浅井健一、映像演出も魅せた「Nancy」レコ発

浅井健一が7月10日に東京・赤坂BLITZにてワンマンライブ「Sky Diving Night」を行った。

アルバム「Nancy」の発売記念ライブとして実施されたこの日、浅井は福士久美子（Key, Cho）、皆川真人（B, Key）、岡村美央（Violin）、椎野恭一（Dr）というバンドメンバーとともに登場。「Nancy」収録曲をはじめとするソロ曲のほかBLANKEY JET CITY、SHERBETS、PONTIACSなどキャリアの中で発表してきたナンバーまで、アンコール含む19曲を披露した。

定刻をすぎ暗闇に姿を見せた浅井は、ギターを手にすると切れ味鋭いカッティングからBLANKEY JET CITY「プラネタリウム」を1発目に放つ。思わぬ選曲に沸き立つ客席からは要所要所でシンガロングする声が聞こえ、曲が終わると会場はすぐさま「ベンジー！」と彼の愛称を呼ぶ声でいっぱいに。「君をさがす」では叙情的なピアノやストリングスの音色、幾重にも重なるコーラスがフロアを満たし、哀愁を帯びたムードが漂った。浅井は「Parmesan Cheese」で這うようなベースを鳴らしたり、「Your Smile」でアコギを爪弾きながら語りかけるように歌ったりとさまざまな形でオーディエンスを魅了。「僕は何だろう」ではスクリーンに黄色い花畑とそこで舞う女性の映像が投影され、楽曲の世界観を引き立てた。

映像演出を使用したパフォーマンスは「麦」「魔王をぶっとばせ」でも行われた。メリーゴーラウンドや鳥の群れを映したモノクロ映像でノスタルジックな光景が広がったかと思えば、しゃれこうべだらけの不穏な映像に変わる。バンドの演奏は次第に激しさを増し、場内の空気も緊迫感で張り詰めていく。観客は圧倒されるようにじっとステージに集中し、彼らが描く音世界に惹きつけられていた。

最新アルバム曲「Sky Diving Baby」「桜」、PONTIACS「アメリカ」で再び高ぶるフロアへ投下されたのは、BLANKEY JET CITY「DERRINGER」。熱狂するオーディエンスの中にはクラウドサーファーも出現し、会場は大きな盛り上がりを見せる。轟音で鳴らされた「BPR」のあと浅井は「今日はみんな来てくれてありがとね」と話し、本編ラストに「ハラピニオ」を届けた。先ほどとは一転して優しげな歌声を聴かせると、「サンキュー、ありがとう」と残してメンバーとともにその場を去った。

アンコールではまず今回のバンドメンバーが紹介される。ここでは自身を紹介しなかった浅井に対し客席から「ギターボーカルは？」という声が上がり、浅井が「浅井健一」と答えてみせるという一幕もあった。ドラマチックな「紙飛行機」、激情的に響いた「ペピン」に続き、浅井が「今回はここしかやらないんだけど、秋に全国5カ所このメンバーでやるからぜひ来てください。そのときはみんな座ってもらうんだよね」と9月から10月にかけて実施されるライブツアーについて語る。そしてこの日関東に台風が上陸することを受けて「今日台風来てるから……。帰り気を付けてね」と呼びかけた。濃密なライブの終わりはSHERBETS「小さな花」が飾り、「また会う日まで元気でね。バイバイ」というメッセージで締めくくられた。