「災 劇場版」で関友太郎、平瀬謙太朗が目指した恐怖とは?ドラマとは「まったく別」

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映画「災 劇場版」のトークイベント付き試写会が本日2月2日に東京・ユーロライブで行われ、監督・脚本・編集を担った監督集団「5月」の関友太郎平瀬謙太朗、Webムー編集長・望月哲史が登壇した。

「災 劇場版」のポスタービジュアル

「災 劇場版」のポスタービジュアル [高画質で見る]

本作は、2025年4月から5月にWOWOWで放送・配信された「連続ドラマW 災(さい)」を大胆に再構築し、ドラマ版とは異なる恐怖の形を描いたサイコサスペンス。葛藤を抱えながら生きる罪なき6人の日常に、香川照之演じる“男”がいつの間にか紛れ込んでいく。“男”は姿、口調、性格や所作まで変えた別人となって彼らの前に現れるが、その異質さに気付く者はいない。やがて6人の人生に“災い”が降りかかる。

望月は「観終わったあとに感じる巨大なモヤモヤを手放してはいけないなというのがこの作品の最大の感想でした。男の行動を説明できてしまえば避けられるし、災が降りかかる原因があればいいけれど、これはなんともならない。そこに気付いたときに怖くなる。巨大な空洞と向き合ってしまったように感じました」と伝えた。

Webムー編集長・望月哲史

Webムー編集長・望月哲史 [高画質で見る]

これを受け、関は「脚本の段階で、この男がなぜこんなことをしているのか? 男の過去を考えようとしたこともあったんです。でも一番怖いのは、何を考えているのかわからないことだと思ったんです。エイリアンやプレデターは現れる前が一番怖い。もちろん、怖さに対する趣味趣向は人それぞれ違うとは思いますが、姿形を見ると、自分はそういう格好をしているんだ、足はそんな形なんだと、ある種怖さから離れていってしまう。新しい怖さ、味わったことのない不気味さを表現したかったので、男の存在が明るみになる前に物語を終わらせるのが、正解だと思ったんです」と回想。平瀬も「必要最低限の設定は決めていますが、この男が何者なのかは決めないという決断をしました。映画では描かないけれど、裏では考えているという状態だと、何か決定しなければいけないときに僕らもそれをよりどころにしてしまうと思ったんです」と振り返り、「いろいろと“人殺しのキャラクター”はいますが、この作品の“男”はそういったものとは一線を画す存在だと思っているんです。例えば、殺人鬼には過去に何か苦しい思いをした経験があったり、いろいろな背景があったりする。でもこの男は毎回、別の人格を持って人々の前に現れる。香川さんに、この作品のお話をしたときも『シリアルキラーを演じてほしいのではなく、災という現象を演じてほしい』というのが最初のオーダーでした」と思い返した。

関友太郎

関友太郎 [高画質で見る]

望月は「まずこの映画を観ると災との因果関係を考えてしまう。でも2段階目で、この因果関係でこんなふうになってたまるかといった考えになる」とコメント。関は「自分が一度大きな病気をしたときに、家族が『あの生活習慣がよくなかったんじゃないか』と心配してくれたんです。でも、医者からは原因になるような生活習慣はないと言われた。自分は当時、病気の理由から解放されたかった。結果的に治ったので、理由を探りたくもないんです。ドラマ版にはそういった経験から作った場面も入れています」と明かす。平瀬は「人間って何事にも意味を見出しちゃう生き物。この人の死には何か意味があるんじゃないか?と見てしまう。この作品では“意味”から、とことん逸脱して、理不尽や不条理を突きつけていこうと。企画の根底にはそんなものがありました」と言及した。

平瀬謙太朗

平瀬謙太朗 [高画質で見る]

イベント中にはドラマ版と劇場版の違いについてトークを展開する場面も。関は「ドラマ版との一番の違いは時間の扱い方です。僕らは時間を操るということに興味があるんです。それは映画だから体験できる時間の流れがあるから。ドラマから映画版を作る際は、ドラマの流れのままやることが多いと思うんですが、僕らはそこにモチベーションはなかった。同じ素材、同じストーリー、同じ題材なのに、こんなに見え方、感じ方が違うものが作れる。そういったところに飛び込みたいと思っていました」と口にする。平瀬も「ドラマ版と映画版では物語の見せ方、語り口が違うんです。僕らにとってはまったく別作品になっています」と続いた。

映画「災 劇場版」トークイベント付き試写会の様子。左から平瀬謙太朗、関友太郎、望月哲史

映画「災 劇場版」トークイベント付き試写会の様子。左から平瀬謙太朗、関友太郎、望月哲史 [高画質で見る]

最後に望月は「観客は、作品を観て作者の意図はこうなんじゃないかって、考察しようとしてしまう。でもそういった映像の消費の仕方を真っ向から否定する大きな恐怖。そこがこの作品の見どころだと思います。面白かったです」と言葉に力を込める。関は「作るのも観るのも、独特な世界観を持った作品が好きなんです。もう1回観て、あの作品に浸かりたいなって思えるような映画がすごい好きで、この作品もそこを目指して作りました。日常に戻ったあと、またあの世界に触れたいと思ってもらえたらと思います」と、平瀬は「ネタバレになってしまうのであまり言えないですが『ちょっと変わったことが起こるよ』と伝えていただければ」と呼びかけ、イベントに幕を引いた。

「災 劇場版」は、2月20日より東京・新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国でロードショー。中村アン、竹原ピストル、宮近海斗(Travis Japan)、中島セナ、松田龍平、内田慈、藤原季節、じろう(シソンヌ)、坂井真紀、安達祐実、井之脇海もキャストに名を連ねた。

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©︎WOWOW

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読者の反応

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えいち @eee_ichi322

ドラマ版とはまったく別、時間の扱い方が全然違うっていうのがすごく気になる!
ドラマ版もめっちゃ面白かったけど、映画ではどんな見え方になるんだろう〜!
「災という現象を演じてください」がめちゃめちゃその通りで、やっぱり凄いなとなった(語彙力ゼロ)
2/20楽しみにしています!!! https://t.co/PdiD1zYNMd

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