2023年4月より約半年間にわたって行われたアイドルプロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」オーディション。この合格者11人が2023年12月にWHITE SCORPIONとしてデビューを果たした一方で、惜しくも最終審査に落ちた17人はその後FINALISTという名義で下積みを重ね、今年1月についにメジャーデビューを果たした。
念願のデビューを叶え、アイドルとして新たな経験を積んでいる中、Rain Treeは5月28日に2作目の配信シングル「つまり」をリリース。歌、ダンス、自己表現の3つを運営と各専門スタッフが審査する「セレクションシステム」により、今作では朝宮日向、綾瀬ことり、遠藤莉乃、佐藤莉華、鈴野みお、新野楓果、吉川海未の7人が表題曲を歌唱する“メインメンバー”に選出された。音楽ナタリーでは「つまり」のリリースに合わせて7人にインタビューし、デビュー後の心境の変化や新曲の注目ポイントを語ってもらった。
取材・文 / 左藤豊撮影 / 佐々木康太
メジャーデビューを果たして生まれた感情
──Rain Treeのインタビューは今年1月のメジャーデビュー時以来となります(参照:Rain Tree インタビュー|オーディションに落ちた“FINALIST”、苦しかった下積み期間を経てついにデビュー)。本題に入る前に、朝宮日向さんと吉川海未さんは音楽ナタリーの特集初登場となりますので、最初に自己紹介をお願いします。
朝宮日向 千葉県出身の23歳、朝宮日向です。ファッションと食べることとアイドルさんが大好きです。私は昔からずっとアイドルになりたくて。もともと人見知りですし人前に出ることも得意ではないんですけど、だからこそステージでキラキラ輝くアイドルに憧れを持ちました。ただ、高校1年生から20歳までいろんなオーディションを受けたものの合格できず、一時はスタイリストを目指していたんです。そんなときに「IDOL3.0 PROJECT」オーディションを知って、最後のチャンスだと思ってチャレンジしました。今こうしてアイドルとして活動できていて幸せです!
吉川海未 福岡県生まれ、神奈川県育ちの24歳、吉川海未です。趣味はアニメを観ること、御朱印集め、柔軟剤を集めることです。私はもともとフェアリーズさんが大好きで、イベントにもたくさん通っていました。かわいい衣装を着て、カッコよく歌って踊る姿に憧れていて。中学生の頃からアイドルになりたい気持ちはあったけれど、当時は自信がなくて、実際にオーディションを受け始めたのは大学生になってからです。私も最後のチャンスだと思って「IDOL3.0 PROJECT」オーディションを受けました。すでに新卒で社会人として働いていたんですけど、オーディションのために退職して。その結果、今Rain Treeとして活動できているので、あきらめなくてよかったなと思っています。
──Rain Treeは今年1月にメジャーデビューを果たしました。憧れだったアイドルになり、さまざまなイベントやメディアへの出演も経験されましたが、その中でどんな感情が生まれましたか?
佐藤莉華 1stデジタルシングル「I L U」をリリースし、いろんな現場にお邪魔して、今まで経験したことのない世界を味わえてすごく楽しかったです。そして同時に、「アイドルさんってすごい」と改めて感じました。例えばテレビ番組の歌収録だと、ランプが光っているカメラを見なきゃいけなかったり、うまく映るようにいつもとは立ち位置をずらしたりしますが、それを瞬時に覚えて実行しなきゃいけないんです。もともとアイドルさんが好きでいろいろな番組を観てきましたけど、皆さん毎回これをされていたんだとわかって本当にすごいなと感じました。また、歌やダンスだけじゃなく体形管理や表情管理など、あらゆることを同時進行でやらなきゃいけないんだと実感して、「アイドルってアスリートだ」と思いました。アイドルの皆さんへの尊敬の念が強くなりましたし、自分も尊敬されるアイドルを目指していきたいです。
遠藤莉乃 この春、「マイナビ東京ガールズコレクション2025 SPRING/SUMMER」と「CREATEs presents IDOL RUNWAY COLLECTION 2025」にオープニングアクトとして出演させていただいたんです。オープニングアクトなので、会場内は座席でまだ荷物の準備などをしているお客さんが多くて、全員を振り向かせられなかったのがすごく悔しかったですね。パフォーマンスで魅了できるアイドルになりたいので、ダンスや歌、表現などで惹き付けることができるようにもっとレベルアップしなきゃと思いました。
新野楓果 私はこの期間で、ステージに少しずつ慣れてきました。最初はリリースイベントのステージに立つだけで声や手が震えてしまっていたんです。私たちのファンの方が来てくださる、安心できるはずの場所ですら緊張していて。だけど「TGC」や「IRC」、テレビ番組収録など、私たちを知らない方たちのほうが多いステージを経験したことで、少し気持ちが変わりました。「次にいつこのステージに立てるかわからないんだし、せっかくなら楽しんでやろう」と思えるようになったのが、自分の中で成長できたポイントです。そして、もっと大きなステージに立って楽しみたいという思いも生まれました。
セレクションを通じて成長できた
──そんな中、2ndシングルのリリースが発表され、メインメンバーを決めるセレクションが行われました。YouTubeの動画でセレクションの模様を拝見しましたが、レッスンの講師から厳しい指摘もたくさんありましたね。皆さんにとっては、改めて自分と向き合う期間になったのではと思います。
綾瀬ことり 私は前作「I L U」でセンターポジションをいただきましたが、「今回選ばれなかったらどうしよう」という不安な気持ちが大きかったです。個人のお仕事もやらせていただけて、すごくありがたいけれど、「みんなは今頃練習しているんだろうな」と頭によぎったりして……。不安が大きかった分、またメインメンバーに選ばれたときは安心しましたしうれしかったです。
鈴野みお 私は今回、「何かが足りない」という指摘をいただきました。ダンスの先生からは「踊れているけど、ただ踊れているだけだよ」、ボーカルの先生からも「歌えているけど何か足りない」と。その言葉を受けて、ステージに立つ自分がどう見られているのか、深く考えられていなかったなと気付きました。自分なりに見せ方を磨くことに取り組み、歌では語尾の上げ方など細かい部分まで意識するようになりました。最終審査のあと「どうでしたか?」と先生に尋ねると、「よくなっていたよ。ステージに立っている姿が見えた」と褒めてくださって。セレクションを通じて成長できてよかったなと感じています。
──1stシングルのメインメンバーに選ばれなかった朝宮さんと吉川さんは、今回のセレクションに期するものがあったのでは?
朝宮 はい。今度こそ絶対に選ばれたくて、毎日がんばって練習していたので、今作のメインメンバーが発表されたときは本当にうれしかったです! がんばるのは当たり前ですけど、がんばってよかったなって。今の私の課題は、笑うこと。踊っているときにうまく笑えないんです。パフォーマンス中の表情をもっとがんばっていきたいと思っています。
吉川 私は前回のセレクション期間、レッスン場の自主練で歌うことができなかったんです。メンバーに聞かれるのが恥ずかしくて……。でも、自主練に来ているほかのメンバーと一緒に歌ったり踊ったりできるようになり、それが自信につながりました。今回メインメンバーに選んでいただけたのは、その変化が大きいのかなと感じています。私も朝宮と同じで、今の課題は表情。ボーカルの先生にも「あとは表情だけ」と指摘をいただいたので、成長できるよう今後がんばっていきたいです。
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