ディスクユニオンの自社制作・マネジメント部門「DIW PRODUCTS GROUP」が初めて手がけるアイドルグループとして誕生し、「人生を変えるスイッチを押した!」というコンセプトのもと2018年12月にデビューしたSW!CH。彼女たちは今年6月30日に東京・WWWで開催するワンマンライブをもって、約6年半にわたる活動のスイッチを“OFF”にする。
ポップかつ多彩な楽曲とパフォーマンスで多くのファンを魅了してきたSW!CHは、そのフィナーレを前に最後の贈り物となるミニアルバム「Smile」をリリースした。本作ではSW!CHのサウンドを支えてきた制作陣が集結し、総合プロデューサー・Sugaya Bros.による最新楽曲「hikari(the last song)」も収録。グループ史上最もカラフルで、集大成と呼ぶにふさわしい作品になっている。
音楽ナタリーでは「Smile」のリリースに合わせ、メンバー5人とSugaya Bros.にインタビュー。“消灯”の瞬間を目前に控えた彼女たちにミニアルバムについて聞くと同時に、現在の正直な胸の内や積み重ねてきた日々への思い、そしてSW!CHへの深い愛情を語ってもらった。
取材・文 / 田口俊輔撮影 / 塚原孝顕
みんなと“お別れ”に向き合えるのは寂しいけどうれしい
──SW!CHは6月末の活動終了が迫る中、3月に新曲「アオハライト」をライブで初披露しました。さらなる新曲の披露も控えているとのことで、正直このまま活動が続いていくような気がしています。
MAYUNA 私たちも実感がないです。「終わるの?」って。
ASAMI 遠征も含めてこれからの予定がびっしり。楽しみなこともたくさんあるからね。
FUYUKA メンバーみんな「今が一番楽しい」って言っています。ただ、ふとした瞬間に「この5人での時間は残りわずかだ」と、“終わり”を自覚する瞬間が訪れたときは寂しさを感じます。でも、またいつも通りの日常がやってくると、その“終わる寂しさ”という感情は過ぎ去ってしまって。その波が行ったり来たりの毎日です。
AKARI 活動終了の発表後にあさみん(ASAMI)とまゆちゃん(MAYUNA)の生誕ライブがあって。会場の雰囲気も含め、2人のスピーチを聞いたときは「本当に終わっちゃうんだ」と寂しくて仕方なかったです。なのに、次の日にメンバーに会うと楽しすぎて、その寂しさはすぐにどこかへ行っちゃいました。
MAYUNA 終わっちゃう、けど終わらない気もする……この気持ちはなんだ? なんでこんなに実感がないの?って。
ASAMI 6年半活動してきた中で初めての経験すぎて、わからないんだと思う。
HARUKA 逆に私は、これまでのアイドル活動を通していくつもの“終了”に立ち会ってきたので、冷静に受け止めています。ただ、これだけちゃんと終わらせるための時間を用意してもらったのは初めて。約半年という期間で、ちゃんとメンバーみんな、そしてファンの皆さんと一緒にお別れに向き合えるのは、寂しいですけどすごくうれしいです。
──昨年12月6日、デビュー6周年の日に2025年6月30日をもって「SW!CHをOFF」するとSNS上で発表されました。改めてその決断に至った理由を聞かせてください。
MAYUNA パッと決断したわけではないんです。ここに至るまで、何度もいろいろと話し合ってきて。このまま続けるのか? それとも新たな道へ進むのか? 各々の思いを語り合って、活動に対する気持ちをぶつけ合いました。そしてバラバラな意見が出てくる中、唯一全員でそろったのは「この5人でなければSW!CHじゃない。このメンバーじゃなくなるなら活動はできない」という思い。それが最大の決め手でした。この5人が好きだから、5人でSW!CHを終えようって。
──活動終了と聞くと、寂しさ、切なさ、つらさのようなネガティブな感情と紐付くイメージがありますが、皆さんとしては幸せなままで消灯するには今が一番だと。
メンバー一同 (うなずく)
Sugaya Bros. 活動の勢いとしてもモチベーション的にも、今が一番いいところだなと思っているんです。ポジティブな状態で終幕を迎えられるのは一番だと思います。
──ただ、6周年という節目を迎え、「これからも応援するぞ!」と息巻いていたファンに向けて、この発表をするのは心苦しかったでしょうね。
MAYUNA いやあ、本当に。いつ発表するか直前まで悩んでいました。メンバーといろいろ話し合った結果、私たちのデビュー日である12月6日に活動終了を伝える……しかもSNS上で発表すると決まって。そのあとは、ファンの皆さんに自分たちの気持ちを悟られないように、メンバーみんな一生懸命楽しく振舞っていました。
AKARI 活動終了のことを発表の日まで隠さなきゃいけないのがつらかったです。「もっと上を目指せるよ」と、ポジティブなことを特典会でファンの方に言っていただいたりして。そう信じてくれている人たちに申し訳なくて、すごく複雑な気持ちでした。
MAYUNA 発表当日は「やっぱり1人ではいられないよね」とメンバー全員で集まって、おいしいごはんを食べて心を落ち着かせながら、ファンの皆さんの反応を見守っていました。そのあとは「ファンの方とどんな気持ちで向き合えばいいんだろう?」と複雑な心境にもなりましたが、限られた時間の中で思い出を作ろうと、皆さんもすごく楽しみながらライブを観てくださって。なんなら今まで以上に私たちのライブを楽しんでくださる姿を目にして、「私たちも今を最高に楽しもう」と気持ちを切り替えられました。
ASAMI 活動終了を発表してから、間違いなくファンの皆さんとの団結力が高まっているよね。私たちはもちろん、ファンの方の熱量が今まで以上です。
HARUKA 「最盛期は今」と胸を張って言えます。「この時間がずっと続けばいいのにな」って思っちゃうぐらいです。
それぞれが胸に抱く「楽しかった思い出」
──SW!CH OFFに向けて発表したメッセージが素晴らしいですよね。個人的には「SW!CHは楽しかった思い出を抱き締めながら醒めるとも分からない眠りにつきます」のくだりに、心揺さぶられました。
メンバー一同 (下を向いて笑い出す)
──なぜその反応!? 素晴らしい文言ですよ。
FUYUKA メンバー的にはちょっと、「これ、なんだろう?」と思うところがあって(笑)。
ASAMI 文学的すぎて、活動終了発表の文とは全然思えなかったんです(笑)。「この文で、言いたいことが伝わっているのかな?」って。
HARUKA 関係者の方はすごく褒めてくださったんですよ。けど私たちは……。「ファンの方にも伝わったのかな?」って。
──心が温かくなる文なのに……。
Sugaya Bros. これを理解してもらえないとは……教養の差なのかな……(笑)。
メンバー一同 (笑)。
──ファンの方には届いたと信じます! では、この言葉を借りて、この6年半で胸に抱いた「楽しかった思い出」を聞かせてください。
AKARI 2023年に「TIF」(「TOKYO IDOL FESTIVAL」)に出られたことです。アイドルになる前から夢見ていた憧れのステージで。そこに立てた瞬間は「夢が叶った!」と、すごくうれしかったです。
ASAMI 昨年「@JAM EXPO」に出演したとき、大好きな小栗有以さん(AKB48)にお会いできたんです。ずっと握手会に通ってきた推しメン……本当に憧れの方で。SW!CHにならなければアイドルとしてご一緒できなかったので、「ここまで続けてよかった」と強く思いました。
HARUKA 私は遠征のすべて。途中からの加入だったので、みんなでいろいろなところに行ってライブができたのは、メンバーともファンの方とも距離が縮まる瞬間でした。1つひとつ、全部の遠征が大切な思い出。今でも忘れられないのは、オフ会の帰りに全員でふざけて「歌しりとり」をやりながら帰ったとき。
FUYUKA あったね。本当にあれはくだらなすぎて、ずっと笑ってた(笑)。
HARUKA そうした何気ない瞬間が楽しすぎて、そのたびに「SW!CHに入れてよかった」と思っています。
FUYUKA 私も遠征が思い出深いです。一昨年の沖縄遠征のとき、5人部屋に泊まったんです。人によってはプライベート空間を大切にしたくなるのかもですが、私たちは仲がよすぎて「相部屋余裕!」という状態で。まゆちゃん(MAYUNA)とちろちゃん(HARUKA)が、すごくくだらないポーズでジャンプするので、その姿を私たちが連写して撮ったりして(笑)。さらにその写真を見せ合って深夜なのに大盛り上がり。そのくだらない瞬間を共有できる関係がすごく幸せで。まるで遅れてきた青春、修学旅行の夜みたいだなとワクワクしていました。
──この6年半の関係の積み重ねですね。
FUYUKA ですね。6年半……途中加入したちろちゃんもまるでずっと一緒にいたかのように仲がよくて。本当にケンカもなく、これだけ長い時間を一緒に過ごせたのは奇跡的だと思います。
MAYUNA 私は、例えば普通に就職して働いていたとしたら、会社の人としか話さずに生きてるようなタイプで。でもSW!CHでは違う環境で生活してきたメンバーたちと出会い仲を育んで、それ以外にもこの活動がなければ一生出会えなかったであろう人たちにも会えてたくさん話をして、そこから新たな世界を見て、知って、教わった……この活動を通じた一期一会のすべてが大きな宝物です。アイドルの活動は楽しいことばかりじゃないですが、私たちが心穏やかなまま活動を続けてこられたのは、メンバーや支えてくれるスタッフの方々、応援してくれる皆さんのおかげ。素敵な人たちと出会えたことは自分の人生の糧になっています。
──この言葉、ファンの方はたまらないでしょうね。
MAYUNA ぜひ、これを読んで泣いてくださ~い。
メンバー一同 アハハ。
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ラストミニアルバム「Smile」楽曲紹介