「こつこつプロジェクト」第2期の2nd試演会終了、福山桜子らが今後の展望明かす

56

「こつこつプロジェクト ―ディベロップメント―」第2期の2nd試演会が10月から12月にかけて行われた。本記事では、演出家として参加した福山桜子船岩祐太柳沼昭徳のコメントを紹介する。

「7ストーリーズ」2nd試演会より。

「7ストーリーズ」2nd試演会より。

大きなサイズで見る(全3件)

「こつこつプロジェクト ―ディベロップメント―」は、東京・新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子が立ち上げた作品創造プロジェクト。1年間、3・4カ月ごとに試演を重ね、上演作品がどの方向に育っていくのか、その方向性が妥当なのか、そして、その先の展望を見極めていく。

「テーバイ」2nd試演会より。

「テーバイ」2nd試演会より。[拡大]

昨年4月に始動した第2期には福山、船岩、柳沼が参加。モーリス・パニッチ作「7ストーリーズ」を演出する福山は、2nd試演会を終えて、「『まだ埋まっていないところ』を発見しつつも、それぞれのキャラクターが染み込んでいるのでスリリングで有意義な時間でした。1月からはついに台詞を入れての立ち稽古。『伝えることをクリアにして、うねりを創っていく』段階に入ります。登場人物たちのリアルな生き様が浮かび上がっていくのが、とてもとても楽しみです」と期待を語る。

ソフォクレスの原作をもとにした「テーバイ」に挑む岩船は「2ndでは、1stで産まれた『台本』を立ち上げ、稽古場での試演の為に一旦パッケージし、試演の参加者と共に作品全体の方向性を検証した。3rdではこのプロセスで得た経験を基に1から作品を組み立てる予定だが、仮組ながら一度全編を『観客』に晒した事により、作品は新たな強度を獲得するはずだ」とコメント。

「夜の道づれ」2nd試演会より。

「夜の道づれ」2nd試演会より。[拡大]

三好十郎の「夜の道づれ」を演出する柳沼は「2ndでは作品全編の試演を目標に、1stに引き続きディスカッションを重ねつつ、3週間にわたり現代における受容点を検証しました。収穫としては、本作の大きな特徴である『歩く』という身体を、舞台上のもうひとつの言語として扱う演出を試行錯誤のなか導けたことは3rdへの大きな足がかりとなりました」と手応えを語った。

なお2月頃には3rd試演会が行われる予定だ。

福山桜子コメント

4月からの“こつこつ”で、脚本解釈やキャラクターの読み込みがだいぶ進み、通常ではなかなか時間の取れない「必要過去」(桜子WSエクササイズ)というお稽古などを取り入れました。これは、キャラクターが物語の中で取る行動に対し「こういう過去があったから、この言葉が出てくる」の「こういう過去」の部分を条件付きのインプロビゼーション(即興劇)でやるというものです。それから「台詞を入れていない状態」で場面をやっていく稽古。もちろん出演者には前もって告知せず「今日はこの場面やります、台本持たないで」と突然始まります。無理にストーリーを進めてはいけない。本当に考えていること以外言ってはいけない。登場人物の目的が本当にクリアで、しっかり役者に落ちていないと堂々巡りになりますが、さすが、こつこつ。「まだ埋まっていないところ」を発見しつつも、それぞれのキャラクターが染み込んでいるのでスリリングで有意義な時間でした。1月からはついに台詞を入れての立ち稽古。「伝えることをクリアにして、うねりを創っていく」段階に入ります。登場人物たちのリアルな生き様が浮かび上がっていくのが、とてもとても楽しみです。

船岩祐太コメント

2ndでは、1stで産まれた「台本」を立ち上げ、稽古場での試演の為に一旦パッケージし、試演の参加者と共に作品全体の方向性を検証した。3rdではこのプロセスで得た経験を基に1から作品を組み立てる予定だが、仮組ながら一度全編を「観客」に晒した事により、作品は新たな強度を獲得するはずだ。「時間に追われない」作品創りは想像していた以上にある種の緊張感を孕んでいた。普段時間に追われ犠牲にしてきた事に向き合った結果、「何故これを演るのか?」「作品が成立するとは何か?」といった根源的な問いがいつも稽古場を襲うからだ。今はこうした問いの答えを一つ一つ丁寧に探していく程に作品の体重のような物が増すのではないかと信じている。

柳沼昭徳コメント

「今をいかに人間らしく生きるのか」というテーゼをはらむ三好十郎作品。その普遍性は今日の上演機会の多さを見れば明らかですが、大戦後まもない頃、偶然出会った中年男性二人が夜の甲州街道をただ歩く「夜の道づれ」では、複雑な人物設定や物語の展開といった演劇的要素が少ないかわりに、執拗といっていいほどの会話を通じて、人間とはなにかという命題が問われています。

2ndでは作品全編の試演を目標に、1stに引き続きディスカッションを重ねつつ、3週間にわたり現代における受容点を検証しました。収穫としては、本作の大きな特徴である「歩く」という身体を、舞台上のもうひとつの言語として扱う演出を試行錯誤のなか導けたことは3rdへの大きな足がかりとなりました。

この記事の画像(全3件)

関連する特集・インタビュー

関連記事

福山桜子のほかの記事

リンク

このページは株式会社ナターシャのステージナタリー編集部が作成・配信しています。 福山桜子 / 船岩祐太 / 柳沼昭徳 の最新情報はリンク先をご覧ください。

ステージナタリーでは演劇・ダンス・ミュージカルなどの舞台芸術のニュースを毎日配信!上演情報や公演レポート、記者会見など舞台に関する幅広い情報をお届けします