歌舞伎座新開場十周年「七月大歌舞伎」夜の部「神霊矢口渡」に出演する
「神霊矢口渡」で、男女蔵は渡し守頓兵衛役、児太郎はその娘お舟を、それぞれ初役で勤める。取材会にそろってピンク色のネクタイで現れた2人に、記者がその意図を聞くと、児太郎は「私が(男女蔵に)合わせました。男女蔵さんのお部屋にごあいさつに行った際、かかっていたネクタイがピンクで、『あ、今日はこの色か』と。せっかくご一緒させていただけますし、合わせた方が女方らしいかなと(笑)」と微笑む。男女蔵は、児太郎について「あまり俳優同士で相性について言ってはいけないと思うのですが、児太郎さんとは息が合う。大好きですね」と述べ、児太郎も「(男女蔵とは)ものすごく相性が良いと思います。胸を借りて、一生懸命お舟を勤めることができれば」と頷いた。
頓兵衛とお舟は、それぞれ男女蔵の父・市川左團次、児太郎の父・中村福助が繰り返し勤めた役。男女蔵は頓兵衛役について「親父さんが他界する前、たまたまアドバイスをいただいたのですが、一言で言うと『小細工はするな』。親父さん自身、小細工好きな人ではありませんでした。その教えがすごく印象に残っていますね」と話す。児太郎は「役について父にも話は聞きますが、2019年に(中村)梅枝兄さんがお舟をやられたとき、(中村)時蔵のおじ様が梅枝兄さんに教えていらっしゃいまして、今回私も時蔵のおじ様にお稽古を付けていただけることになりました」と明かした。
児太郎は2019年の上演版で、傾城うてな役を勤めた。「父が最後に(お舟を)やったのは1998年で、私が(福助がお舟を演じた上演を)観た記憶はありません。2019年、尊敬する梅枝兄さんがお舟をやられた際、傾城うてな役に立候補しました。お舟は、女方では数少ない、最初から最後まで出続け、物語に絡み続けるお役の1つ。梅枝兄さんは、最後までどこをどうするのか、お役の細かいお話をたくさんしてくださいました。お稽古しながら、習得していけたら」と語る。
また、扮装ビジュアルを収めた撮り下ろしポスターについて、男女蔵は「扮したからといって、気分がどうなるとかはないのですが……撮影のときに、児太郎さんと一緒で良かったなと思いました」と話す。児太郎は「身の引き締まる思いでいっぱいでした。千秋楽まで無事勤めて『(男女蔵と)また一緒にできたらいいな』と思えたら、すごくうれしいです」と述べた。公演は7月3日から28日まで東京・歌舞伎座にて。
歌舞伎座新開場十周年「七月大歌舞伎」
2023年7月3日(月)~28日(金)
東京都 歌舞伎座
昼の部
「三代猿之助四十八撰の内『通し狂言 菊宴月白浪』忠臣蔵後日譚 市川中車両宙乗り相勤め申し候」
作:四世鶴屋南北
脚本:奈河彰輔
脚本・演出:市川猿翁
補綴・演出:石川耕士
演出:藤間勘十郎
出演
斧定九郎:市川中車
金笄のおかる:中村壱太郎
斧九郎兵衛:浅野和之
石堂数馬之助:市川門之助
夜の部
一、「神霊矢口渡」
二、「『神明恵和合取組』め組の喧嘩」
作:竹柴其水
出演
め組辰五郎:市川團十郎
女房お仲:中村雀右衛門
江戸座喜太郎:河原崎権十郎
四ツ車大八:市川右團次
焚出し喜三郎:中村又五郎
尾花屋女房おくら:中村魁春
三、「九世市川團十郎歿後百二十年 新歌舞伎十八番の内『鎌倉八幡宮静の法楽舞』」
作:松岡亮
出演
静御前 / 源義経 / 老女 / 白蔵主 / 油坊主 / 三途川の船頭 / 化生:市川團十郎
三ツ目 / 町娘:市川ぼたん
提灯 / 若船頭:市川新之助
※初出時、タイトルの表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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【会見レポート】市川男女蔵、中村児太郎との相性に「大好きですね」と自信 歌舞伎座「神霊矢口渡」
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