5月に上演される新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」。4月中旬、ステージナタリーはその稽古場を取材した。
本作は、2014年に同バレエ団の2014/2015シーズン開幕作品として新制作されたグランドバレエ。5回公演のうち、オーロラ姫を5・6日の唯一2回演じるのは、第67回芸術選奨の舞踊部門で文部科学大臣新人賞を受賞した
新国立劇場舞踊芸術監督・大原永子と、同バレエ団プリンシパルでバレエマスターの菅野英男が見守る中、米沢は「1幕のバリエーションからお願いします」と言って、ピアノの伴奏に合わせて静かに踊り始めた。中サイズのスタジオの一番奥から前へと、音に合わせてゆっくりと進み出てくる米沢。長い手脚、揺るぎないバランス感覚は、動きをさらに優雅に見せる。そのまま同じシーンを2回繰り返したあとで、大原は「無理にグリッサード(ステップ)しないで。柔らかさが出るといいかな」、菅野は「音に動きを合わせすぎると教科書通りすぎるから、もう少し自分のテンポで」と米沢に意見を述べる。米沢は頷きながら実際に脚を動して、2人の言葉を体に叩き込もうとしていた。
大原と菅野が特にこだわったのは、脚の動きの滑らかさだ。右脚を前に出す時の角度、そして残った左脚の、右脚への引きつけ方。「骨格の位置に合わせて素直に動けばいい」と大原と菅野は言うが、片脚でバランスを取りつつもう一方の爪先の角度を意識し、さらに次の動きへ自然と動きをスライドさせる難しさは、米沢ほどの技術を持ってしてもそうすんなりとはいかない。米沢は真剣な眼差しで何度か同じシーンを繰り返していたが、しばらくするともう、その動きをしっかりと会得していた。
後半は、米沢の相手役である
その日、大原と菅野の前で米沢が踊ったのは約1時間だったが、一瞬の隙もない濃密な稽古時間だった。なお米沢は、オーロラ姫を長い眠りにつかせる、悪の精カラボス役も演じることが発表されており、「両極端なキャラクターに挑戦できることが、とても嬉しく、楽しみです」とコメントしている。
米沢唯コメント
「眠れる森の美女」は、古典中の古典バレエで、ドラマティックな要素のある「白鳥の湖」よりある意味様式的な作品だと思います。
しかし、イーグリング振付版では王子のキスでオーロラ姫が目覚めた後に二人で踊るシーンがあり、そこが王子と姫を越えた“Boy Meets Girl”の要となると思っています。オーロラ姫の他にもカラボスを踊るので、両極端なキャラクターに挑戦できることが、とても嬉しく、楽しみです。
2016/2017 シーズンバレエ公演 新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」
2017年5月5日(金・祝)・6日(土)・7日(日)・12日(金)・13日(土)
東京都 新国立劇場 オペラパレス
芸術監督:大原永子
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ウエイン・イーグリング(マリウス・プティパ原振付による)
キャスト
オーロラ姫:
デジレ王子:
関連記事
米沢唯のほかの記事
リンク
- 眠れる森の美女-新国立劇場バレエ団
- 2016/2017シーズンバレエ「眠れる森の美女」指揮者および主役キャスト決定のお知らせ | 新国立劇場 バレエ
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
新国立劇場バレエ団 The National Ballet of Japan @nntt_ballet
WEBサイト『ステージナタリー』に「眠れる森の美女」稽古場レポートが掲載されました。
リハーサル写真もありますので、是非サイトをご覧ください!https://t.co/EmNeqXcUNs