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映画超初心者・ミルクボーイ駒場孝の手探りコラム「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」 第26回 [バックナンバー]

感動的だし観てよかったけどまったくわからなかった箇所もある「ゴースト ニューヨークの幻」

あそこだけずっと何をしてるかわかりませんでした

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これまで名作をほぼ観たことがないまま育ち、難しいストーリーの作品は苦手。だけど映画を観ること自体は決して嫌いではないし、ちゃんと理解したい……。そんな貴重な人材・ミルクボーイ駒場孝による映画感想連載。文脈をうまく読み取れず、鑑賞後にネット上のレビューを読んでも「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」となりがちな彼が名作を気楽に楽しんだ、素直な感想をお届けする。

第26回のお題は、1990年公開の大ヒット作「ゴースト ニューヨークの幻」。駒場は「まったく知らなかった作品」だというが、あの有名な主題歌や、前回取り上げたばかりの「天使にラブ・ソングを…」のウーピー・ゴールドバーグが登場したことでテンションが上がる。わからなかった部分や“ツッコミ心”がうずく部分もあるにはあったが、基本的には楽しめたようだ。

/ 駒場孝(コラム)、松本真一(作品紹介、「編集部から一言」

「この曲これのやつか!」があった

こんにちは、ミルクボーイ駒場です。今回鑑賞したのは「ゴースト ニューヨークの幻」です。1990年公開の作品らしいですがまったく知らなかったです。知らないものだらけですね。ということで事前情報はありません。ただ、「ゴースト」というもののめちゃくちゃなホラーではないと聞き若干安心はしました。ちょうど今月は移動が多く新幹線の中でゆっくり観ることができました。

観始めてまずいきなり面白かったのは、序盤からかなりホラー映画感を出してるところです。ホラーじゃないとは聞いていましたがちょっとドキドキさせられるような映像でした。タイトル通り「ゴースト」やってましたね。怖くないと聞いていたし、ポスターも男女が抱き合っているものだったので絶対怖い話ではないと余裕こいていましたが、万が一のために一応半目でそのシーンを見届けました。ちゃんと向こうの術中にはまりました。

そんな始まりから、ストーリーもわかりやすい感じで進み快適に観ていたら、そのあとさらにテンションが上がったところがありました。このコラムの「ロッキー」のときなどにも書かせてもらったのですが、「この曲これのやつか!」のシーンがあったんです。映画は知らなくても知ってる曲が流れるとテンション上がるし、そのあと観るための集中力も格段に上がると個人的にはめちゃくちゃ思っています。ここで聴けたのは「オ~マイラブ マイダ~リン」のやつ。定番激甘ラブソングという感じの曲で、バラエティ番組とかでも甘い感じのシーンのときスローになってキラキラ加工がされてその曲が流れているイメージです(というかバラエティがゴーストのこのシーンを模してやっているのか、よく考えたら)。「アンチェインド・メロディ」というタイトルだそうで、詳しく調べるとこの曲自体はこの映画のための曲ではなく、1955年に公開された別の映画の主題歌として作られたらしいのですが、その後新しく録音されたバージョンが「ゴースト」の主題歌になったそうです。 これがまたとんでもなくぴったりのシーンに出てきて、別にこの映画のために作りましたと言っても誰も疑わないですよというくらい抜群の音楽でした。

この時点でもテンション上がっているのですがそのあと少しして、あの方が出てきてくれたんです、我らがウーピー・ゴールドバーグさん! 前回「天使にラブ・ソングを…」を観て完全に覚えまして、まさかこんなに早く再会できるとは思ってもいませんでした。うれしかったなぁ。知っているハリウッド俳優さんが出てくるとこんなにうれしいんですね。映画通になったような気分。「あ、これにもウーピー出てるんだ」みたいに思えて最高でした(ナタリーさんがウーピーつながりで作品決めてくれたんでしょうが、よく考えたら)。こうやって知識のストックが少しずつできていくと本当に楽しいですね。

「ゴースト ニューヨークの幻」場面写真。ウーピー・ゴールドバーグ扮するオダ・メイ(左)と、パトリック・スウェイジ演じるサム(写真提供:Paramount Pictures / Photofest / ゼータイメージ)

「ゴースト ニューヨークの幻」場面写真。ウーピー・ゴールドバーグ扮するオダ・メイ(左)と、パトリック・スウェイジ演じるサム(写真提供:Paramount Pictures / Photofest / ゼータイメージ) [拡大]

何をされたから何をして、何がどうなってそうなったのか

そんな感じで、主題歌といい出演者といい、知ってる尽くしでテンションが上がり、強いて言うなら主人公がカズレーザーさんに激似やなぁと思ってしまい気がそれてしまうこと以外は、興味津々で最後まで観ることができました。登場人物の数も覚えられる程度ですし、言ってることもやってることもわかります。全体としては現実ではない不思議な話ですが付いて行けないようなところはないです。

ただ1つ、内容とは関係なく僕の知識の問題だと思うのですがいまいち意味がわからないところがありました。まぁ別にわからんでもいいのですがわかったほうがいいやろなぁという感じです。一応ネタバレに配慮してざっくり言わせてもらうと、中盤から銀行口座や小切手がどうのこうの言うのですが、ずっとよくわかりませんでした。なんとなくはわかるんです。悪いことをしてお金をどうこうしようとしている。そしてそれを防ごうとしている、ということは漠然とわかります。わかるんですが、何をされたから何をして、何がどうなってそうなったのか。あれがまったく意味わかりませんでした。悪さって、あれじゃなきゃだめだったんでしょうか? もっとわかりやすい悪さではあかんかったのか。観てない方はなんのこっちゃわからないと思いますが、ぜひ観てほしいです。そして教えてほしい。あそこだけずっと何をしてるかわかりませんでした。こんなにテンションが上がって観続けられたのにそれだけ悔やまれました。

そして今回の「そんなこと言うてた?」ですが「これは触れてこれは触られへんとか、言うてた?」です。そもそもゴーストとはなんぞや?という話なのですが、ドアは通れてソファは通らないのか? ドア貫通する人なんてソファも貫通して座れないですよね……。一歩間違えたら誰にも相手にされてないおっちゃんみたいなこと言ってますが、気になっちゃいました。不思議な割にそこまで矛盾を感じないこの作品だからこそ、そのあたりまで注意を払って丁寧にしてくれると、“ツッコミ心”が湧かないぶん気持ちが離れることなく観続けられたかなと思いました。でも全体的にいうと、話も面白く曲も感動的で、しかもウーピー・ゴールドバーグさんにもまた会えたし観てよかったなという作品でした。お金のくだりだけまた勉強しておきます。これからも引き続きウーピー・ゴールドバーグさんに注目もしつつ、いろんな作品を観ていこうと思います!

編集部から一言

駒場さんでも知っていそうな有名なシーンがあると反応しやすいかな……という意図でお題の作品を選ぶことが多いのですが、今回は「ろくろを回す有名なシーンもあるし、『天使にラブ・ソングを…』で観たばかりのウーピー・ゴールドバーグも出てくるし」ということで本作をチョイスさせていただきました。しかし意外とろくろへの言及はなかったです。「まったく知らなかったです」からスタートするとは。2年以上連載を続けていますが、「これなら駒場さんもなんとなく知っているかも」という力加減がつかめておりません。
わからなかったお金のくだりはいわゆる「資金洗浄」「マネーロンダリング」と呼ばれるものについてのあれこれだと思います。確かに作中でも説明がないし、知らない人は知らないですよね。自分が最初にこの概念を知ったのは浦沢直樹のマンガ「MONSTER」だった気がしますが、意味がわからないまま読み進めたことを思い出しました。駒場さんはこの機会に調べてみてください。

「ゴースト ニューヨークの幻」(1990年製作)

「ゴースト ニューヨークの幻」ビジュアル(写真提供:Paramount Pictures / Photofest / ゼータイメージ)

「ゴースト ニューヨークの幻」ビジュアル(写真提供:Paramount Pictures / Photofest / ゼータイメージ) [拡大]

ニューヨークで幸せな日々を送っていた銀行員のサムと恋人のモリー。しかしサムはある夜、何者かに襲われ命を落としてしまう。幽霊となったサムは、自分の死の裏に友人を巻き込んだ陰謀があることを知り、霊媒師オダ・メイの力を借りてモリーに危険を伝えようと試みる。サスペンス、ファンタジーなどの要素も持つラブストーリーとして世界的ヒットを記録した。サムをパトリック・スウェイジ、モリーをデミ・ムーアが演じ、オダ・メイ役のウーピー・ゴールドバーグは本作で第63回アカデミー賞の助演女優賞を受賞している。

駒場孝

1986年2月5日生まれ、大阪府出身。ミルクボーイのボケ担当。2004年に大阪芸術大学の落語研究会で同級生の内海崇と出会い、活動を開始。2007年7月に吉本興業の劇場「baseよしもと」のオーディションを初めて受け、正式にコンビを結成する。2019年に「M-1グランプリ2019」で優勝し、2022年には「第57回上方漫才大賞」で大賞を受賞。現在、コンビとしてのレギュラーは「よんチャンTV」(毎日放送)月曜日、「ごきげんライフスタイル よ~いドン!」(関西テレビ)月曜日、「ミルクボーイの煩悩の塊」「ミルクボーイの火曜日やないか!」(ともに朝日放送ラジオ)など。またミルクボーイが主催し、デルマパンゲ、金属バット、ツートライブとの4組で2017年から行っているライブ「漫才ブーム」が、2033年までの10年を掛けて47都道府県を巡るツアーとして行われている。

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読者の反応

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映画ナタリー @eiga_natalie

【コラム】ミルクボーイ駒場孝の「えっ、この映画ってそんなこと言うてた?」第26回

1990年公開の「ゴースト ニューヨークの幻」を鑑賞!
知ってる音楽も流れたしウーピー・ゴールドバーグさんにもまた会えた!でもずっと何をやってるのかわからない部分がありました

https://t.co/mOL5ar26JU https://t.co/DWVFxPr406

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