
再生数急上昇ソング定点観測 (2025年4月4週目) [バックナンバー]
≠MEのイメージを逆手に取ったモブノデレラの絶望 / 生成AIで過去の自分を動かす、浜崎あゆみMVに反響
今、盛り上がり始めている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2025年4月25日 18:30 1
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで4月11日から4月17日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、35位に
NEXZ「Simmer」ミュージックビデオ
37位に登場したのは
XG「IN THE RAIN」ミュージックビデオ
43位には
こっちのけんと「けっかおーらい」ミュージックビデオ
44位には
WORLD ORDER「NEO SAMURAI」ミュージックビデオ
多種多様な新曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。
星街すいせい「もうどうなってもいいや」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場15位
スタジオカラーとサンライズがタッグを組んで制作したガンダムシリーズ最新作「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」。1月17日に劇場先行版「機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-」が公開されると、興行収入は33.4億円を突破し、ガンダム映画シリーズ歴代2位を記録する大ヒットとなった。この作品の挿入歌が、
同曲は4月8日から日本テレビ系で放送開始したテレビシリーズ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」のエンディングテーマとしてもオンエアされており、さらに注目を浴びている。4月9日に配信されたフル音源は、16日発表のオリコン週間デジタルシングル(単曲)ランキングで自身初のデジタルシングル1位を獲得した。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』ノンクレジットエンディング映像│星街すいせい「もうどうなってもいいや」
翌10日に公開されたMVは、日々の生活に憔悴した様子のOLが、あきらめたような表情で「もうどうなってもいいや」とつぶやくシーンから始まる。OLは鬱憤を晴らすかのようにシューティングゲームをプレイし、ステージをクリアするに従って表情が明るくなっていく。そして最後に彼女は会社の上司に辞表を叩き付け、晴々とした顔で「もうどうなってもいいや」と空を見上げる。そんな非常にドラマチックなこのMVは、2週間で220万再生に達している。コメント欄には「最初曲名だけ見てた時は自暴自棄のやけっぱちで奮闘するような感じなのかなと思ってたけど、実際聞いてみると『もうどうなってもいいや』は"どう転んでも後悔が無い選択をした"っていうニュアンスに聞こえる」など楽曲の構成を絶賛する声が多く上がった。
≠ME「モブノデレラ」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場28位
MVは時計の針が12時を指すシーンで始まり、その世界観は童話「シンデレラ」をイメージさせる。だが、メンバーが演じるのは主人公のシンデレラではなく、王子に差し出されたガラスの靴を履くシンデレラを恨めしそうに見ている“モブデレラ”。いわゆる“じゃないほう”にスポットを当てているのが斬新であり、メンバーの怒りや悲しみに満ちた表情も新鮮だ。≠MEの正統派アイドルとしてのイメージを逆手に取った楽曲と映像は反響を呼び、4月11日のMV公開から2週間で300万再生を突破した。
コメント欄では「今までの人生ずーっと『選ばれない側』だったしいつも『じゃない方』だったけど、この歌のおかげでそんな自分に名前がついて嬉しい。私はモブノデレラだったんだ」など、それぞれの境遇と重ねて胸を打たれた人の声が多数投稿されている。
浜崎あゆみ「mimosa」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場60位
「年月を重ねる事で変わっていくものと変わらないもの、誰にでもある人生の両面を表現してみました。ドラマと共に歩んできた皆様にも、今作が初めての皆様にも寄り添える一曲になるとうれしいです」
「『ひとつだけ昔の自分にかけてあげられるとしたならどんな言葉にしますか?』 / そんな質問よくあるよね」という問いかけから始まるこの歌詞は「過去の自分」と「現在の自分」との対話がテーマ。2番のサビ「人を心の底から信じるだなんて / 何かに本気で人生賭けるだなんて / 今の時代にまるで合ってないことはさぁ / わかってんだけどそれでもねぇ / やっていくんだよ」は、27年間にわたって時代の先端に立って活躍し続けた今の彼女だからこそ、より強い説得力を持って響く素晴らしいフレーズだ。なお、作曲は「Days」「Key ~eternal tie ver.~」など、これまでも浜崎の楽曲を数多く生み出した多胡邦夫が手がけている。
浜崎あゆみ「mimosa」behind the scenes
MVは自らの歴代のジャケット写真が飾られた「ayuミュージアム」の中を、優しい笑みを浮かべながら歩く浜崎が印象的だ。監督を務めたのは「Microphone」「Last minute」「Dreamed a Dream」を含め、浜崎のMVではおなじみの武藤眞志。このミュージアムはフルCGで制作されており、「浜崎がジャケット写真に手をかざすことで、そこに写る過去の自分が命を吹き込まれたように動き出す」というシーンで生成AIの技術が取り入れられている。楽曲や映像からも浜崎あゆみが歩んだ27年の軌跡が感じられる快作に仕上がっている。
- 真貝聡
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ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
バックナンバー
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音楽ナタリー @natalie_mu
今週は…
🔸星街すいせい、ジークアクス曲に絶賛の声
🔸≠MEのイメージを逆手に取った「モブノデレラ」の絶望
🔸生成AIで過去の自分を動かす、浜崎あゆみMVに反響
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今盛り上がり始めている曲について解説する連載
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