かげはらによるノンフィクション書籍「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく」をもとにした同作は、ベートーヴェンの秘書であるシンドラーが、彼のイメージを下品で小汚いおじさんから聖なる天才音楽家へと“捏造”する物語。山田がシンドラーを演じ、
バカリズムは原作の面白さについて「捏造の量ですね。ちょっと変えたというレベルじゃなくて、ほぼ創作に近かったりする」と切り出し、人々が思い描くベートーヴェン像はシンドラーが作ったイメージにかなり近いと述べる。「取材していく中でも、何が本物で何が偽物なのかリアルにわからなくなってくるというか。その時代に生きていた証人が1人もいない以上、僕にとって『正解』を知っている人はかげはら先生だった」と述懐し、脚本執筆において原作を読み込んだことを打ち明けた。
かげはらは、そんなバカリズムの脚本を「言葉の使い方の随所に“バカリズム節”みたいなものが炸裂している」と評し、シンドラーとベートーヴェンの出会いのシーンにおける「(ベートーヴェンの手が)少しニュルっとしていた」というシンドラーのモノローグなど、ディテールの作り方を絶賛した。
劇中では、“現代の日本の中学校”、“19世紀のウィーン”と2つの舞台が登場する。この映画オリジナルの設定について、かげはらは「現代パートが3つの役割を果たしている」と言及。「日本の文化圏にとってベートーヴェンは“音楽室で見たことのある人”で、一番親近感のある肖像画をツールとして使っている」「ベートーヴェンの時代の主要人物が学校の先生として登場することで、『中学生の頭の中の人物』として日本人が外国人を演じることの正当性を生み出している」と分析し、「現代パートを挟むことで過去パートをメタ化し、この物語自体がどこまで真実なのかを絶妙に曖昧にしている。まさに天才の発想だと思いました」とバカリズムを褒めたたえた。
「かくかくしかじか」の
かげはら史帆 @kage_mushi
ニュルッ🤝のシーンがお気に入りすぎる原作者から、映画「べートーヴェン捏造」へのコメントです。
#ベートーヴェン捏造 https://t.co/l0yDIp8tcJ