崎山蒼志の初バンドツアーが閉幕、石崎ひゅーいと奏でた美しいハーモニー

崎山蒼志の東名阪ツアー「崎山蒼志 TOUR 2022『Face To Time Case』」の最終公演が、昨日2月12日に東京・Spotify O-EASTにて開催された。

このツアーは2月2日に発売されたメジャー2ndアルバム「Face To Time Case」のリリースを記念して行われたもの。自身初のバンド編成ツアーのファイナルとなるこの公演で崎山は「Face To Time Case」の収録曲を中心に、たっぷりとパフォーマンスを届けた。

ライブは「Face To Time Case」のオープニングトラックでもある「舟を漕ぐ」でスタート。宗本康兵（Key）、有島コレスケ（B）、GOTO（Dr）からなるバンドが作り出すアンサンブルに浮遊感のある歌声が乗り、崎山ならではの空気感がたちまち場内に充満する。間髪入れず「過剰/異常」に突入すると、バンドの演奏が熱を帯びていくのと比例するように、フロアの揺れは次第に大きくなっていく。さらに崎山は「Undulation」「Samidare」をノンストップで畳みかけ、演奏後に盛大な拍手を一身で浴びた。

その後「崎山蒼志です。渋谷か......『Face To Time Case』の曲をこれからやっていこうと思うので......というね。ありがとうございます」と、とつとつと挨拶をした崎山は、穏やかな鍵盤の音で始まる、水野良樹（いきものがかり）との共作曲「風来」や、アコースティックギターを中心に据えたシンプルなアレンジが歌声を際立たせる「幽けき」を披露。「Pale Pink」「水栓」では、打ち込みで作られたサウンドとGOTOが奏でるドラムのビートに乗せて崎山がハンドマイク1本で歌唱した。さらに彼は「waterfall in me」「逆行」「平行する夜を」「A song」と、活動初期のナンバーを含む楽曲群を1人でパフォーマンス。その後再度バンド編成に戻り、グルーヴィな演奏が心地いい「find fuse in youth」や、サビで壮大な世界観が立ち上がる「嘘じゃない」をプレイした。

「盛り上がってますか......？」とフロアの様子をおっかなびっくりうかがった崎山は、「ツアーファイナルなのでリラックスと熱意を持ってがんばります」と、飄々としながらも熱い意気込みを覗かせる。その後崎山は「通り雨、うつつのナラカ」「花火」を立て続けに披露し、終盤に向けてドライブ感を作り出していった。さらにエッジの効いたアコギのカッティングが印象的なナンバー「Helix」が投下されると、会場の空気は一段とヒートアップ。ラストに崎山は「『Face To Time Case』というタイトルは、『場所が、その場所に流れている時間を保存している』という意味で付けたんですけど、O-EASTにもO-EASTのタイムケースがあると思うので、それと対面して歌おうと思います」と、「タイムケース」を穏やかに弾き語り、駆け足で舞台を去って行った。

アンコールの拍手を浴びて再びステージに現れた崎山は、「今日はこの方がお越しくださってます。石崎ひゅーいさんです」と、楽曲「告白」でタッグを組んだ石崎ひゅーいを呼び込む。崎山が「来てくださったということは『告白』をやるということで」と呼びかけると、石崎は「えっ？」となぜかとぼけた様子。2人がゆるいやりとりを交わすと、会場は不思議な笑いに包まれた。その後彼らはコラボ曲「告白」を披露し、息の合ったハーモニーで観客を魅了する。さらに2人は石崎の楽曲「ひまわり畑の夜」を歌唱。石崎のやわらかくも芯のあるボーカルと、崎山の繊細な歌声が美しい調和を見せ、観客はその美しい声の響きに酔いしれるように聴き入った。ラストに崎山は初のバンドツアーらしく、バンドメンバー3人を背に「潜水」をアグレッシブにパフォーマンス。アウトロでけたたましい轟音を響かせ、会場を颯爽と去って行った。