キャリア初のソロアルバム「Bars of My Life」を昨年リリースした
立脚点を明らかにした冒頭3曲
Mummy-Dの地元である横浜関内での公演ということもあってか、会場は立錐の余地もないほどの満員に。観客の期待が高まる中、ステージにはまずツアーメンバーである、キーボードのタケウチカズタケとDJ DAISHIZENが登場する。2人が演奏を始めると、ステージにはMummy-Dのシルエットが。「行ってみよう」という言葉とともにMummy-Dが指揮するように手をかざすと、演奏はブレイクダウン。「ラップじゃないんだ ヒップホップだ」という言葉を合図に、アルバムの幕開けを飾る「O.G.」でライブがスタートした。
そして「愛してるぜ横浜。今日はスペシャルにします」という言葉から、アルバムの2曲目である「マイク持つ者よ」へ。「日本語によるラップの可能性」をスキルと作品を通して実証し、そのレベルを高めてきたMummy-Dが、改めて“MCとはなにか”をラップとして形にするこの曲で、彼はイヤモニを外し、ダイレクトに観客の反応とサウンドを感じながらラップをする。観客から起こる「マイク持つ者よ!」というコールに笑顔で応えた彼は、そのまま64小節で自身の人生を描く「Bars of My Life」へとつなぎ、この冒頭3曲の流れでMummy-Dの立脚点を明らかにした。
「改めまして地元横浜のMummy-Dです。今日は大横浜祭りにします」という言葉から、タケウチのキーボードに乗せて「同じ月を見ていた feat. ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)」の自身のヴァースを歌ったMummy-D。クリエイターのもがきを自嘲的に歌う「Hardcore Hip Hop Star Part 3」では、キーボードとDJという“半生スタイル”とのセッションが映える。
兄弟ならではのKOHEI JAPANとの空気感
「俺からすると、横浜といえばみなとみらいや横浜駅のほうじゃなくて関内だし、凱旋っていう気持ちになる。次は横浜の地名がたくさん出る曲をやるんだけど、それがここで歌えるのは胸熱だよね」というMCに続いて披露されたのは、横浜をドライブするような光景と、まさに横浜ReNY βのある関内やイセザキ・モールも歌詞に織り込まれた、彼の原風景を歌う「バックミラーの中の街」へ。Gファンクを想起させるメロウなトラックは、そのままIsley Brothers「Between the Sheets」へと接続し、さらにRHYMESTERの「肉体関係part2 逆featuring クレイジーケンバンド」へと突入する。ここでは横山剣(クレイジーケンバンド)のパートもMummy-Dが歌うという、ライブならではの展開に歓声があがった。
「045(横浜の市外局番)タイムはまだまだ続きます」という言葉で始まった、Mummy-Dと竹内朋康のユニット・
ミッキー吉野の演奏でMummy-Dが「銀河鉄道999」熱唱
「俺自身、今までバトルリリックも書いてきたし、ビーフもあった。だけど、世界で分断が進む中で、ラブを歌うことは大事なんじゃないかなって」と観客に伝えたMummy-Dは、次に「Spread Love」を歌唱。「愛を 拡げよう」というシンプルなフックで合唱が起こる。そしてそのアウトロでMummy-Dが「ここで横浜の大先輩を紹介します」と言って呼び込んだのは、この日のゲストである
「Be Alright(Mr. Drunk Remix) feat. ミッキー吉野 - Mummy-D, Nulbarich」のアウトロで、「せっかくミッキーさんがいるから、歌っちゃっていいですか?」というMummy-Dに、「sure man!」と答えたミッキー吉野が弾いのはゴダイゴの「銀河鉄道999」。この曲でMummy-Dはラップパートを織り込むのではなくカバーとして歌い、レアなパフォーマンスにフロアが沸いた。ステージをあとにするミッキー吉野を見送ると、その熱気を引き継いで「5th Element」へ。そして「Free feat. H ZETTRIO」とダンサブルにライブは展開していく。「今日は故郷に錦を飾ることができました。本当にありがとう。最後に、自分のこの街での経験を」という言葉から、本編ラストに披露されたのは「Kiss Your Life feat. さかいゆう」。それぞれの生活と人生の尊さを丁寧に歌い、ライブは幕を閉じた。
「横浜に生まれてよかった」
アンコールでは「横浜祭りだから、楽しい夏っぽい曲を、横浜っぽい人を呼ぼうかな」という紹介を受けて、横浜を代表するレゲエサウンド・
最後の曲に選ばれたのは、他者を肯定し、自分を肯定し、世界をより鮮やかにしたいと願う「虹色」。感動的なフィナーレを迎えたのち、Mummy-DはDJ DAISHIZEN、タケウチカズタケと手を取り合ってオーディエンスに感謝の言葉を伝えた。名残惜しそうにゆっくりと会場をあとにする観客の姿が、この日の充実を物語るようだった。
初日の千葉ではワンマンライブとして行われ、北海道ではILL-BOSTINO(THA BLUE HERB)、東京ではH ZETTRIO、そして横浜ではミッキー吉野を迎えた今回のツアー、残すところ12月に延期となった2会場での振替公演のみ。3月3日の大阪・UMEDA CLUB QUATTRO、 3月4日の愛知・名古屋CLUB QUATTROは、いずれもさかいゆうのゲスト出演が予定されている。
セットリスト
「Mummy-D Live! “Bars of My Life” Release Tour 2024-2025 Presented by AddElm」2025年2月9日 横浜ReNY βセットリスト
01. O.G.
02. マイク持つ者よ
03. Bars of My Life
04. 同じ月を見ていた
05. Hardcore Hip Hop Star Part 3
06. バックミラーの中の街
07. 肉体関係 Part 2
08. Dear My Home Ground feat.
09. ブラザーズ feat. KOHEI JAPAN
10. 泥棒
11. Slow Down!
12. Spread Love
13. 歓びの歌 feat.
14. Be Alright (~銀河鉄道999) feat. ミッキー吉野
15. 5th Element
16. Free
17. Kiss Your Life
<アンコール>
18. Andante feat. CHOZEN LEE
19. Heat Island feat. CHOZEN LEE
20. 虹色
公演情報
「Mummy-D Live! “Bars of My Life” Release Tour 2024-2025 Presented by AddElm」(※終了分は割愛)
2025年3月3日(月)大阪府 UMEDA CLUB QUATTRO
ゲスト:さかいゆう
2025年3月4日(火)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
ゲスト:さかいゆう
RHYMESTER OFFICIAL @_RHYMESTER_
【ナタリー・ライブレポート掲載】
Mummy-Dソロワンマンで横浜凱旋、ミッキー吉野を迎えて(写真11枚)
*3月3、4日開催の大阪、名古屋公演では、セトリは随分変わりますし、ゲストACTも変わりますが、若干のネタバレも含まれます。
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