元役者の老女たちが交わした約束の行方は、オフィス3◯◯新作が2月5日まで

オフィス3◯◯の新作「鯨よ！私の手に乗れ」が、1月18日に東京・シアタートラムにて開幕した。

主宰の渡辺えりが、両親の老人ホームや介護施設入りに際して感じた悲しい思いと実体験をもとに書いた本作。かつて役者だった老女たちの入所する介護施設を舞台にした物語だ。母・生子（銀粉蝶）の見舞いに訪れた神林絵夢（桑原裕子）は、かつて母と同じ劇団に所属していた藍原佐和子（木野花）、吉川涼子（久野綾希子）、ヘルパーの水島貴子（鷲尾真知子）らに出会う。彼女たちは解散直前に上演するはずだった作品をよみがえらせる約束をしていたが、手にしている台本は途中から破られていて……。

物語は、認知症患者たちの描く現代と過去、それぞれの回想が入りまじって複雑に展開していく。上演を目指す思いと比例するように、自由に動かぬ手脚を動かし、認知症で途切れた“何か”を乗り越えようとする彼女たちの姿に注目したい。なお絵夢は、渡辺自身をモデルにしている。

公演は2月5日まで。またアフタートークのゲストには、八嶋智人、グループる・ばる、市村正親、根岸季衣、永井愛、上田岳弘が名を連ねている。