これまでワンマンで各地を回ることが多かったHYDEだが、今回はライブバンドとして名を馳せるバンドを招き全国6都市のZeppを対バン形式で行脚。美しく優美な容姿を持ちながら、雄同士が出会うと死闘を繰り広げることで知られる「RUMBLE FISH=闘魚」、英語のスラングで「ケンカ」を意味する言葉をツアータイトルに冠し、各公演でライブバトルを展開することをファンに仄めかしていた。そんなツアーの対バン相手として白羽の矢を立てられたのは
オーディエンスから立ち上る興奮混じりの空気が場内に充満する中、スピーカーから「610 行進曲」が高らかに響いたのを合図にロットンのメンバーがステージへ。N∀OKI(Vo)が「俺らが京都、ROTTENGRAFFTY!」と狼煙を上げるようにシャウトしたのをきっかけに、6月10日の“ロットンの日”からサポートでステージに立つMASAHIKO(G)の高速ギターが炸裂する「ハレルヤ」が投下されフロアが爆音で飲み込まれる。その勢いのまま、5人は「相殺微量サイレンス」「PLAYBACK」という攻撃性を全開にしたナンバーを立て続けに披露。自らもツアー中とあって、ライブで磨き上げている一枚岩のアンサンブルで、自分たちのファンはもちろんのこと、HYDEファンにもその存在感をアピールした。
なお、今回のHYDEとの対戦においてロットンが用意したのは、正攻法とも言える盤石のセットリスト。京都の風景を歌った自己紹介的な「響く都」でオーディエンスを踊らせ、HIROSHI(Dr)と侑威地(B)がドライブ感たっぷりのグルーヴで魅せる「STAY REAL」ではエネルギッシュなパフォーマンスでライブバンドとしての矜持を見せつけた。演奏が始まれば先輩HYDEに臆することなく自分たちのペースを作り出していた彼らだったが、MCになるとどこか少年のような表情に。NOBUYA(Vo)は「今年、俺、47歳になるんだけど、この歳になっても1つの夢が叶うとは思いませんでした。ガキの頃から憧れ続けていたHYDEさんと同じステージに立ちます」と喜びをにじませ、「俺らと同じ気持ちの人はたくさんいると思う。その気持ちを1回俺らに預けてくれないか? 俺らはお前ら代表してここに立ってるんだ」と観客全員に呼びかける。そんな言葉が引き金となったのか、後半戦からフロアの一体感が急速に増し、NOBUYAに「さすがHYDEさんのファンです」と言わしめるほどの盛り上がりを見せた。さらに、天井で回るミラーボールと、極彩色の照明と煌びやかなサウンドがリンクしたダンスチューン「D.A.N.C.E.」、N∀OKIの「この瞬間、狂え、輝け!」というシャウトに続き、観客がそれぞれの立ち位置で狂騒を作り出した「金色グラフティー」と続く。会場のテンションがピークに達する中、5人が披露したのはタイトルとは相反するようなカラリとした余韻を残すアッパチューン「Rainy」。最後にNOBUYAは「俺たちが世界一ライブハウスが似合うバンドROTTENGRAFFTYです!」と宣言して、対決の“先攻”としてのステージを締めくくった。
対するツアーのホストであるHYDEは、ステージという“戦いの場”に似合う激しいSEを背に登場。舞台を覆っていた黒い幕がゆっくりと開くと、鋭利ながらも艶を帯びたその歌声で瞬時にライブハウス全体を自分の世界に誘う。続いてバンドメンバーが奏でる轟音を浴びながら、HYDEはハンドマイクでライブハウスに似合う「AFTER LIGHT」「SET IN STONE」といったロックチューンを全身全霊で披露。狂おしい感情をにじませた声で観客を惑わせたかと思えば、次の瞬間にはフロアを切り裂くようなシャウトを響かせ、自身が理想とするスタンディング形式でのライブが行えなかった期間も研ぎ続けていた“歌”という牙をここぞとばかりに剥き出しにする。それに呼応するようにフロアには熱気が渦巻き、その空気を受けてHYDEのボーカルは一層激しさを増した。そんなパフォーマンスを裏付けるように彼は「今日、僕らは暴れる気満々で来ました」と告げ、「MAD QUALIA」や「INTERPLAY」などでこの数年間コロナ禍のために封印を余儀なくされていた“動”の一面を惜しみなくあらわにしてみせた。観客に届けられるサウンドがコロナ禍前の延長かと言うと、そうではないのがHYDEらしいところ。例えば昨年開催されたオーケストラコンサートでも披露された「THE ABYSS」などに“今”の彼が披露するのにふさわしいアレンジを施し、新鮮な驚きをファンに与えていた。
ライブの中盤で「このスタイル(スタンディング形式のライブ)はひさしぶりで、何をすればいいか忘れた」と本音を吐露して、会場を和ませたHYDE。ROTTENGRAFFTYが自身の楽曲「ZIPANG」のミュージックビデオの撮影舞台となった京都・東寺でライブを行ったことに「うらやましくて悔しかった」と嫉妬の炎を燃やしつつ、「俺たちならできるよな? 楽しませてくれよ。この場所でカオスを作ろうぜ」とオーディエンスを挑発し、スピーカーの上に登り、観客1人ひとりに訴えかけるように絶唱を繰り返した。その後もHYDEはステージに寝転がり、悩ましげな眼差しをフロアに向けて自身のファンだけでなくロットンファンをも魅了。さらに「ひさしぶりにハッスルしすぎた」と笑いつつ、そこで落ち着くことなく「RUMBLE FISH」にふさわしい好戦的な新曲を初披露してHYDEとロットン双方のファンを圧倒した。
観客の新曲に対する熱烈な反応を受け、HYDEは思わず「さすが、よき理解者」とひと言放つ。続けて「ここで直接対決をしたいと思います。呼んでもいいかな?」とNOBUYAをステージに召喚し、
なおHYDEはこのあと「HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH」を5都市のZeppで展開。ツアー中の7月27日にライブ映像作品「HYDE 20th Anniversary ROENTGEN Concert 2021」をリリースする。
HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH(※終了分は割愛)
2022年6月25日(土)神奈川県 KT Zepp Yokohama
<出演者>
2022年6月26日(日)神奈川県 KT Zepp Yokohama
<出演者>
HYDE / Dragon Ash
2022年7月2日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
<出演者>
HYDE / THE ORAL CIGARETTES
2022年7月3日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
<出演者>
HYDE / THE ORAL CIGARETTES
2022年7月9日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
HYDE / GASTUNK
2022年7月10日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
<出演者>
HYDE / GASTUNK
2022年7月23日(土)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
HYDE / TOTALFAT
2022年7月24日(日)愛知県 Zepp Nagoya
<出演者>
HYDE / Crossfaith
2022年8月6日(土)北海道 Zepp Sapporo
<出演者>
HYDE / CVLTE
2022年8月7日(日)北海道 Zepp Sapporo
<出演者>
HYDE / NOISEMAKER
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HYDEが牙を剥き出す“闘魚”に変貌、待望のライブハウスツアー初日でロットンと熾烈な直接対決 - 音楽ナタリー - 最新ニュース https://t.co/gWZ3W67GEx