hideが旅立って26年
X JAPANのギタリスト、そしてソロアーティストとして1990年代を駆け抜けたロックスター・hide。1998年5月2日に33歳の若さでこの世を去ってから5月2日で26年、二十七回忌を迎えた。「hide Memorial Day」は一周忌の1999年5月から続く追悼イベントで、過去にはhideの生まれ育った故郷である神奈川・横須賀で行われたほか、2008年に東京・味の素スタジアムで「hide Memorial Summit」、2018年に東京・お台場野外特設ステージで「hide 20th memorial SUPER LIVE『SPIRITS』など、節目のタイミングでは大規模なライブイベントとしても催されてきた。hideが旅立って25年が経った2023年には
「hide Memorial Day」豪華ラインナップが集結 / 出演者一覧
今年の「hide Memorial Day」は5月1日と2日の2日間にわたって開催。初日にはhideのメモリアル映画「JUNK STORY」「HURRY GO ROUND」「TELL ME ~hideと見た景色~」が上映され、
「いっぱい歌って帰れよ!」多彩なゲストがhide名曲を次々と
司会を務めるラジオDJ・浅井博章による出演者紹介を経て、defspiralのMASATO(G)、RYO(B)、和樹(Dr)による「PSYCHOMMUNITY」のインスト演奏でライブがスタート。まず木村、TAKA、CUTTというhideに見出されたバンドのボーカリストが「Beauty & Stupid」を披露し、TAKAは「いっぱい歌って帰れよ!」と観客に呼びかけた。続いて木村が「子 ギャル」を歌う場面ではMASATOがhideの愛用ギターと同じペイントが施されたギターを演奏した。「限界破裂」のメランコリックなギターリフが鳴り響き、ボーカルはCUTTにバトンタッチ。CUUTは46歳にして慶應義塾大学の試験に合格し、この春からキャンパスライフを送っている。DJ浅井は「CUTT from 慶應大学!」とユーモアのある紹介をして、観客を笑わせた。ダウンチューニングで繰り出される怒涛のギターリフが印象的なインダストリアルチューン「BACTERIA」ではTAKAがマイクを握り、眼光鋭く繰り返しシャウトした。
defspiralが一旦ステージを去り、続いて登場したのは前日5月1日に58歳の誕生日を迎えたばかりのSEXX GEORGE。アコースティックギターを抱えて登場したGEORGEは、「どうも、hideさんからサーベルタイガー号(機材車)を受け継いで、1週間後に廃車にした男です。事故のあと、hideさんは怪我はなかったかと聞いてくれました、いい人ですね」と若かりし頃のエピソードを明かしてから、「FLAME」をソウルフルに歌唱。演奏後には「楽しんでいけよ!」と大声で呼びかけ、観客から喝采を浴びた。defspiralのバンドメンバーが定位置に戻り、AMIが登場。「GOOD BYE」のパフォーマンスが始まり、ステージ後方とフロア左右に用意されたスクリーンには1992年に行われた「無敵 みんな無名だったけど…無敵だった EXTASY SUMMIT 1992」でのhideと当時TOKYO YANKEESで活動していたAMIの共演シーンなどが映し出された。途中からはGEORGEが酒を片手に登場し、AMIとデュエット。AMIは「hideちゃんのお客さんは優しいね。来てよかった。ありがとう!」と優しい口調で観客に感謝を伝え、defspiralのメンバーと握手、ハグをした。
続いてのボーカリスト、w-shunは開口一番で「遊ばせてください! 騒いでいんですよ!」と叫び、hideがアメリカで結成した多国籍バンド・zilchの楽曲から「SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN」を熱唱。ピンクのドレッドヘアで気合いを入れたw-shunはステージを駆け回り、観客の声が小さいと思うや「聞こえないんだよ!」と客席に身を乗り出して叫んだ。最後には「hideさんごめんなさい! やっちゃいました!」と笑い、大歓声を浴びた。続いてステージにはヒョウ柄のロングジャケットに眼帯姿のHAKUEIが現れ、PENICILLINの代表曲「ロマンス」などと変わらぬ強烈な歌声で「DICE」をカバー。華麗なパフォーマンスにフロアからは黄色い歓声とどよめきが沸き起こった。
hide共同プロデューサー、I.N.A.もDJで登場
9曲のシンガロングセッションが終わったあと、DJ-INAことI.N.A.によるDJコーナーに突入。I.N.A.は5月1日に発売されたボックスセット「REPSYCLE~hide 60th Anniversary Special Box~」のリリースに向けて、hideが遺した「HIDE YOUR FACE」「PSYENCE」、そしてhide with Spread Beaver「Ja,Zoo」という3枚のアルバムのリマスタリング作業を昨年から行っていた。hideやhideの作品への愛がこもったI.N.A.による楽曲解説は彼のX(Twitter)アカウントでチェックできる。ステージでI.N.A.は「PINK SPIDER」「子 ギャル」の“REPSYCLE version”などをスピン。パフォーマーに桃知みなみを迎え、観客を踊らせた。「TELL ME」「HURRY GO ROUND」ではhideと観客の大合唱が響きわたった。
「HURRY GO ROUND」は新しいバージョン。映画の撮影中に偶然見つかった別テイクのボーカル音源を使用したもの。制作には4カ月ほどかかったという。映画ではアコースティックバージョンだったが、「REPSYCLE」ではバンドバージョンと組み合わせて作られた。その後、この日唯一の女性ゲストシンガーであるchayが白のブラウスに黒のフレアスカートというドレッシーかつシックな装いで登場。彼女はdefspiralによる重厚な演奏をバックに「FLAME」で伸びやかな歌声を披露し、楽曲の持つ切なくも温かな雰囲気をリアルに伝え、オーディエンスの感動を誘った。
綾小路翔、EXILE SHOKICHI、松岡充が見せたhideへのリスペクト
ライブ中盤「ever free」の演奏が始まると同時に、回転しながらステージにやってきたのは、綾小路翔。彼はおなじみのリーゼントに、チェック柄のパンキッシュなスーツを合わせるというhideへのリスペクトを感じるコーディネートで元気に歌い踊った。そしてしばしのトークタイムで彼は「今日は大変な日です。だって同じ楽屋にHAKUEIさんおる!」と話しつつ、「きっとみんなhideさんとの思い出がいっぱいあると思うんだけど、俺はhideさんにお会いしたことがないんだ。まじでこの人生で一番会いたかったけど会えなかった人だね」とhideへの思いを語った。さらにTAKURO(GLAY)がインディーズ時代の氣志團をいち早く見つけてくれたというエピソードや、TAKUROとSUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN、THE LAST ROCKSTARS)の2人と初めて飲んだ際のSUGIZO曰く、TAKUROは新人を見つけてくるのが早いという話だったが、それでもTAKUROとSUGIZOは口をそろえて、「でもhideさんがいたら、絶対もっと早く氣志團を見つけてたよな」と綾小路に伝えてくれたことが思い出に残っているそうだ。綾小路は「思いは募るばかり。俺たちの大好きなロックスターたちがこの世界を飛び立っていくニュースが多々あって、悲しいんだけど、教えてもらったこともある。生きている間にどれだけ会えるかだって! 俺たちはhideさんの伝説を語り継いでいかなきゃいけない仲間だから! みんな元気でいてね。翔やんと約束してほしい! みんな、年内に人間ドックに行くこと!」と話した。
続いてのゲストであるEXILE SHOKICHIは、エレキギターを抱えたギターボーカルスタイルでステージに上がり、「ピンク スパイダー」をカバー。hide愛の詰まった力強いボーカルを聴かせつつ、観客に笑顔を見せた。EXILE SHOKICHIは「いやー、hideさんと一緒に歌えたんですよ……。hideさんに憧れて憧れて、好きで好きで。本当にしょうがなかった。バンドマンの14歳の僕に伝えたいです。hideさんと一緒に歌ったよって」と興奮冷めやらぬ様子で話し、「これからも僕も夢と自由をテーマに、一生懸命に音楽を愛してがんばっていきたいと思います。これからもどうかよろしくお願いします。EXILE SHOKICHIでした! 最高でした!」と述べた。
松岡充は髪の毛をピンク色に染め上げたヘアスタイルに迷彩ジャケットという見事なhideスタイルで「ROCKET DIVE」を披露した。松岡らしい力強く透明感のある歌声と、hideをオマージュしたキレのあるパフォーマンスを繰り出した彼は、「一緒に飛ぶよ! hideさんに届けよう!」とジャンプ。何かを語るということはあえてせず、颯爽とステージをあとにした。
ライブ終盤にPATA、現る
ライブ後半、defspiralが「POSE」を投下したあと、ボーカルのTAKAは「本当に素晴らしい景色です。いい感じやな! defspiralです。皆さんの素敵な声で出演者一同、感無量です。今日はシンガロングライブということで皆さんが主役ですからね? まだまだ皆さんの声で思いを届けていきましょう」とコメント。そして「HURRY GO ROUND」の演奏が始まり、観客とともに「春に会いましょう」とシンガロングした。
ライブ終盤、スペシャルゲストのPATAがGibsonのレスポールで爆音を鳴らしながら現れると、この日一番の大歓声が巻き起こる。さらにTAKAが木村、CUTT、SEXX GEORGE、AMIをステージに招き入れてから、PATAがブルージィなギターリフを奏で、「CELEBRATION」を演奏した。PATAは「すんません、秀人のためにお集まりいただきましてありがとうございます」と話しつつ、ステージにいるAMIからトークを振られると、「テメーなんか言ったか!」と、昔と変わらない縦社会を感じさせるやり取りを披露した。「MISERY」の披露後、DJ-INAがセッションに加わり、「TELL ME」の演奏がスタート。銀テープが発射される華やかな演出もありつつ、合唱で盛り上がった。
豪華!「Hi-Ho」出演者全員セッションでフィニッシュ
最後には出演者全員が集合し、壮観な光景が観客の眼前に広がる。TAKAは「川崎ー! 皆さん! 遊び足りねえよ! 届けていきましょうよ! 行こうか!」と観客を煽りまくってから、本イベントのテーマ曲とも言える「Hi-Ho」へ。最後には“浅草のサンバカーニバル”を意識したサンバパートが繰り返され、祭り騒ぎのにぎやかなセッションでイベントは盛大に締めくくられた。
ライブのエンディングにはhideの実弟にしてhide事務所・ヘッドワックスオーガナイゼーションの社長である松本裕士氏が姿を見せずにサプライズで挨拶した。松本氏は「皆さんのおかげで笑顔で1日過ごすことができました。ありがとうございました! hideさんは今年60歳。真っ赤っ赤なちゃんちゃんこで12月のバースデーを祝いたいと思います」と話してから、hideの遺作にあたる「Ja,Zoo」が無事に完成したことを改めて報告。「稲田(I.N.A.)さん、関係者の皆さんのおかげで、素晴らしい作品をhideさんに残すことができました。本当はまだ言えないんだけど……来年の5月、何かやりたいと思います! 発表まで楽しみにお待ち下さい」と来場者にメッセージを送った。
セットリスト / 登場アーティスト
「hide Memorial Day 2024 ~Sing along Live"Hi-Ho!"~」2024年5月2日 CLUB CITTA'
01. PSYCOMMUNITY
02. Beauty & Stupid / 木村世治(ZEPPET STORE)、TAKA(defspiral)、CUTT(SPEED OF LIGHTS、
03. 子 ギャル / 木村世治
04. 限界破裂 / CUTT
05. BACTERIA / TAKA
06. FLAME(弾き語り) / SEXX GEORGE(LADIESROOM、我孫子神音會、SEXXXX)
07. GOOD BYE / AMI(BLOTTO ROCKERS、ex. TOKYO YANKEES)
08. SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN / w-shun(KNOCK OUT MONKEY)
09. DICE / HAKUEI(PENICILLIN、The Brow Beat)
・「PINK SPIDER(REPSYCLE version)」「子 ギャル(REPSYCLE version)」「BEAUTY & STUPID」「TELL ME」「HURRY GO ROUND(RESPYCLE version)」 / DJ-INA、桃知みなみ(パフォーマー)
10. FLAME / chay
11. ever free / 綾小路翔(氣志團)
12. ピンク スパイダー / EXILE SHOKICHI
13. ROCKET DIVE / 松岡充(SOPHIA)
14. POSE / TAKA
15. HURRY GO ROUND / TAKA
16. CELEBRATION / 木村世治、TAKA、CUTT、PATA(X JAPAN、Ra:IN)
17. MISERY / 木村世治、TAKA、CUTT、PATA(X JAPAN、Ra:IN)
18. TELL ME / 木村世治、TAKA、CUTT、PATA(X JAPAN、Ra:IN)
19. Hi-Ho / 全出演者
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