窓」で、隼人が南方十次兵衛を勤めるのは、昨年1月の「新春浅草歌舞伎」以来2度目で、錦之助が濡髪長五郎を勤めるのは、昨年7月に国立劇場で行われた歌舞伎鑑賞教室以来、3度目となる。7月公演の記者会見で、錦之助は「(隼人が1月公演で南方十次兵衛を初役で勤めたことから)私と隼人の『引窓』もできるのでは」と目を輝かせていた。錦之助は「こんなにも早く夢がかなうとは」と笑顔を見せ、「私が初めて濡髪を勤めたのは、2011年の永楽館での公演で、(片岡)愛之助さんの南方十次兵衛でした。そのときは、播磨屋のお兄さん(中村吉右衛門)に、1から手取り足取り教えていただきました。今回も、お兄さんから教わったことを、1から勉強し直したい」と話し、役の難しさに関して「濡髪は、『角力場』では貫禄が重要ですが、『引窓』ですと心の葛藤を見せないといけません。それは言葉や動作で表現できるものではなく、お腹で表現するもの。そこに難しさを感じています」と触れる。隼人は、南方十次兵衛について「昨年は(片岡)仁左衛門のおじさまに教えていただいて、勤めました。(仁左衛門が)おっしゃっていたことは、『引窓』は義太夫狂言なので様式的に捉えがちだが、感情が大事だ、ということです。親子の情愛や義理人情が描かれていて、大好きな演目ですので、なじみのないお客様にも感動していただけるよう、父と模索してやりたい」と言葉に力を込めた。
「身替座禅」は、浮気性な大名・右京と、嫉妬深い妻・玉の井による、コミカルな舞踊劇。錦之助は「(中村)富十郎のお兄さんの右京で太郎冠者を勤めて以来、いろいろな方の右京、玉の井とご一緒してきました」と語り、玉の井について「私自身、優しいお父さんですので、どこまで怖くできるかわかりませんが(笑)、彼女はヤキモチ焼きなだけの可愛い奥方なんです。先輩方も、みんなどこか可愛らしく演じていらしたので、先輩方を見習い、お客様に『可哀想で、かわいいな』と思っていただけるように演じたいですね。また、隼人の奥方になるわけですので、若々しくできれば(笑)」と冗談交じりに話す。右京を初役で勤める隼人は「大人になって、初めて勤めた女方が侍女の小枝でした。仁左衛門のおじさまの右京で、太郎冠者も勤めたこともありますが、『いつかは右京を』と思っておりました。今回、しかも親子で勤められることがうれしいです。父も、右京は勤めたことがありますので、相談しながら作りつつ、物怖じせずにぶつかっていきたい」と述べる。
会見では、隼人による「ご挨拶」の話題に。隼人は「各会館からも、この『ご挨拶』では一体どんなことをするのか、とお問い合わせをいただいておりますが(笑)、『ご挨拶』をさせていただくきっかけは、『新春浅草歌舞伎』です。この公演は、かつてはお客様にあまり来ていただけない公演だったのですが、そこで先輩方が『お年玉ご挨拶』という企画を思いつきました。これは、舞台の上演前に、歌舞伎俳優が素顔で演目や浅草の観光名所、そして他愛のない話をして、お客様に出演者に対し、親近感を持っていただくことを目的としているのですが、今回はそれを踏襲したく、無理を言って『ご挨拶』をさせていただくことになりました」と明かす。「ただ、浅草歌舞伎での『ご挨拶』は、その次の演目に出ていない人や、出番までに余裕のある人が担当するものだったのですが、私は『ご挨拶』のあと、すぐに南方十次兵衛として出ないといけません。ですので、もし間に合わなかったら申し訳ございません(笑)」と茶目っ気たっぷりに微笑んだ。
公演は、10月31日の神奈川・藤沢市民会館公演を皮切りに、全国を巡業する。詳細は、各劇場の公式サイトを確認しよう。
令和6年度(公社)全国公立文化施設協会主催 松竹大歌舞伎
2024年10月31日(木) ※公演終了
神奈川県 藤沢市民会館
2024年11月1日(金) ※公演終了
埼玉県 サンシティ越谷市民ホール 大ホール
2024年11月2日(土) ※公演終了
東京都 たましんRISURUホール(立川市市民会館)ホール
2024年11月3日(日) ※公演終了
新潟県 柏崎市文化会館アルフォーレ
2024年11月4日(月・振休) ※公演終了
山形県 山形市民会館
2024年11月6日(水) ※公演終了
北海道 札幌市教育文化会館
2024年11月8日(金) ※公演終了
北海道 コーチャンフォー釧路文化ホール
2024年11月10日(日) ※公演終了
宮城県 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
2024年11月11日(月) ※公演終了
秋田県 あきた芸術劇場ミルハス 大ホール
2024年11月14日(木) ※公演終了
愛知県 春日井市民会館
2024年11月15日(金) ※公演終了
岐阜県 岐阜市民会館
2024年11月16日(土) ※公演終了
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
2024年11月17日(日) ※公演終了
大阪府 フェニーチェ堺
2024年11月19日(火) ※公演終了
徳島県 あわぎんホール(徳島県郷土文化会館)
2024年11月21日(木) ※公演終了
広島県 東広島芸術文化ホールくらら
2024年11月23日(土・祝)
静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート)
2024年11月24日(日)
東京都 練馬文化センター
2024年11月25日(月)
神奈川県 綾瀬市オーエンス文化会館
スタッフ
三、「新古演劇十種の内『身替座禅』」
作:岡村柿紅
出演
一、「ご挨拶」
二、「『双蝶々曲輪日記』引窓」
南与兵衛後に南方十次兵衛:中村隼人
女房お早:市川笑三郎
平岡丹平:中村蝶一郎
三原伝造:上村吉太朗
母お幸:上村吉弥
濡髪長五郎:
三、「新古演劇十種の内『身替座禅』」
山蔭右京:中村隼人
太郎冠者:市川青虎
侍女千枝:上村吉太朗
同 小枝:上村折乃助
奥方玉の井:中村錦之助
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