ALBATROSSが現在地を提示したワンマンライブ、飛躍を遂げて2025年のアジアツアーへ

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ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」が10月18日に東京・clubasiaで開催された。

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)

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大所帯編成で臨んだ9カ月ぶりワンマン

1998年に高校時代の仲間同士で結成され、AORやアーバンソウル、シティポップをベースにしつつもジャンルレスなサウンドで活動を展開してきたALBATROSS。2009年に一度活動を休止するものの、2022年3月に海部洋(Vo)、一見樹(G)、小林雅也(B)、大野真之介(Dr)にサポートメンバーのハナブサユウキ(Key)を迎えた5人で活動を再開した彼らは、今日までコンスタントに音源を発表しながらライブを続けている。

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」のロゴ。(撮影:ユイ)

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今年1月の「10th Chants」以来のワンマンライブとなった今回の公演は、上記の5人に加えRyo Yoshinaga(Cho)、野口勇介(Tp)、堂地誠人(Sax)、前田大輔(Tb)という大所帯の編成に。突発的なトラブルに見舞われながらも、常に進化を続けるALBATROSSの現在地を提示するような、見応えのあるステージが繰り広げられた。

唯一無二のALBATROSSサウンド

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)[拡大]

ソールドアウトとなったこの日のライブは、オープニングムービーに続いて「トーキョーリバー」で軽やかにスタート。小林と大野が繰り出すダイナミックなビートとともにゴージャスなブラスサウンドが響き渡り、その隙間を縫うようにギターやピアノが繊細なフレーズを重ねていく。そこに時にソウルフル、時にスウィートな海部の歌声が重なることで唯一無二のALBATROSSサウンドが完成。満員のフロアではバンドが放つご機嫌なバイブスに身を委ね、心地よくライブを楽しむオーディエンスの姿が目立った。

ムーディーなピアノで始まるミディアムナンバー「ニュータウン」では、曲中に小林のベースソロをフィーチャー。海部は「ヘイ! 楽しんでますか?」と観客に語りかけつつ、ステージ上を所狭しと動き回る。重めの16ビートが刻まれる「ESCAPE」では少ない音数でエモーショナルな空気感を見事に表現する一見のギターソロがきらりと光り、ラグジュアリーなアレンジが印象的な「雨の夜と桃源郷」では曲調に合わせた海部のソフトな歌声も堪能することができた。

「自分たちの演奏とか表現を見直そうと」

海部洋(Vo)(撮影:ユイ)

海部洋(Vo)(撮影:ユイ)[拡大]

「今日は初めて僕らのことを観る人たちもたくさんいると思うので、ALBATROSSが何者なのかをお話しながら進めていければ」と、ここまでのバンドの道のりを語る海部。そして前回のワンマンライブから9カ月が空いたことにも触れつつ、「いい機会なのでもう1回自分たちの演奏とか表現を見直そうということで、毎週のように長時間練習をして磨いてきました」とこの日の意気込みも語る。そこから次の曲へと移ろうとしたところで、一見のギターにトラブルが発生。機材を交換するために時間を要することになるも、そこは百戦錬磨のALBATROSS。「こんなトラブルもライブの一興だと思って楽しんでください」と軽妙なトークを展開し、アットホームな空気を作り上げていった。

その後、準備が整うと「ペインキラー」でライブが再開。ソウルフルなボーカルを軸に緩急を付けた演奏でグルーヴが作り上げられると、フロアのリアクションも良好で、皆思い思いの楽しみ方で楽曲を満喫した。続く「光の影」では情熱的なバンドサウンドとボーカル&コーラスワーク、ゴージャスなブラスアンサンブルがライブのクライマックスを思わせる空気を作り上げ、フロアから盛大な拍手と歓声が送られた。

「ギターが鳴るっていいですね!」

しかし、ここでギタートラブルが再発。先ほどはアンプを交換したものの、トラブルの原因がギターそのものにあるのではないかということで、スペアギターが届くまで一見はコーラスでライブに参加する展開に。ALBATROSSは「Binary」や「アルカディア」「情熱の果実」をギターレスで演奏することになるも、ファンキーなベースソロやエネルギッシュなピアノ&オルガンソロを取り入れることで、その場を乗り切る。そんな機転を効かせたバンドの演奏に、オーディエンスは熱烈なクラップとシンガロングという形でエールを送った。

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)[拡大]

ここでようやくスペアギターが到着。海部は「僕ら20代の頃から1000本くらいライブをしてますけど、(今日のようなケースは)わりと初です(笑)」と苦笑いを浮かべる。そしてギターの出音がしっかりと確認できると「ギターが鳴るっていいですね!」と冗談を口にしてから、「YOU」でライブ後半戦に突入。爽快感の強いサウンドをベースに、繊細さと豪快さを併せ持つアレンジでさらなるクライマックス感を作り上げていく。その後はギターの印象的なフレーズが随所にちりばめられた「薄暮の帰り道」、各楽器が強い存在感を放つ「午前0時の終電を見送って」、週末の夜にぴったりな世界観が展開される「夕凪とカーテン」とムーディーな楽曲が連発され、海部の「もう後悔はしたくないから、その覚悟とか葛藤を全部次の曲に込めました」というメッセージに続いて披露された「Moon River」でライブは大きな山場に到達。聴き手に夢をあきらめないことの大切さと勇気を与えるこの曲を受け、観客はスマホのライトで会場に光を灯す。フロアが特別な空気に包まれると、すべての思いを放出するような歌と演奏がステージから発せられ、盛大な拍手とともにライブ本編がエンディングを迎えた。

2025年にアジアツアー開催決定

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)

ALBATROSSのワンマンライブ「BECOME THE PLASMA」の様子。(撮影:ユイ)[拡大]

アンコールはダンサブルな打ち込みビートに導かれるように「リプラグド」でスタート。グルーヴ感の強いアンサンブルで再度フロアの熱気が高まると、バンドの再スタートを語るうえで欠かせない1曲「ECHOED」でライブの盛り上がりは最高潮を迎える。フロアが明るく照らされる中、サビで大合唱が沸き起こるなど、会場中にポジティブな空気が充満したところで約2時間におよぶライブは終了。海部は「また練習をいっぱいして、ギターが故障しないようにして帰ってきます(笑)」と冗談をこぼしながら笑みを浮かべ、ステージを去っていった。

終演後にはステージ後方のスクリーンに映像が投影され、今冬に「ペインキラー」が配信リリースされることが発表された。さらに「MAJOR DEBUT IN ASIA」という文字が映し出され、2025年にアジアツアーが行われることもアナウンスされた。年末から来年にかけて、ALBATROSSのさらなる飛躍が期待できそうだ。

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セットリスト

ALBATROSS「BECOME THE PLASMA」2024年10月18日 clubasia

01. トーキョーリバー
02. ニュータウン
03. ESCAPE
04. 雨の夜と桃源郷
05. ペインキラー
06. 光の影
07. Binary
08. アルカディア
09. 情熱の果実
10. YOU
11. 薄暮の帰り道
12. 午前0時の終電を見送って
13. 夕凪とカーテン
14. Moon River
<アンコール>
15. リプラグド
15. ECHOED

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西廣智一 @tomikyu

【ライブレポート】ALBATROSSが現在地を提示したワンマンライブ、飛躍を遂げて2025年のアジアツアーへ(写真11枚) https://t.co/PCoYHgQpX6
書きました!何卒!

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