ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」が、本日8月31日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開幕する。初日に先駆け昨日30日、ゲネプロと囲み取材が実施された。
舞台上には楽器がセットされ、中央には真っ赤なクラシックカーが設置された。本編開演前から、ステージ上にはアヴちゃん(
本作は、ブロードウェイのとある劇場で開催されるライブという設定のもと展開。劇中ではロックシンガー・ヘドウィグの半生が、ヘドウィグの語りとロックナンバーでつづられる。ベルリンの壁が崩壊する前に東ドイツで生まれたヘドウィグは、愛と自由を手に入れるため性転換手術を受けたものの、手術の失敗によって股間に“アングリーインチ(怒りの1インチ)”が残ってしまい……。
浦井はエモーショナルな力強い歌唱とつぶやくような歌声を使い分け、最愛の人に裏切られたヘドウィグの感情のうねりを表現。膨大なセリフを操る浦井は、母や元夫、元恋人のトミー・ノーシスなどヘドウィグを取り巻く人物を巧みに演じ分け、ときに観客を巻き込みながらストーリーを紡いだ。寡黙なイツァークを演じるアヴちゃんは、表情や仕草でヘドウィグとの関係性を繊細に描く。さらに美しい高音を響かせてヘドウィグのバックコーラスを務める一方、アップテンポなソロパートではステージを激しく動き回りながらパワフルにパフォーマンスし、観客を惹きつけた。
男でも女でもなく、同時にどちらでもあるヘドウィグは、アイデンティティに悩みながらも愛を求めて叫び続ける。「The Origin of Love」が歌われる場面では、舞台の上手と下手からオレンジとブルーの照明がそれぞれヘドウィグを照らし、“カタワレ”を探して旅を続けるヘドウィグの哀愁を描き出した。
ゲネプロ前には浦井とアヴちゃんの囲み取材が行われた。浦井は本作について「自分の殻を破る作品」「役者冥利に尽きる」と気合十分。ヘドウィグの役作りのため稽古場ではスカートを履いていたと言う浦井は、「男性はつい脚を開きがちですが、そんなときに周りから『お股!』って言われるので、脚を閉じる癖が付きました(笑)」と身振り手振りを交えながら話して記者たちを和ませる。また浦井はアヴちゃんからアドバイスを受けたことに言及し、「“女王蜂のアヴちゃん”としての歌唱法や、腰から歩くウォーキング、あと“ギャル語”とか、たくさん教わりました」とアヴちゃんに視線を送る。
アヴちゃんは「毎日稽古していて、『浦井さんでよかった』と感じることがたくさんあった」と浦井に厚い信頼を寄せ、「お互いのよさを交換できた。笑っちゃうくらい(イツァークが)浦井さんっぽくなる場面もあるので、楽しんで」と期待を煽る。自身の演じるイツァークについては「抑圧されている役」と紹介し、「私の本業はバンドですが、“解放”を生業にしてきたと初めて気付きました。稽古で、感情を解放せずある曲を歌ってみることになったんですが、そこで生まれて初めて嗚咽で歌えない経験をして」とエピソードを明かす。同役を演じるにあたっては「演技とは思っていません。毎回ガチだと思っています」と言葉に力を込めた。
取材では、2人がそれぞれ「ヘドウィグ」への思いを明かす場面も。浦井は「自分と向き合うことの大切さ、生身の人間の弱さや強さ、決して1人ではないということ、そういうものがぎっしり詰まった物語」と口にし、「舞台上で自分を全部出さなきゃいけない恐ろしさもありますが、それを楽しいと思えるまでもがきたい」と意気込む。一方アヴちゃんは「バンドでデビューした頃に『日本のヘドウィグが出てきた』と言われることがあって。今でこそうれしいですが、当時は嫌で」と明かす。しかしその後、折に触れて「ヘドウィグ」を観るうちに、自分も演じてみたいと思うようになったと言い、「観るたびに自分の変化に気付かせてくれる、偉大な作品だと思っています」と真摯に述べた。
最後に浦井は「この作品には、すごく心がえぐられる部分もあると思います。でも最後に『人生って少し希望が持てるんだな』と思ってもらえるようがんばります。ぜひノリノリで来てください」と挨拶。アヴちゃんも「フラッと来てください! ただじゃ帰しません!」と続け、取材は終了した。
上演時間は約2時間。EX THEATER ROPPONGI公演は9月8日まで行われ、その後、本作は9月11日・12日に福岡・Zepp Fukuoka、14日から16日まで愛知・Zepp Nagoya、20日から23日まで大阪・Zepp Namba、26日から29日まで東京・Zepp Tokyoで上演される。
ブロードウェイミュージカル「『HEDWIG AND THE ANGRY INCH』ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」
2019年8月31日(土)~9月8日(日)
東京都 EX THEATER ROPPONGI
2019年9月11日(水)・12日(木)
福岡県 Zepp Fukuoka
2019年9月14日(土)~16日(月・祝)
愛知県 Zepp Nagoya
2019年9月20日(金)~23日(月・祝)
大阪府 Zepp Namba
2019年9月26日(木)~29日(日)
東京都 Zepp Tokyo
作:
作詞・作曲:
翻訳・演出:
歌詞:及川眠子
音楽監督:大塚茜
キャスト
ヘドウィグ:
イツァーク:アヴちゃん(
Band(THE ANGRY INCH):DURAN(Gt)、YUTARO(Ba)、楠瀬タクヤ(Dr)、大橋英之(Gt)、大塚茜(Key)
関連記事
浦井健治のほかの記事
リンク
- HEDWIG AND THE ANGRY INCH /ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ | オフィシャルホームページ | 2019年公演
- ヘドウィグ2019 (@hedwig2019jp) | Twitter
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
ヘドウィグ2019 @hedwig2019jp
【ゲネプロレポ】「#ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」開幕に #浦井健治「役者冥利に尽きる」(写真29枚) - ステージナタリー https://t.co/lIZhv8jaad