尾上菊五郎、「勢獅子門出初台」は“初春歌舞伎らしい演出”を入れ「ちょっとお遊び風にできたら」

2

110

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 33 74
  • 3 シェア

「令和6年初春歌舞伎公演」の取材会が、昨日12月14日に東京・新国立劇場で行われた。

前列左から中村時蔵、尾上菊五郎、後列左から中村萬太郎、坂東彦三郎、尾上菊之助、中村梅枝。

前列左から中村時蔵、尾上菊五郎、後列左から中村萬太郎、坂東彦三郎、尾上菊之助、中村梅枝。

大きなサイズで見る(全7件)

「初春歌舞伎公演」は、毎年1月に東京・国立劇場で開催されてきた公演。国立劇場が建て替えに伴い10月末に閉場したため、来年は新国立劇場 中劇場で実施される。上演演目には、梶原平三景時役で尾上菊之助、大庭三郎景親役で坂東彦三郎、六郎太夫娘梢役で中村梅枝、俣野五郎景久役で中村萬太郎が出演する「梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場」、女房葛の葉 / 葛の葉姫役で梅枝、安倍保名役で中村時蔵が出演する「芦屋道満大内鑑 -葛の葉-」、そして尾上菊五郎らが出演する「勢獅子門出初台」が並んだ。

尾上菊五郎

尾上菊五郎[拡大]

取材会には、菊五郎、時蔵、菊之助、彦三郎、梅枝、萬太郎が出席した。菊五郎は「2024年の『初春歌舞伎』は、今までの三宅坂とは違って、この初台の地で勤めさせていただきます。私も今日初めて来ましたが、楽屋もとっても広いんですよね」と述べつつ、自身が鳶頭の“音羽の菊五郎”役で出演する「勢獅子門出初台」について「“初春歌舞伎らしい演出”を何か持ってこようかと思っております(笑)。『梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場』と『芦屋道満大内鑑 -葛の葉-』は、しっかりと演じてもらって、最後の『勢獅子』はちょっとお遊び風にできたら」と構想を明かす。

中村時蔵

中村時蔵[拡大]

時蔵は、新国立劇場 中劇場について「舞台は国立劇場の小劇場よりも若干大きく盆もございます。歌舞伎の醍醐味のある舞台をお届けしたいと思い、『葛の葉』では、盆を使った三方飾りなどをお見せしたい」と語り、「歌舞伎をお好きなお客様にとっては、なじみの少ない劇場ではございますが、ここに足を運んで、歌舞伎を観て良かったと言ってもらえるような舞台を勤めたい」と続ける。また「勢獅子門出初台」には、坂東亀三郎、尾上丑之助、尾上眞秀、小川大晴も出演する。時蔵はこのことに触れ、「今回は息子たちに加え、孫の大晴も出演いたします。子役のうちは、あまり教え込まず、子供らしくしておくようにしていますし、元気に1カ月間、休まず勤めてくれれば良いなと思っております」とコメントした。

尾上菊之助

尾上菊之助[拡大]

坂東彦三郎

坂東彦三郎[拡大]

菊之助は「新しい国立劇場へ向かっての第一歩を、この初台の地で踏み出すことができて、とてもうれしく思っております」と述べる。また「梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場」を「お正月に相応しい演目。懸命に生きる人たちの生き様の美しさ、そして梶原平三の志の高さ、深さ、仁と義、智仁勇、そうした日本人が大切にしなくてはいけないことがたくさん詰まっています」と表現し、「今回は岳父・中村吉右衛門が、初代吉右衛門から受け継いだ刀、そして岳父が生前、次に梶原平三を演じるときに使おうと思って新しく作った印籠を使います。岳父の教えを守り、勤めたい」と言葉に力を込める。来年、年男となる彦三郎は「竜のように飛躍できれば」と話し、「以前『石切梶原』で俣野を勤めたときや、襲名披露で梶原を勤めたときに、大庭を勤めていたのが父(坂東楽善)でございます。父は、大庭は大名らしくしていることが大事だということですので、そのように勤めたい」と意気込みを述べる。

中村梅枝

中村梅枝[拡大]

中村萬太郎

中村萬太郎[拡大]

梅枝は、「梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場」で梢、「芦屋道満大内鑑 -葛の葉-」で女房葛の葉 / 葛の葉姫を、いずれも初役で勤める。梢については「私の祖父(四代目中村時蔵)が1月の公演の千秋楽の日に亡くなっておりますけれど、そのときに勤めていたのが梢でございまして、そういう意味でも一度させていただきたいなと思っていた役。六郎太夫との親子の情というものを大事に勤めたい」、女房葛の葉 / 葛の葉姫については「人ならざる者だからこその深い愛情、それをストレートに出すことができれば」と思いを語った。「梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場」で俣野五郎景久役を初役で演じる萬太郎は「俣野は赤っ面の敵役、大庭がどっしり構えている中で、俣野は大庭が届かないところに手を伸ばしてあげるようなお役です。変に遠慮しても面白くないですし、見ているお客様に『なんだこいつは』と思っていただけるよう憎々しく勤めあげたい」と話す。

公演は1月5日から27日まで。

この記事の画像(全7件)

「令和6年初春歌舞伎公演」

2024年1月5日(金)~27日(土)
東京都 新国立劇場 中劇場

「梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場」

作:文耕堂、長谷川千四

出演

梶原平三景時:尾上菊之助
大庭三郎景親:坂東彦三郎
六郎太夫娘梢:中村梅枝
俣野五郎景久:中村萬太郎
梶原方大名:市村竹松
梶原方大名:市村光
青貝師六郎太夫:嵐橘三郎
囚人剣菱吞助:片岡亀蔵
ほか

「芦屋道満大内鑑 -葛の葉-」

作:竹田出雲

出演

女房葛の葉 / 葛の葉姫:中村梅枝
信田庄司:河原崎権十郎
庄司妻柵:市村萬次郎
安倍保名:中村時蔵
ほか

「勢獅子門出初台」

出演

鳶頭 音羽の菊五郎:尾上菊五郎
鳶頭 鶴吉:尾上菊之助
鳶頭 亀吉:坂東彦三郎
芸者 お梅:中村梅枝
鳶頭 萬吉:中村萬太郎
手古舞 おゆう / 若い者 勇吉:坂東亀三郎
手古舞 おふみ / 若い者 文吉:尾上丑之助
手古舞 おひで / 若い者 新吉:尾上眞秀
手古舞 おせい / 若い者 清吉:小川大晴
世話人 松島屋亀蔵:片岡亀蔵
世話人 山崎屋権十郎:河原崎権十郎
芸者 お橘:市村萬次郎
芸者 お時:中村時蔵
ほか

全文を表示

読者の反応

  • 2

中村福助 @fukusuke9_

#尾上菊五郎 お兄さん
#中村時蔵 #尾上菊之助 https://t.co/6y4XP28FBg

コメントを読む(2件)

関連記事

尾上菊五郎のほかの記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 尾上菊五郎 / 中村時蔵 / 尾上菊之助 / 坂東彦三郎 / 中村梅枝 / 中村萬太郎 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします