新海誠が2007年に発表したアニメーション「
上映前の舞台挨拶にて、松村は「大きなスクリーンでこんなにもたくさんの人と一緒に観るのはきっと人生で唯一の日になると思います。今日は素晴らしい映画体験を一緒に迎えましょう。チンチャ カムサハムニダ(本当にありがとうございます)」と挨拶する。奥山は「僕は十数年間、写真家やミュージックビデオやCMの監督をしてきました。ただ、映画がすごく好きで、いつか映画を撮りたいと思っていて、ようやくこの数年間で映画制作に携わることができました」と述べ、「自分の映画人生にとって節目となるような経験をさせてもらえた釜山国際映画祭に心から感謝しています。映画という文化が、これからも末長く続くことを、心から祈っています」と語った。
「この難しい役を演じようと決心したきっかけは?」と問われた松村は、原作アニメーションのファンであると言及しつつ「そして、ご存知の方もいると思うんですけど、新海誠監督の『すずめの戸締まり』という作品で、僕が椅子の役をやったんですね。あ、改めまして、椅子です」と話して会場の笑いを誘う。新海との信頼関係に加え、「奥山さんがすでに始めている実写版『秒速5センチメートル』というプロジェクトや熱意などを聞いていくと、僕1人が不安に思っていたとしても、そんなことは関係ないぐらい、ものすごいセンスと熱量で準備されていて。この方がリーダーになって進んでいく作品に乗っからないほど人生で惜しいことはないなと、強く思いました」と述懐した。
また松村は、貴樹を演じるうえで大事にしていたことを「今回特に難しかったのは、自分が原作の大ファンであり、遠野貴樹というキャラクターやこの物語の世界に憧れていたので、この強い憧れから生まれるドキドキのまま飛び込むと、この世界を楽しむ自分になってしまって、生きることの難しさに苦しむ主人公とはかけ離れてしまうということでした。憧れるということを一切やめて、離れたところで遠野貴樹という人物を見つめ直すことがすごく難しかったです」と回想する。続けて、幼少期・高校時代の貴樹を演じた上田と青木の存在に触れ「彼らが役としての軸をぶらさずに持っていて、それを引き継いだことで、3人で1つの役を演じるということが難しいことではなくなり、とても頼もしくて、役として肉厚になるきっかけになりました」と感謝を伝えた。
上映後、会場は盛大な拍手に包まれ、松村と奥山は固い握手と熱いハグを交わした。松村は「今は放心状態です。自分も一観客として初めてあの作品を観られたような感覚があって。一体感というか、みんなでぐーっと作品の世界に集中して入っていく感じをすごく肌身で感じました」と吐露。奥山は「釜山国際映画祭のオープンシネマで観るという、ある種の緊張感や高揚感も感じていて。本当は言葉にしなければいけないけれど、言葉にしきれない特別な時間でした」と感想を述べ、「この感動を早く(制作に関わった)みんなに伝えたいなと思いました」と述べた。
「秒速5センチメートル」は10月10日より全国ロードショー。
みー @ssmimh
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