映画「死なない子供、荒川修作」の公開前夜イベントが12月17日に東京・音楽実験室新世界にて開催され、この映画で音楽を担当する
この映画は岐阜県のテーマパーク・養老天命反転地や、東京の集合住宅・三鷹天命反転住宅など肉体の持つ感性を開放するためのアートや建築を提唱し続け、今年5月に急逝した美術家/建築家の荒川修作をテーマにしたドキュメンタリー。今回のイベントは開始と同時にまず予告編が上映され、その後に本作を監督した山岡信貴と荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所代表の本間桃世が登壇。約10分ほどのトークが繰り広げられた。
ステージ上手に設置されたスクリーンでは1969年に制作された荒川修作の初監督作品「Why not」の上映がスタート。若く美しい女性が、部屋の中で衣服を脱ぎ捨てるやいなや机とまぐわいはじめる衝撃的な映像が流れ、場内が思わず息を呑む。
約15分後、ピアノやMAC、シーケンサーが設置されているステージの下手に渋谷慶一郎が登場。ペンで紙になぐり書きを始め、そのときに出る細かなノイズをマイクで拾い「Why not」の映像に被せるという形で40年前の荒川修作と時を超えたセッションを開始した。
さまざまな美しいノイズが少しずつそこに加わり、それらは徐々にすさまじい轟音へと変貌。同時に渋谷がピアノの生演奏を始め、エロティックで過激な映像と対照的な美しいピアノの音色が絶妙なハーモニーを生み出した。
スクリーンの白人女性による自慰行為はさらにヒートアップし、それに呼応してピアノがさらに力強く鳴り響く。びっしりと埋まった客席の熱気も上昇し、場内は異様な雰囲気に包まれた空間となった。
後半には複雑系科学者の池上高志が、先日ニューヨークを訪れてレコーディングした荒川の伴侶であるマドリン・ギンズの生声を、「Why not」内のマドリン・ギンズのナレーションとマッシュアップさせるというパフォーマンスを披露。上映終了後、渋谷が予定にはなかった演奏を始め、観客は静かに耳を傾けた。
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