レパートリーの創造 市原佐都子 / Q「妖精の問題 デラックス」の記者会見が本日12月13日に京都・ロームシアター京都で行われ、
レパートリーの創造はロームシアター京都が、劇場のレパートリー演目として時代を超えて末永く上演されることを念頭に、2017年度から取り組んでいるプログラム。その第5弾として上演される「妖精の問題 デラックス」は、2016年に神奈川県相模原市で起きた障害者施設での事件をきっかけに、市原が創作した「妖精の問題」のリクリエーション作品となる。第1部「ブス」では、作品世界でマイノリティとされる“ブス”の女学生2人、第2部「ゴキブリ」では、家に生息するゴキブリに悩まされている貧困夫婦、第3部「マングルト」では、自分自身の体内常在菌を利用して作る食べ物“マングルト”についてのセミナーを巡る物語が展開する。
ロームシアター京都の小倉は、市原に創作を依頼したポイントについて「これまでの市原さんの作品を拝見し、思考や会話の回路を広げていけるアーティストだと感じ、作品創作をお願いしました」と話し、「市原さんには複数年かけて2作品を上演することをお願いしていますが、初年である今回はまず過去作の中でリクリエーションしたいものを市原さんに伺い、そこから『妖精の問題』を複数の俳優で、複数の視点を入れて再創作するアイデアをいただき、今回の創作がスタートしました」と説明した。
続けて市原があいさつ。市原は本作について、「竹中香子さんの一人芝居という形で2017年に作った作品で、彼女との密な人間関係の中で作られた非常に特別な作品です。その後、国内外でさまざまな形で上演されていますが、毎回私が気づいていない作品の価値が発見されていくような感じがしています。今回は複数の俳優さんとのリクリエーションということで、1人の人と密に作ったものを複数の人に開いていくことにより、作品が持っている価値がどんどん拡張されるのではないかと考えています」と話した。
会見では、今回の上演では1部が落語形式から漫才形式になること、“笑い”への向き合い方を1つの課題と感じていることなどが明かされた。また本作では初演以来、
記者から作品の魅力を問われると市原は、「この作品は相模原で起きた事件を契機に、自分が生きている中で感じていた、社会に強いられている偏見や生きづらさを描いたものです。もちろん私はあの事件の当事者ではありませんが、あの事件が起きたとき、私は自分と無縁のことが起きているとは思えず、むしろこの社会のムードの中であの事件が起きたとつながって感じられ、そこに恐怖を感じて作品を作りました」と話す。
また記者からの「初演から5年経たことで作品に対する見方が変わったか」という質問には「5年前には言葉にされていなかったことが、社会が変わっていく中で言葉にされているなと感じるところがある」と市原。加えて「この作品を通してさまざまな人と出会い、その人たちがこの作品をどう読んだか、ということも思い出として残っています。今改めて台本を読み返すとそれらがよみがえってきて、読むたびに違う見方ができる作品ではないかと思います」と語った。
公演は1月21日から24日まで、ロームシアター京都 ノースホールにて。22日18:00開演回と、24日14:00開演回にはアフタートークが実施され、22日回には市原と本作のドラマトゥルクである木村覚、24日回には市原と額田が登場する。
レパートリーの創造 市原佐都子 / Q「妖精の問題 デラックス」
2022年1月21日(金)~24日(月)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール
作・演出:
音楽:
出演:(第1部)
演奏:
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sashimi @sashimi_03
凄いなー。2017年に目撃した時は顎が外れた、客席みんな「額に縦線」状態だったと思うよ
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