ラッパ屋・
1993年にラッパ屋の劇団公演として初演された本作は、競馬場を舞台としたワンナイトコメディ。4度目の上演となる今回は、柿喰う客・
婚約者の今日子(黒川)と競馬場を訪れた、競馬好きの会社員・田原(塚田)。そこで2人は、田原と関係ありげな謎の女・ヘレン(中島)や、彼女に溺れる外務省のエリート・的場(片桐)、同じくヘレンに翻弄されたらしい井崎(伊藤)らに出会う。さらに競馬好きの夫を亡くした幸子(広岡)や、予想屋の柴田(木村)、うだつのあがらないサラリーマン・横山(市川)といった面々も登場。そうして、さまざまな事情を抱えた8人の人生は夜の競馬場で交錯していく……。
トワイライトレースを象徴するような、きらびやかな舞台美術が目を引く本作。舞台後方には蹄鉄を模した巨大なオブジェ、中央には愛らしいメリーゴーランドが配置され、上方にはカラフルな星や雲が浮かんでいる。上空から馬券が降り注ぎ、実況役の永島が饒舌な解説を繰り広げる中、「行けー! 行けー!」と賭け馬に込めた思いを叫びながら、登場人物たちはレースの勝敗に一喜一憂する。塚田は、お調子者の田原を持ち前の明るさで好演し、ヘレンに翻弄される的場と井崎を、片桐と伊藤がコミカルに演じる。また黒川、中島、広岡の3人は競馬場で芽生えた女同士の絆を力強く表現。さらに劇中では、肉体派で知られる塚田のアクロバティックなシーンも。俳優の身体能力を生かした演出で観客を魅了してきた中屋敷、そして塚田が紡ぐ新たな「サクラパパオー」に期待したい。
公開舞台稽古後に行われた囲み会見には、塚田、中島、黒川、片桐の4人が出席。まず座長の塚田が「『サクラパパオー』のお話をいただいたときはプレッシャーと緊張感があったんですけど、稽古を重ねていくうちに、一刻も早くお客さんに届けたい、観てもらいたいというワクワクドキドキした気持ちが高まってきて、今はまったく緊張していないです!」と晴れやかな表情で心境を述べる。と、すかさず片桐が「いやいや、僕はめっちゃ緊張してますよ!」とツッコみ、会場を盛り上げる。
カンパニーの居心地がよく、酒の席でつい開放的になってしまったという塚田は「お財布の紐、ゆるゆるです!」と笑顔で告白。「一応僕が主演という形にはなっていますが、引っ張るというより、皆さんに引っ張っていただいているような感じです。座長として唯一できるのがお支払いだけ……」と天然っぷりを披露すると、片桐は「……非の打ちどころがないじゃないか!」と頭を抱え、笑いを誘う。続けて片桐は、塚田が演じる田原について、「トレンディドラマで流行ったような、言っていることの3分の2が嘘というキャラクター。ですが、裏表のない塚田くんが演じることによって想像と違う役に仕上がっていると思います。実際に劇場に来て確認してもらえれば」とコメントし、観客の期待を煽った。
そして本作のテーマである競馬の話題へ。4人からは、カンパニーのメンバーで競馬場を訪れたことや、稽古中、レースに合わせて休憩時間が設けられたことが語られ、塚田からは、ネーミングに運命を感じた競走馬・ベストマッチョを応援しているという面白エピソードも飛び出した。最後は出演者を代表して塚田が挨拶。「笑って泣けて、最後には奇跡が起こる感動的なお話になっています。多くの方に観ていただきたいので、ぜひ劇場にお越しください。お待ちしてます!……ベストマッチョ!」と笑顔でポーズをとって会見を締めくくった。
「サクラパパオー」は、明日4月26日開幕の彩の国さいたま芸術劇場 大ホール公演を皮切りに、5月には東京、宮城、愛知、大阪にて上演。また埼玉公演限定でスペシャルカーテンコールも実施される。なおステージナタリーでは「サクラパパオー」の特集を展開中。鈴木と中屋敷が作品誕生時のエピソードや2017年版の魅力を語っているほか、塚田の本作に向けた意気込みも掲載している。
関連する特集・インタビュー
パルコ・プロデュース「サクラパパオー」
2017年4月26日(木)~30日(日)
埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
2017年5月10日(水)~14日(日)
東京都 東京国際フォーラム ホールC
2017年5月16日(火)
宮城県 電力ホール
2017年5月19日(金)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
2017年5月25日(木)・26日(金)
大阪府 サンケイホールブリーゼ
作:
演出:
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- サクラパパオー | PARCO STAGE
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たのしい @_niltter
サクラパパオー、セットもお衣装もすてきだね。はやく観たいー
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