「ホウセンカ」小林薫の誕生日を戸塚純貴らがお祝い、似顔絵プレゼントは家宝に

アニメ映画「ホウセンカ」の完成披露舞台挨拶が本日9月4日に東京・新宿バルト9で行われ、声のキャストの小林薫、戸塚純貴、満島ひかり、宮崎美子、ピエール瀧、監督の木下麦が登壇した。

「オッドタクシー」の木下が監督・キャラクターデザイン、此元和津也が原作・脚本を担いタッグを組んだ本作は、死にかけのヤクザ・阿久津実が起こす大逆転を描く物語。孤独に死を迎えようとしていた無期懲役囚の阿久津は、人の言葉を操るホウセンカから声を掛けられ、自身の過去を振り返っていく。小林と戸塚が阿久津の現在と過去を演じ、阿久津のパートナー・永田那奈に満島と宮崎が声を当てた。瀧はホウセンカに息を吹き込んでいる。

約2年前に収録が行われた本作。小林は「“役を演じた”という実感がないんです。実写の場合は、メイクさんがいて衣装に着替えてセットの中に入っていく。だからスタンドマイクの前で声だけを出すのは、どうしても違和感が伴うんです。声だけでしか表現できないので踏ん張っちゃう。それが非常に疲れて、放心状態で家に帰りました」と収録を回想する。続けて「ピエールさんも歩いて帰ったと聞いたので、同じように放心状態だったんだと思っていたのですが、さっき聞いたら『僕はどこでも歩いて帰るんですよ』と言われて。なんだ、違ったのか（笑）」と笑顔を見せた。

小林と一緒に収録したという瀧は「小林さんに声優のイメージがなかったので『台本はそーっとめくると音がしなくていいですよ』とアドバイスさせていただいたんです。そのあとに『この人、ジブリやってる！』って気が付いて。ものすごく恥ずかしくなりました」と話し笑いを誘う。本作で声優に初挑戦した戸塚は「先に薫さんの声が収録されていたので、その声を聞いてから演じました。僕が思い描く阿久津と薫さんが演じる阿久津がどちらもいて、それがヒントになりました。ここを僕がつないでいけたらという思いで臨みました」と口にした。

満島と宮崎は収録前に木下と、那奈のキャラクター性について話し合ったという。満島は「那奈ってどんな人かな？ どうして阿久津さんといるんだろう？と話しました。あの時間があったから役が膨らみました」と語る。また満島は、一緒に収録に臨んだ戸塚について「10年くらい前に何かの作品で戸塚さんを見て、白黒からカラーになったばっかりの時代からタイムスリップしてきた役者さんみたいと思いました。いい意味で空っぽなんです！ 情報で自分自身を見ていない方な気がして、一緒にお芝居をして救われました」と振り返る。その言葉を受け戸塚は「“空っぽ”だけ書かないでくださいね」とマスコミに呼びかけ、笑いを誘った。

宮崎は「隣の人に話しかけるシーンがあると、ついつい横を向いてセリフを言ってしまうんです。私はまっすぐ前を向いて話さないと！とあたふたしました」とアニメ作品ならではの苦労を明かす。木下は「静かで、力強くて、美しい映画です。ぜひ楽しんでください」と観客に伝えた。なお本日は小林の74歳の誕生日。イベントでは戸塚から花束、木下から描き下ろしの似顔絵イラストが贈呈された。小林は「阿久津のイラストかと思ったら、僕をイメージしてくれたとのことで。こんなにうれしいことはありません、家宝にします」と感謝を述べた。

スタジオCLAPが企画・制作した「ホウセンカ」は10月10日に東京・新宿バルト9ほか全国で公開。

アニメ映画「ホウセンカ」本予告