今年2月に約4年半ぶりに活動を再開した
「ヤッサ」はウルフルズが2000年から万博記念公園にて10年連続で行ってきた夏の恒例野外イベント。彼らの活動休止にともなって2009年をもって休止していたが、バンド再始動にあわせて今年5年ぶりに復活を果たした。この日の模様は全国の映画館でライブビューイングが行われ、さらにWOWOWでも生中継された。
前日までの雨がやみ、当日は強い日差しが照りつける快晴に。会場にはフードの屋台なども設置され、にぎやかなお祭りムードを1万8000人のファンが楽しんでいた。開演直前、ステージ両脇のLEDモニターには2000年からの歴代「ヤッサ」の映像が映し出された。活動休止前の2009年の映像が終わったところでカウントダウンが始まり、花道の途中に設置されたセンターステージに提灯型の赤い巨大バルーンが出現。ゆっくりと膨らんだバルーンが限界を超えて破裂すると、中から青と白の縦縞マントをまとったウルフルズの4人が現れた。彼らはマントを脱ぐと、会場の万博記念公園にちなんで1970年の大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」をBGMに、観客の声援に応えながら花道を練り歩いた。
メインステージにウルフルズの4人が揃うやいなや、すぐに1曲目「バンザイ~好きでよかった~」がスタート。さらに「愛がなくちゃ」も立て続けに披露され、観客のボルテージは一気に上昇した。強烈な日差しを浴びながらのパワフルなパフォーマンスで、メンバーは早くも汗だくに。トータス松本(Vo, G)は前方を指さしながら「太陽があっちに落ちていくってことは……、俺はずっと熱いってことか」と言って笑いを誘い、また「借金大王」のブレイクでは、ギラギラしたド派手な衣装について「せっかくだから目立つやつを着たいし、衣装選びしてるときはテンション上がってるから『いけるやろ!』って思ってたけど、すごいぞこれ、まったく汗が染み込まない(笑)」と話していた。
初期のナンバー「SUN SUN SUN'95」ではビキニや海女の衣装などを着た約50人ほどの女性ダンサーが登場し、ステージ上はまさにお祭り騒ぎ。「あついのがすき」ではサビのパートをウルフルケイスケ(G)、ジョンB(B)、サンコンJr.(Dr)が交代で繰り返し何度も歌った。ステージ転換の際にはLEDモニターで、トータス扮する松本店長、ジョンB扮するファニー黒田による架空の通販番組「ウルフルショッピング」を上映。会場で販売されているオフィシャルグッズを2人がうさんくさいセールストークでオススメし、さらにサンコンJr.扮する恵比寿の佐子シェフ、ウルフルケイスケ扮するトップアスリート岩本がグッズ愛用者として体験談を語ると、場内には笑いが沸き起こった。
衣装を替えて再び登場したメンバーは、今度はセンターステージに移動。小さいライブハウスのように観客との距離が近いコンパクトなステージで、360°観客に囲まれながら「ツギハギブギウギ」やデビュー曲「やぶれかぶれ」、そしてメンバーが懐かしい曲と話した初期曲「いつも元気」を歌った。トータスの「ここでもう1曲だけやろう」という提案を受けて披露された「笑えれば」では、一緒に演奏することを楽しむように4人が向き合って音を奏でていた。
ライブの後半戦は、テレビ東京系ドラマ「アオイホノオ」のオープニングテーマとしてオンエア中の「あーだこーだそーだ!」からスタートした。「明日があるさ」では再び女性ダンサーたちが登場し、さらにウルフルケイスケがステージに現れた巨大な木琴でソロを披露するという見せ場も。ケイスケは続く「まいどハッピー」でも、メインボーカルを担当して観客を沸かせていた。「まいどハッピー」の曲中、ケイスケは「迷ったら、まっすぐ。迷ったら、行け」というメッセージを観客に送り、自然と会場中に「迷ったら」「行け」というコール&レスポンスが発生した。
夕暮れの美しい光景も相まって感動的なムードに包まれた「僕の人生の今は何章目くらいだろう」を終えて、サンコンJr.が「懐かしい曲もいっぱいやってるんですけど、ホンマに僕らいい曲多いなと思って。まだまだやるから楽しみにしておいてください!」と発言すると、ジョンBは「なんやかんやで僕らって仲いいもんね」と続ける。いよいよラストスパートに入り、彼らは「それが答えだ!」「事件だッ!」とファンキーなディスコチューンを連発。トータスは「おもいっきりみんなで歌えるやつ、やるぞー!」と叫び、力を振り絞るように本編最後の曲「ええねん」を熱唱した。
その後メンバーはアンコールを受けてステージに戻り、トータスは「声が出るうちはまだやるぞー!」と宣言。浪速魂が詰まったソウルナンバー「大阪ストラット」を披露した。ケイスケは曲の途中で「六甲おろし」を歌い、観客は甲子園球場さながらに大量のジェット風船を飛ばす。大盛り上がりの中、観客に手を振りながら再び退場したメンバーだが、しばらくして「まだやってない曲あったわー」と言いながらまた定位置に戻り、Wアンコールとして「ガッツだぜ!!」をパフォーマンス。燃え尽きて花道で倒れたトータスが観客の声援に力付けられて立ち上がると、その瞬間ステージの裏手から火柱が吹き上がり、さらにケイスケのギター、ジョンBのベースの先から火花が舞い散った。
「ガッツだぜ!!」を歌い終えたトータスは、「5年前の『ヤッサ』、あのときはもう1回ここに戻ってこれるなんて思ってなかった。戻れるか戻れないかって考えること自体、疲れていて誰もできない状態だったんです。でも今はこんなに元気なんですよ。あれは今思ったらなんやったんやろ」と5年前の心境を告白。そして「休止してる間、『またウルフルズに辿り着くぞ』を目標にしてたわけじゃない。でもメンバー誰一人立ち止まらずにそれぞれの音楽をやって、それが行き着いた先がウルフルズだったんですよ。奇跡のような話やと思うわ。ここに戻ってこれてホントによかった」と、「ヤッサ」を再開することができた喜びをしみじみと噛み締めていた。
「最後の曲はみんなで歌おうぜ!」というトータスの声に導かれて、ラストナンバー「いい女」は観客も含めて大合唱に。「だけど、ひとつだけ言いたいことは」という歌詞に続けて、トータスは力強く「もうやめへんから!」と歌った。メンバーは最後にダンサーたちとともに花道に移動。全員で手をつないで観客に礼をすると同時に、宴の終わりを告げるようにステージの裏手から上空にたくさんの花火が打ち上げられた。
なお、新たな歩みを始めたウルフルズは、10月4日から年末まで続く全24公演のライブツアー「ウルフルズツアー2014 ONE MIND ~あついのがすきすぎ~」を行う。
※記事初出時より、ライブ写真を9枚追加いたしました。
ウルフルズ「OSAKAウルフルカーニバル ウルフルズがやって来る!復活のヤッサ!!」2014年8月30日 大阪府 万博記念公園もみじ川芝生広場 セットリスト
01. バンザイ~好きでよかった~
02. 愛がなくちゃ
03. 彼女はブルー
04. 借金大王
05. Let's Go Monday
06. ブヤカシャー!
07. サムライソウル
08. SUN SUN SUN'95
09. バカサバイバー
10. あついのがすき
11. ツギハギブギウギ
12. やぶれかぶれ
13. いつも元気
14. 笑えれば
15. あーだこーだそーだ!
16. どうでもよすぎ
17. 明日があるさ
18. まいどハッピー
19. 僕の人生の今は何章目くらいだろう
20. ヒーロー
21. それが答えだ!
22. 事件だッ!
23. ええねん
<アンコール>
24. 大阪ストラット
<ダブルアンコール>
25. ガッツだぜ!!
26. いい女
ウルフルズツアー 2014 ONE MIND ~あついのがすきすぎ~
2014年10月4日(土)埼玉県 川口総合文化センター リリア
2014年10月5日(日)東京都 オリンパスホール八王子
2014年10月10日(金)静岡県 静岡市民文化会館 大ホール
2014年10月13日(月・祝)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
2014年10月15日(水)大阪府 フェスティバルホール
2014年10月18日(土)岡山県 倉敷市民会館
2014年10月19日(日)広島県 広島文化学園HBGホール
2014年10月21日(火)大阪府 大阪オリックス劇場
2014年10月22日(水)大阪府 大阪オリックス劇場
2014年10月25日(土)香川県 アルファあなぶきホール
2014年10月26日(日)高知県 県民文化ホール オレンジホール
2014年11月1日(土)福岡県 福岡サンパレス
2014年11月3日(月・祝)熊本県 熊本市民会館崇城大学市民ホール
2014年11月9日(日)神奈川県 神奈川県民ホール
2014年11月15日(土)東京都 渋谷公会堂
2014年11月16日(日)東京都 渋谷公会堂
2014年11月22日(土)岩手県 盛岡市民文化ホール
2014年11月24日(月・祝)宮城県 仙台サンプラザホール
2014年11月29日(土)北海道 ニトリ文化ホール
2014年12月2日(火)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
2014年12月4日(木) 大阪府 フェスティバルホール
2014年12月13日(土)新潟県 新潟県民会館
2014年12月20日(土)石川県 本多の森ホール
2014年12月27日(土)沖縄県 沖縄コンベンションセンター
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リンク
- ウルフルズ オフィシャルサイト : ULFULS.com
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