Pick Up!

Jonah 追風2.0
“青春の探求者”が描く、自分で自分を許せるようになるために全速力で走る姿
文 / 天野史彬
今年デビューした18歳のシンガーソングライターJonahの新曲は、さわやかで疾走感あふれるサウンドと、素朴で温もりのある歌声のコントラストが印象的に響く「追風2.0」。楽曲のイメージにあるのは、Jonahが高校時代にやっていた陸上の「追風」という概念だという。「追風が秒速2.0mを超えると正式記録として残らない」という陸上における基準値としての「2.0」と、「進化」や「アップデート」を指して使われる「2.0」という言葉のイメージが重なって、新しい自分に出会うために未来に向かって駆け抜けていく曲の主人公の姿が浮かび上がってくる。陸上競技では強すぎる追い風は正式記録に残らないが、人生ではどうだろうか。「結果も運命も全部 / 今だけは追い風に任せて」──そんなふうに歌われるこの曲の主人公は、ほかの誰かの承認が欲しいわけではなく、自分で自分を許せるようになるために、全速力で走っている。曲を聴いていると思い浮かぶ、その力強く懸命な姿が、力強くて、愛おしくて、その背中に追い風が吹くことを願ってしまう。
サウンドのプロデュースは「エコー」「独立計画」といったこれまでのシングル曲に引き続きSUKISHAが担当。イントロのギターなどに特に感じられるJonahらしい繊細さは健在なまま、これまでの楽曲に比べてよりダイナミックなロックチューンに仕上がっている。ぜひイヤフォンやヘッドフォンで聴いてみてほしい。数多の光の粒子が弾けながら突き進んでいくような、そのサウンドの鮮やかさに驚くだろう。そして、歌詞は「エコー」にも参加したいしわたり淳治が再びプロデュースを担当。満たされない心を抱えながらも、まだ見ぬ世界や自分自身との邂逅を望み全力で生きる人物たちを描く「青春の探求者」としてのJonahの詩情は、この曲でも切なく、美しく、輝いている。
Jonah(ジョナ)

イギリス人の父と日本人の母を持つシンガーソングライター。2007年、高知県生まれ。eggmanとNTTドコモ・スタジオ&ライブによる、次世代バンドおよびグローバルアーティストの発掘・育成を目的としたオーディションプロジェクト「Catching Wave Audition 2024」に出場後、2025年1月にプロジェクト内で発足されたレーベル・Scrum Wave Musicより第1弾シングル「エコー」、3月に第2弾シングル「独立計画」、5月に第3弾シングルを「追風2.0」を配信リリースした。