ミュージカル「シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ」が、本日1月7日に東京・シアタークリエで開幕する。初日を前に昨日6日、ゲネプロと囲み取材が実施された。なおこの記事には舞台写真を多数掲載しているため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。
1988年に音楽座の旗揚げ作品として初演された本作は、筒井広志の小説「アルファ・ケンタウリからの客」を原作としたミュージカル。今回の上演版では演出を
劇中では悠介と佳代の時空を超えた恋物語が、地球にやってきた宇宙人との交流を絡めて展開。まったく異なる環境で育った悠介と佳代の強い結び付きは、初めは地球人を理解不能の存在だと拒絶していた宇宙人たちにも影響を与えていく。
舞台には円を描くようにカットされた大きなパネルが幾重にも設置され、それらが開閉することで、ステージは遊園地やカフェ、宇宙船などに次々と姿を変えていった。悠介と佳代が出会う迷路は、蛍光灯が付けられた何枚ものミラーによって表現され、暗い舞台で明滅する蛍光灯と鏡面に写り込んだ光が幻想的な雰囲気を作り出す。またキャストたちが着用するカラフルな開襟シャツや肩幅の広いジャケット、一部女性キャラクターの前髪などが、本作が初演された1980年代後半を連想させた。
井上は頼りない悠介が、佳代との関わり合いの中で成長していく様子を、温かな歌声と豊かな表情で演じる。軽妙な関西弁を操る咲妃は、少年のような活発さを持ちながらも時折見せる表情から不幸な生い立ちをのぞかせる佳代を好演。悠介と佳代が、夜の公園で心を通わせるシーンで2人が響かせる美しいデュエットにも期待しよう。
本作には1988年の初演版で佳代役を務めた
ゲネプロ前に行われた囲み取材には、出演者たちが出席。吉野とWキャストでマスター役を務める
咲妃は「土居裕子さんが演じられたお役を務めることは、人生最大のチャレンジ」と気合十分に述べ、「皆さんと心をひとつにしていきたい」と意気込む。本作を「奇跡。傑作で、宝物」だと言う井上は「元音楽座の方々と一緒に新しい『シャボン玉』を作れるのは、夢のよう」と感慨深げに話し、「おののくほど素晴らしい作品なので、うまくいかなかったら僕らのせい!(笑)」と茶目っ気たっぷりにコメント。さらに井上は「ゲネプロに音楽座関係者の方がいらっしゃるそうで、緊張します……どうしたらいいんですか? 土居さん!」と土居に水を向け、会場の笑いを誘った。
土居は井上の投げかけを「大丈夫ですよ」と笑顔で受け止め、1988年の初演について「私や畠中さんは、本多劇場で小道具やセットも作っていた」と目を細めながら振り返る。土居は「今日、たくさんの記者さんが集まってくださっていることを、あの頃の自分たちに教えてあげたい」と感慨を口にし、「心ゆくまで楽しんで」と微笑んだ。
畠中は自身が音楽座に入団した年に本作が生まれたことに言及し、「僕はこの作品で俳優として第1歩を踏み出しました」「まさかまた出演できるとは。言葉で言い尽くせない感動が、全身を駆け巡っています」と喜びを語る。続く吉野は「もう“バックバク”です」と胸の内を明かし、「こうしてまたこの作品を新たにお届けできるのは幸せなことです」と笑顔でコメントした。
最後に出席者を代表して挨拶を求められた井上は「これ以上ない作品」と、改めて本作の魅力をアピール。さらにカーテンコールでの演出に触れて「“涙腺崩壊”です。どう受け入れていただけるかわかりませんが、音楽座関係者の方がここで泣いているかチェックしたい(笑)」と冗談めかしながら、「この作品をぜひ一度経験して」とメッセージを送った。
上演時間は休憩を含む約2時間45分を予定している。公演は本日から2月2日まで東京・シアタークリエ、7日から9日まで福岡・福岡市民会館、12日から15日まで大阪・新歌舞伎座にて。
ミュージカル「シャボン玉とんだ 宇宙(ソラ)までとんだ」
2020年1月7日(火)~2月2日(日)
東京都 シアタークリエ
2020年2月7日(金)~9日(日)
福岡県 福岡市民会館
2020年2月12日(水)~15日(土)
大阪府 新歌舞伎座
原作:筒井広志「アルファ・ケンタウリからの客」
演出:
出演:
※東京公演には吉野圭吾と福井晶一がWキャストで出演し、全国公演には吉野がシングルキャストとして出演。全国公演には濱田めぐみに代わり、
関連記事
タカラヅカ歌劇ポータル │ 宝塚歌劇・宝塚OG情報を発信中 @zukazuka_info
【公演 / 会見レポート】井上芳雄主演「シャボン玉~」開幕に土居裕子が感慨「あの頃の自分に教えたい」(写真31枚) https://t.co/zHb3W41l7O