このツアーは全国6カ所のZeppを舞台に2DAYSずつ開催され、各会場で初日にワンマンライブが、2日目にマカえんが“あやかりたい”と羨望するゲストを招いての対バンライブが行われた(Zepp DiverCity(TOKYO)公演初日レポート)。そんな注目度の高いツアーの最終公演には、はっとり(Vo, G)がバンドを始めるきっかけとなったユニコーンがゲストとして登場。はっとりは2020年に音楽ナタリーに掲載されたユニコーンの奥田民生との対談企画で「いつか共演したい」と願いを口にしていたが、その夢が現実となる記念すべき日となった。
先陣を切ったのはゲストであるユニコーン。そろいのツナギに身を包み、軽やかな足取りで登場した5人は、スタンバイするなり「すばらしい日々」を演奏して観客を驚かせた。「すばらしい日々」ははっとりをはじめ、マカえんメンバーの高野賢也(B, Cho)、長谷川大喜(Key, Cho)が誕生した1993年に発表された楽曲。どこか物事を達観した歌詞と、胸に迫るようなメランコリックなサウンドが印象的な1曲で、幅広い世代にリスナーに愛されている。バンドの代表曲を挨拶代わりに届けてオーディエンスの心をグッとつかんだメンバーは、盤石のアンサンブルで古今東西のロックンロールナンバーをパフォーマンス。大人のロックバンドとしての余裕と貫禄を見せつけたかと思えば、MCでは奥田が手島いさむを手島優、EBIを堀内孝雄、川西幸一を西川きよし、ABEDONをポール・ウェラーとデタラメに紹介した挙げ句に、「がんばって前座をやろうと思います」とおどけて笑いを誘う。またEBIは「昨日10代の若者と話す機会があって……」と切り出し、「マカえんとライブするって言ったら『すごい!』って言われました。マカえん最高!」と自分たちがマカえんに“あやかってる”ことを言及。そのまま自身がリードボーカルを務める「西の外れの物語」を朗々と歌い上げ、天衣無縫な魅力を放った。
ABEDONが「マカえん」と繰り返しシャウトした「WAO!」を経て、奥田は「はい。もうすぐ終わります」と飄々とした口ぶりで宣言。続けて「はっとりくんが登場してからこの曲はあの人にあげました。だから僕たちがやるときはカバーです。今日はカバーに本物が来ます」と次の曲への布石を打ったのを合図に、アフロのカツラを被り、メガネをかけたはっとりが意気揚々と姿を見せる。奥田に「もうその頭やってねえわ!」とツッコミを入れられつつ、ユニコーンの骨太な演奏を全身に浴びながら、自身の名前の由来となった「服部」を前のめりで熱唱する。最後には「その名も服部 世界を一人占め」と自分を指差し、ガッツポーズを決めた。マカロッカー(マカロニえんぴつファンの呼称)もユニコーンファンの双方を笑顔にするコラボセッションが終わると、奥田は「大迷惑っていう名前の人が出てきたら、『大迷惑』をあげなきゃいけないのか……その日までがんばりましょう」とボソリ。最後に5人は「HELLO」でキャリア35年のバンドだからこそ醸し出せるスケール感あるサウンドスケープを描き、ステージをあとにした。
大先輩からバトンを受け取ったマカえんの4人は、The Beatles「Hey Bulldog」に乗せてサポートの高浦“suzzy”充孝(Dr)とともにステージへ。手慣れた様子でスタンバイした彼らは、オープニングナンバーとしてポジティブなメッセージを込めた「PRAY.」を気合いたっぷりにプレイした。フロアから立ち上る熱気を受けながら、はっとりは「(皆さん)元気ですね。とってもやりやすいです」とにっこり。「いろんな世代の方が集ってますから。でもまだまだ皆さん、歳なんて感じないでいいですよ」「同じ青春をしてる、音楽好き、ロック好きですよね」と呼びかけ、ユニコーンファンのハートもしっかりつかんでみせる。ユニコーンの「働く男」のオマージュが込められた「働く女」では、前日に続き洒脱なアンサンブルに乗せてはっとりと田辺由明(G, Cho)が手を取り合い、軽やかなステップを踏み、ほほえましいひとときを演出した。
前日のワンマンライブのセットリストを踏襲しつつも、中盤にヒット曲「恋人ごっこ」を盛り込むなど、ユニコーンファンも楽しめるような流れでライブを進行していったマカえん。はっとりは会場全体を見渡し「僕がこうやってステージに立てているのは彼らのおかげでございます。ユニコーンが大好きで、ギターを買って、バンド組んで……」と憧れのバンドと競演できる喜びを噛み締めながら、「今日はもう死んでもいいと思ったけど、まだ死ねないという曲をやります」と「リンジュー・ラヴ」につなげた。
このままライブはクライマックスに突入するかと思われたとき、長谷川がドラマチックで煌びやかなシンセの音色を奏で出す。そこから導かれるように、はっとりがユニコーンの「Maybe Blue」を歌い始めると、まさかのカバーに観客は熱狂。メンバーが奏でる1音1音には先輩バンドへのリスペクトがにじみ、曲が終わるや否や喝采があちこちから沸き起こった。本編の最後にはっとりは、このステージで夢を叶えた自分にも言い聞かせるように、たとえ荒唐無稽な内容であっても夢や目標を持つ大切さを語る。そして、絶望と向き合いながら作ったという「ヤングアダルト」を、言葉1つひとつに思いを込めながら歌い紡いだ。
アンコールでは、対バン公演らしくマカえんとユニコーンのメンバー全員によるセッションも。楽器も持たずにそれぞれマイクを手に現れ、ふざけ倒すユニコーンの5人に対して、はっとりは「はじめていいでしょうか」とおずおずと尋ねる。彼の「僕がユニコーンの曲の中で一番好きな曲をリクエストしました」という言葉から始まったのは、1991年リリースの「開店休業」。マカえんのフレッシュな演奏に乗せて、ユニコーンはマイクリレーをしながらこの曲を歌いつなぐ。最後にEBIが「マカえん最高!」と叫び、はっとりも負けじと「日本一のロックバンド、ユニコーン」と先輩への愛を込めてシャウトした。
「マカロックツアーvol.15 ~あやかりたい!煌めきビューチフルセッション編~」2023年5月19日 Zepp DiverCity(TOKYO) セットリスト
ユニコーン
01. すばらしい日々
02. OH! MY RADIO
03. エコー
04. 青十紅
05. 西の外れの物語
06. スペースカーボーイズ
07. Boys & Girls
08. チラーRhythm
09. ヒゲとボイン
10. WAO!
11. 服部
12. HELLO
マカロニえんぴつ
01. PRAY.
02. レモンパイ
03. 眺めがいいね
04. 働く女
05. MUSIC
06. TIME.
07. 恋人ごっこ
08. リンジュー・ラヴ
09. 幸せやそれに似たもの
10. Maybe Blue
11. 洗濯機と君とラヂオ
12. ワンドリンク別
13. 星が泳ぐ
14. ヤングアダルト
<アンコール>
15. なんでもないよ、
16. 開店休業
手島 優(てじま ゆう) @piyoteji
えっっ∑(゚Д゚)
お、お、お、、奥田民生様に手島優を知っていただけてる?!という事で良いんでしょうか⁉️え、、現実なのでしょうか。。
嬉しすぎて震えが。。
手島に生まれて良かった😭
これからはてしまでもてじまでもどちらで呼ばれても良いです。笑
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