

JBLのサラウンドシステムが3年ぶりに刷新され、新たなフラッグシップモデル「JBL BAR 1300MK2」が登場。最高峰のシアターサウンドを実現する11.1.4ch完全ワイヤレスサラウンドシステムを、あらゆるエンタメに精通するテレビプロデューサーの佐久間宣行が体験した。2025年に公開・配信された映画やドラマのセレクション5部門を発表しつつ、手軽なサウンドバーによって実現した“究極のおうちシアター”で特に印象的だった場面を鑑賞してもらった。アクションシーンの迫力や、人の吐息の表現、ミュージカル映画の歌唱シーン、まるで本当に降ってきたかのような雨音などを体験し、「四方八方から音に包まれる映画館の感覚を、家庭用の機材でも実現できているのは本当にすごい」と驚き続けていた佐久間。普段のエンタメとの接し方や、映像作品における音の重要性も語っている。
取材・文 / 村山章撮影 / 間庭裕基
米カリフォルニア発祥の世界最大級のオーディオブランド・JBLが、サラウンドの迫力とサウンドバーの手軽さを両立させ、“究極のおうちシアター”を目指した完全ワイヤレスサラウンドシステム。2022年に発表されたJBL BAR 1000をさらに進化させ、合計29基のスピーカーとアンプで11.1.4chの3D空間オーディオを実現した。Dolby Atmos®、DTS:Xに加え、IMAX EnhancedにJBLとして初めて対応したことも特徴だ。
「BAR 1300MK2」のリアスピーカー部には充電池が内蔵されており、完全ワイヤレスで最大10時間(※1)の連続再生が可能。接続するケーブルはサウンドバーと密閉型ワイヤレスサブウーファーの電源ケーブル2本と、テレビにつなぐ付属のHDMIケーブルのたった3本で、何も買い足すことなく家に届いたその日からすぐに映画鑑賞を始められる。平日はリアスピーカーをサウンドバーにドッキングしたままMultiBeam™3.0(※2)で、週末や休日にはリアスピーカーを取り外して後方に置くことで前後左右+上方からも音が降り注ぐ“フルサラウンドシアター”で楽しむ、<平日すっきり・休日どっぷり>の理想の視聴環境を叶えることができる。
(税込22万8800円 / セット)
※1……コンテンツの種類や音量レベルによって異なる場合あり
※2……JBL独自の技術で、より明確なチャンネルセパレーションを実現する優れたビーム制御が可能に。前方のサウンドバーだけで広く正確な音場が再現できるほか、壁や天井から的確に視聴位置へと音が届けられるため、部屋のどこにいても高い没入感を得ることができる

バランスが取れた作品より、ちょっといびつな作品に惹かれる
──佐久間さんは自宅にホームシアターの機材を導入されていますか?
いや、してないんです。うちの妻がテレビ局の韓国ドラマ担当をもう10年くらいやっていて、我が家のリビングではずっと妻が韓国ドラマをプレビューしてるんです。だから僕は10年くらい、リビングのテレビで何かを観たことがない(笑)。映画を観るときは自宅の部屋のデスクトップPCにスピーカーを外付けでつなげていて、そうでなければヘッドフォンで聴くという感じですね。
──今回、サウンドバーのJBL BAR 1300MK2を体験いただくためにお気に入りの映画やドラマを選んでいただいたんですが、お忙しい中でもいろんなジャンルをチェックされていらっしゃると思いました。
趣味がそれぐらいしかないっていうのもあるんですけどね(笑)。観たい映画はなんとなく評判や監督で選んでおいて、公開週かその翌週の土曜に、早い時間か仕事終わりのレイトショーのチケットを無理やり取っておくんです。仕事で疲れていても予約しちゃったからもう行くしかないとなるように。寝る前の1時間ぐらいは、お酒をちょっと飲みながら配信ドラマを観ると決めてます。あとは仕事で移動が多いので、タブレットに移動の時間分だけ映画やドラマをダウンロードしておいてWi-Fiのストレスなく観られるようにしてますね。
──映像をご覧になる際、どんな環境が理想ですか?
僕は映画館の座席のクオリティとかは気にしないんですけど、やっぱりIMAXかIMAXレーザーGTでやっているとそこで観たいと思います。IMAXレーザーGTで観た「NOPE/ノープ」は音もひっくるめて普通の映画館体験とは全然違いました。本当に空に浮遊物がいるという感じがしたんです。あとDolby Cinemaにもめちゃくちゃ行きます。丸の内ピカデリーのDolby Cinemaで観た「イン・ザ・ハイツ」は最高でした。
──最近の映像業界のトレンドでお気付きのことや、ご自身が惹かれる作品の傾向はありますか?
今は映像作品がなんでもある、数もやたらとある時代だからこそ、ちゃんとその作品にしかないものがあるかが気になります。バランスが取れた作品より、ちょっといびつな作品に惹かれます。「この作り手はこんな勝負をしているのか!」と思える作品は、こちらも観ていて勇気が出ます。
何回も繰り返し観た部門「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」ルイス・クーがかっこよすぎて笑っちゃった
──最近は「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」を映画館で何度もご覧になったそうですね。
「トワイライト・ウォリアーズ」は映画館に2回観に行きました。僕は香港映画がすごく元気だった時代を知っている世代なんで、当時のエッセンスがめちゃくちゃ入っていて「帰ってきた、この感じ!」と思いました。それと同時に、もろもろのアップデートがすごくうまい。僕らが好きだった昔の香港映画のノリをよみがえらせてくれてるんですが、たぶんただ昔のままやってたら、要所要所が気になってつまずいていたと思うんです。違和感なくすんなり楽しめたのは、表現や価値観を今の時代にちゃんと合わせて整えてくれたうえで、すごく面白いものにしてくれていたからで、シェフの腕前の素晴らしさを感じました。
あと、キャラクターで萌えさせてくれる。ルイス・クーが演じたキャラクターが、ほかではあまり見ない“ジジイのかっこよさ”だと思ったんです。もっと渋いジジイとか、弱そうに見えて実は強いジジイは見たことあるんですけど、めちゃくちゃセクシーでかっこいいままジジイになってるってあんまりない(笑)。このキャラクターは人気が出るだろうと思っていたら、やっぱり実際にそうでしたね。
今の時代は、若い人とおじさんの両方をちゃんと串刺しにしないとヒットしないと思っていて、この映画は懐かしいリバイバル的な側面もあるし、僕と同年代くらいの女性が惚れられるキャラクターも、若い人から見て関係性萌えができるキャラクターたちもいて、しかもそれぞれがちゃんと連帯している構造はいろんな世代をとりこにするだろうと思いました。あとこの世界をもうちょっと掘りたくなりますね。続編を作ってほしくなる世界観じゃないですか。昔の香港映画って本当に行き当たりばったりの続編ばっかりでしたからね(笑)。
──では実際にJBL BAR 1300MK2で「トワイライト・ウォリアーズ」のルイス・クーが登場する場面をご覧いただきます。
あ、理髪店のシーンですね。ここはワクワクしたなあ。いやあ、やっぱり素晴らしいですね! ルイス・クーがあまりにもかっこよすぎて、劇場でもちょっと笑っちゃったもん。アクションのかっこよさを突き詰めていくかと思ったら、もっとマンガ的というか、矢沢(永吉)的なかっこよさなんですよね。「やっぱ俺、こういうのが好きなんだよ!」って劇場でも盛り上がりました。
音の広がりも素晴らしいです。ビルからビルに滑り落ちるところの臨場感なんてこのサラウンドじゃないとなかなか体感できないですね。音がアクションにちゃんと付いて来てる感じがします。
自分の人生に思いを馳せちゃった部門Netflixシリーズ「アドレセンス」おお、吐息が生っぽい!
──次にご覧いただくのは、先頃エミー賞の作品賞に輝いたNetflixのドラマシリーズ「アドレセンス」です。選ばれた理由として「自分の人生に思いを馳せてしまった」とおっしゃっていました。
「アドレセンス」を観た理由は単純で、Netflixの人たちが「すごいのが来ます」って言ってたんで楽しみにしてたんです。それ以外の情報をあまり入れずにいたら、第1話で「これはどうやって撮ってんの?」と驚きました。映像的に画面内で起きていることがすごすぎて、最初はストーリーが入ってこなかったくらいでした。途中で戻してもう1回頭から観たんです。
今度は物語重視で、あくまでも普通の一視聴者として観てみたら、思春期の子供が事件の容疑者になっていて、父親がどうやらこれは取り返しのつかない事態だと気付いていく。その緊張感がずっと途切れず、長回し一発撮りの映像が思春期特有の取り返しのつかなさともすごくマッチしていて、「あ、この映像にはすごく演出的な意味があるんだな」と気付かされました。
僕も思春期の子供を持つ身なんで、親の気持ちになっちゃいますね。僕自身は、言い方は悪いですけど、「子供のことをわかろう」っていう時期は終わったんです。究極的には「子供の気持ちは親にはわからない」と思ってるんですけど、親の立場や不安な気持ちはわかります。1話の最後で父親が泣くところなんて、本当に胸が張り裂けそうになりました。
──では、まさに佐久間さんが胸が張り裂けそうになった第1話のラストをご覧いただきます。
おお、吐息が生っぽい! セリフの響き方がすごいですね。セリフだけでなく息遣いみたいなものもはっきりと聞こえてきます。ヘッドフォンで聴いていると、どうしてもまずセリフが耳に入ってきちゃうんですけど、これは空間全体の音がしてるって感じですね。取調室の部屋の空気とか、そこになんとなく存在するノイズがはっきり聞こえてきて没入感があります。
サラウンドだから、人がどっちの方向に出ていったかもわかりますし、さっきのアクションでの音響にも驚いたけど、こっちのほうが驚いたかもしれないです。セリフが聞き取りやすいように真ん中の声を立たせてミックスすると臨場感がなくなってくるんですけど、セリフも聞き取りやすいし、周囲の環境音もくっきり聞こえるのはさすがですね。
確かにまだ誰もやってなかった!!部門「リライト」音響スタッフの狙いがズバリ伝わってくる
──3本目は松居大悟監督のタイムリープSF「リライト」を選んでいただきました。
これはもともと、法条遥さんの原作小説が話題になっていたんです。僕はタイムリープSFがすごく好きで、そのジャンルならどんなものでも観るようにしてるんですけど、特にこの作品は今までのタイムリープものを覆すストーリーだとうわさを聞いていたんです。それで観てみたら、もう完全にジャンルの掟破り。SF好きとしても「こういう手でやってくるか!」とずっとニヤニヤして楽しいまま観終えました。
掟を破ったってだけでも驚くんですけど、その掟破りをストーリーにはめ込んでちゃんと成立させているのがすごい。そして最後に「リライト」というタイトルが効いてくる。誰しも人生をやり直したいとか過去を書き換えたいって思うことはあるじゃないですか。「こんな人生、失敗なんじゃないか」っていう疑問が提示されて、池田エライザさんと橋本愛さんという素晴らしい俳優さんが対決するシーンにつながるんですけど、お二人のやりとりにもヒリヒリしましたね。
──では池田さん演じる美雪と橋本さん演じる友恵が対峙するシーンを、その前の友恵と保彦(阿達慶)の雨の場面からご覧いただきます。
もう雨の音がむちゃくちゃいいですね! こういう包み込まれる感じって映画館でしか味わえないと思ってたんですが、それが完璧に感じられてびっくりしました。しかも雨の音ががっつり入ってるとセリフは聞き取りづらくなりがちですけど、そんなこともなかったな。リアスピーカーから雨の音が聞こえていて、セリフが前から聞こえてるからなのかな。
──リアスピーカーは天井にも音を当てているので、跳ね返って雨が上からも聞こえるようになっていますね。
確かに雨が降り注いでいる感じがすごかったです。音響スタッフの狙いがズバリ伝わってきて、しかもシーンの最後で雨の音がものすごく大きくなっていく。その衝撃があるからこそ、お二人が対峙するシーンの静寂が際立ちますね。正直、僕が映画館で観たときよりもいい音だった気がします。
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一番泣いた部門、この音がすごい!部門
















