Halo at 四畳半

アーティストを作った名著 Vol.15 [バックナンバー]

渡井翔汰(Halo at 四畳半)

“意味不明”な小説や敬愛するアーティストが紡いだ読み物

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日々創作と向き合い、音楽を生み出し、世の中に感動やムーブメントをもたらすアーティストたち。この企画は、そんなアーティストたちに、自身の創作や生き方に影響を与え、心を揺さぶった読み物について紹介してもらうものだ。今回はHalo at 四畳半の渡井翔汰(Vo, G)が登場。敬愛するアーティストが記した読み物やインスピレーションを受けた本について紹介してくれた。

01. 「スは宇宙のス」(創元SF文庫)
著者:レイ・ブラッドベリ 

「スは宇宙のス」表紙

「スは宇宙のス」表紙

意味不明な世界観にインスピレーションを受けた

敬愛するKFK(ex.カフカ)のカネココウタ氏のブログで存在を知って購入に至った1冊。18、9歳の学生時代に読んだきりなのだが、当時の感想としては“意味不明”であった。それなのにその意味不明な世界観や言葉のチョイス(これは翻訳した一ノ瀬直二氏のセンス)に惹かれ、曲を書くたびに読み返してインスピレーションをもらっていた。僕の書く楽曲がときおり“宇宙感”という言葉で表現される要因の大きな1つがこの本にある気がする。確か初めて読んだ年の前年にレイ・ブラッドベリが亡くなっていることを知って、若造は若造なりに大切に読み込もうと思った記憶がある。意味不明でも心に残るものがあったならそれは表現として素晴らしいものだと思えた1作。

02. 「新言語秩序」
著者:秋田ひろむ

「amazarashi 武道館公演『朗読演奏実験空間“新言語秩序”』supported by uP!!!」キービジュアル

「amazarashi 武道館公演『朗読演奏実験空間“新言語秩序”』supported by uP!!!」キービジュアル

“言葉”をテーマにしたディストピア的物語

こちらもまた敬愛するamazarashiの秋田ひろむ氏が一夜限りのライブのために書き下ろした(もしくはこの小説をもとにライブが生まれたのか、定かでない)小説。“言葉”をテーマにしたディストピア的物語であり、本作の内容はもちろん、本作の朗読と共に行われた同タイトルのライブがあまりに衝撃的で、多大なる影響を受けている。amazarashiはポエトリーリーディングの楽曲が存在したり、音源や映像作品に詩集や小説を付けて発売するなど秋田ひろむ氏の言葉の存在がとても大きなバンドで、そうなるべくしてなったのだろうと納得させられるほど歌詞のひと言ひと言が重く深いところに刺さってくる。きっと僕と同じように“この人が歌を選んでくれてよかった”と思うファンが、今や世界中にいるのだろう。その背を追いかけている。

03. 「今日の亮君
著者:マキシマムザ亮君(歌と6弦と弟)

マキシマム ザ ホルモン

マキシマム ザ ホルモン

ミュージシャンとはなんたるか

意外かも知れないが、何を隠そう僕は高校生の頃からマキシマム ザ ホルモンの大ファンなのである。もはや小説ではなくブログなのだが、僕に多大なる影響を与えた立派な読み物だ。内容は多種多様で、年頃の僕には刺激の強い話もあったが、ミュージシャンとはなんたるかを(やや捻じ曲がった形で)教わった教科書である。調べてみたところ更新は止まっているものの、いまだに読めるように公開されているのでぜひ読んでみてほしい。前述した秋田氏とはまた別ベクトルで人を惹きつける言葉を使う人だと思う。それは楽曲の詞にも如実に表れていて、マキシマム ザ ホルモンというバンドがジャンルの壁を超えてたくさんの人に愛される理由の1つがそこにあるのだと思っている。 

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せんか @_libra_yk_

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