映画「
西尾潤の小説をもとにした同作。貧しさから闇ビジネスの世界に足を踏み入れた3人の若者たちの運命と絆の物語が、それぞれの視点を交差してつづられる。主人公のタクヤを北村、タクヤとともに闇ビジネスに手を染めるマモルを林、タクヤの兄貴分的存在・梶谷を綾野剛が演じた。
永田は「この映画を作るきっかけとして、知り合いが警察のお世話になるという出来事がありました。そのときにいろいろ対処を手伝ったり、本人にどういう気持ちだったか聞きまして。そこから少年院に入っている子たちのルポタージュなどを読むようになって、映画の題材にしようと思い至りました」と明かす。北村は「タクヤは生きづらさを抱えながら、ただ生きなくてはという一心で歩んできた人。マモルと出会って生きる意味や、誰かを思う意義を見出す役でした」と回想する。
林は「改めて思うのは、マモルにとってタクヤがいてくれてよかったということです。タクヤがいたからこそ人の愛情や優しさを受け取れた」と話し、「みんなにタクヤみたいな人がいてほしいですね」とコメント。この言葉を受け、北村は「うれしいですね。タクヤのマモルへの思いは、裕太がマモルを演じたからこそ僕も表現できました。僕たちの背景には、梶谷という、泥水の中を平泳ぎしているような人間臭い先輩もいて。この3人でやれたからこそ、思いが芽生えたと思います」と伝える。
イベントでは、観客からの質問コーナーが実施された。「先輩や後輩と接するにあたり、心掛けていることは?」という問いに対し、北村は「まずは自分の好きなものや得意なことを伸ばしてみると、おのずと同じような道を歩んできた先輩や、歩んでいくであろう後輩ができると気がしています。僕は古い映画やファッションが好きなので、自然と現場でおじさんと仲良くなるんです」と回答。林が「ピュアでいること」と答えると、北村は「僕が出会った人の中で、一番ピュアなのが彼(林)。昼メシを食べに2人で町中華へ行ったとき、すっごくおいしそうに食べていて。こういう気持ちを忘れていたなと先輩として惹かれました。ピュアさが僕にはないので……」と述べる。永田は「(北村も)ピュアですよ! (綾野を含め)3人を見ていると、本当にピュアで一生懸命で素敵!と思います」と発言。北村は「似た者同士だったんですね」とほほえんだ。
「闇バイトを巡る現状についてどう思うか?」という質問も。北村は「1つ根底にあるのは、お金の価値ってなんだろうということ。僕は8歳から芸能界で働いていたのですが、お金を稼ぐ意義や、その数字になんの価値があるかとタクヤを演じながら考えました。生きる=お金ではないと思いつつ、そこにすがるしかない状況の人もいるので、否定も肯定もしません。ただ、そんなにお金は“いいもの”ではないのではと思ったりもします」と語る。また、永田が構想段階で参考にした書籍の著者である文筆家・佐々木チワワから、東京の新宿・歌舞伎町の特殊性を尋ねる質問が。永田は「大人になった私からすると『どうしたものか』と思うこともあるのですが、映画ではここをオアシスと感じている子たちを描いた。不思議な場所ですよね」と回答。林は「歌舞伎町という町は、さまざまな人が、それぞれ見たいようにしか見ていないと思う。楽しい側面だけを見ている人もいれば、『ここにいる人はこうだ』と言いたいだけの人たちもいる。さまざまな人の目が入り混じった町だと思います」と言葉をつないだ。
「愚か者の身分」は10月24日より全国でロードショー。なお北村と林は、綾野とともに同作で第30回釜山国際映画祭コンペティション部門のThe Best Actor Award(最優秀俳優賞)を受賞した。
映画「愚か者の身分」予告編
北村匠海の映画作品
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