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BILLY BOO ラプソディ
難問だらけの日々に奏でる“僕だけのラプソディ”
黒田隆憲
BILLY BOOはSNS総再生6000万超のシンガーソングライターKAZUKI UJIIEを中心に、2024年に仙台で結成された4人組バンドだ。ブラックミュージックを出発点に、ロック、R&B、ヒップホップなどを自在に取り入れたミクスチャーサウンドと、口ずさみたくなるキャッチーなメロディ。そんな“雑食性”と“普遍性”が絶妙なバランスで共存する音楽を特徴としている。2025年2月にリリースされたEP「逆光」がFM802のヘビーローテーションに選ばれたことも話題を呼び、若いリスナーを中心にじわじわと支持を広げてきた。
そんな彼らの新曲「ラプソディ」は、テレビアニメ「謎解きはディナーのあとで」のエンディングテーマとして書き下ろされたもの。アニメ本編における洒脱な謎解き劇の幕引きを、軽やかに、そしてほんの少しの切なさを込めて彩る1曲だ。「狂詩曲」という意味を持つタイトルが示す通り、起承転結のある“ドラマティックな小曲”のようでもあり、1つの答えにたどり着くというよりは、日常の迷路に迷いながらも、ふとした瞬間に自分だけのユートピアを見つけにいく──そんな感覚を、みずみずしい感性で言葉と音にしている。
リリックには「繰り返す 難問ばかりのLife」「惰性 だらけなんてダセェ」といったフレーズが並びつつ、そこに漂うのは単なる悲観ではない。乾いた風、鼻歌、軽快なステップ。世界の重力を受け流しながら、「Bad mind」──つまり負の感情に「おさらば」を告げる姿が描かれる。KAZUKIのファルセット交じりのハイトーンボイスは甘くソウルフルでありながら、どこか妖しさと陰りを帯びていて、アニメのミステリアスな世界観とも共鳴している。
レトロなナイトクラブを舞台にしたミュージックビデオも印象的だ。艶やかな照明とスモーキーな空気の中で、メンバーが奏でる「ラプソディ」は、官能と哀愁をまとう一方、グルーヴィな軽やかさも宿している。このバンドの真骨頂は、そうしたギャップ──切なさを振り切らずに抱えたまま、それでもなお跳ねることができる、その強さとしなやかさにあるのだ。
難問だらけの毎日の中でも、ふとした拍子に見えてくる青空。その瞬間を逃さずにつかみにいく姿勢こそが、“僕だけのラプソディ”を奏でることなのかもしれない。気負わず、気取らず、でも確かに背中を押してくれるような、そんな“鼻歌まじりのエール”が、この曲には宿っている。
BILLY BOO - ラプソディ【Official Music Video】
- BILLY BOO「ラプソディ」
- 2025年4月11日(金)配信開始 / Sony Music Records
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作詞・作曲:KAZUKI UJIIE / 編曲:A.G.O、KAZUKI UJIIE
- BILLY BOO「ラプソディ(完全生産限定盤)」
- 2025年6月4日(水)発売
/ ソニー・ミュージックレーベルズ
[CD] 税込1650円 / SRCL-13318
BILLY BOO(ビリーブー)

2021年よりソロ活動していたシンガーソングライターKAZUKI UJIIEが、コロナ禍に分散してしまったメンバーと再度集結し、2024年5月に始動したバンド。ロック、ヒップホップ、R&Bをルーツに、ジャンルの垣根を超えた独自のミクスチャーサウンドとキャッチーなメロディが融合した音楽を届けている。2025年2月にEP「逆光」を発表。6月にテレビアニメ「謎解きはディナーのあとで」エンディングテーマをCDリリースした。10月から2026年2月にかけてライブツアー「BILLY BOO "WIGGLY tour 2025-2026”」を開催する。
BILLY BOO (@BILLYBOO_offici) | X